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福を呼ぶ街、西宮〜伝統とモダンが交差する特別なひととき〜②
Contributor : 宋 星穎(そん しんいん)
Nationality : 台湾
最初は1年間だけの留学で日本に暮らすつもりでした。しかし住んでいるうちに「日本の文化にもっと触れたい!」と思うようになり、そのまま大学に進学することに。長崎に3年、兵庫に4年住んでいます。新しい年が始まって間もない1月のある日、西宮を街歩きすることに。狙いは神事「福男選び」への挑戦。西宮神社で深夜のスタート地点の抽選があるため、少し早く西宮へ向かい、憧れの甲子園(日本の有名な野球スタジアム)にも行ってみることにしました。
■前半の記事はこちら
https://www.hyogo-tourism.jp/world/reviews/38
新西宮ヨットハーバーで、心が浄化されるような夕焼けを眺める
新西宮ヨットハーバーはバスで、JR「西宮」駅から約30分・阪神本線「西宮」駅より約20分
バスに乗って海辺の新西宮ヨットハーバーに到着。このヨットハーバーは西宮の海辺のライフスタイルを象徴するランドマーク。西宮の洗練された文化や自然との調和が発信される場所です。 目の前に広がる海とヨットの光景はまるで別世界。夕陽が沈むのを待つ間、センターハウスへ向かいました。
センターハウス
会議室やイベントホールのほか、マリングッズの売店やレストランなどがあるセンターハウス。中央に、関西ヨットクラブの名誉会員で冒険家の堀江謙一氏が、太平洋単独横断に成功した時に乗っていた船「マーメイド号」が展示されていました。堀江氏は、1962年に世界初の単独無寄港太平洋横断を達成した人だそうです。2022年には、世界最高齢の83歳で単独無寄港太平洋横断を達成、ギネスにも登録されました。
彼が乗船したこのヨット「マーメイド号」の出航地は、ここ西宮だったことを知り、彼の挑戦と夢を支えたこのヨットハーバーにロマンを感じていると、空がだんだん夕闇に包まれてきました。
ヨットハーバーの夕景
雲の隙間から薄明かりが差し込む神秘的な風景。風と波の音だけしか聞こえない静寂は、世界に私一人だけが存在しているかのように感じました。寂しいというより、とても平穏な気持ち。そして、心が浄化されたようにスッキリ。この後、神聖な神事が行われる西宮神社へ向かいます。
西宮神社の幸運を呼ぶお祭り「十日えびす」へ
阪神本線「西宮」駅から徒歩約5分のところにある西宮神社は、「えびすさま」をまつっていることで有名です。えびすさまは商売繁盛や漁業の神様として、日本の人々に信仰されています。特に1月に行われる「十日えびす(とおかえびす)」のお祭りが有名で、たくさんの参拝者が訪れます。
西宮神社の「十日えびす」は、毎年1月9日から11日。訪れたこの日はまさにお祭り期間。とても賑やかで活気に満ちていました。
私も今年の幸運を祈願するため西宮神社を参拝。「おみくじ」をひきました。
「鯛みくじ(300円)」。鯛の人形はお土産に
陶器でつくられた鯛の人形を選んで運を試す「鯛みくじ」は、西宮神社のオリジナル。「十日えびす」の期間に合わせて神社で授与されています。「おみくじ」というのは、日本の神社やお寺で運勢を占うために引くくじのこと。私の結果は……
なんと「末吉」でした。「末吉」は日本のおみくじの結果の一つで、未来に良いことがあるけれども今は少し控えめで、忍耐や努力が必要だという意味だそうです。
「五平餅」は長野県、岐阜県、愛知県などに伝わる郷土料理
参道にはたくさんの「屋台」が並んでいました。屋台は、食べ物や飲み物を販売したり、ゲームを楽しんだりする小さなお店のこと。日本のお祭りには、こうした「屋台」が定番です。
辺りは提灯の明かりが灯り、幻想的な雰囲気に。参道にずらりと並ぶ屋台で食べたものの一部を紹介します!
香ばしい香りに呼ばれて、まずは「五平餅」に挑戦。初めて食べました。炊いたご飯をつぶして串に平たくつけ、炭火で焼かれたスナックで、もちもちした食感。醤油ソースをベースにした甘辛いタレがとても香ばしい味わいでした。
「いか焼き」。いかを醤油などで作った甘辛いタレを付けて焼いたもの
「おでん」。日本の伝統的な鍋料理の一つ。大根、ゆで卵、練り物(魚のすり身を主な材料として作られる日本の伝統的な食品)などを昆布や鰹節から作ったスープで煮込んだもの
「鯛焼き」。日本の伝統的なスイーツ。小麦粉の生地を魚の形(鯛の形)に焼き、中に甘いあんこ(小豆という赤い豆のペースト)を詰めたお菓子
「おかめ茶屋」の「甘酒」。ノンアルコール
ふぅ〜、いろいろ食べて満たされました。境内の休憩所「おかめ茶屋」に立ち寄り、ひとやすみ。最後に、日本の伝統的な飲み物「甘酒」をいただきました。日本の甘酒には、発酵食品に欠かせない「麹」を使って作ったノンアルコールのものと、日本酒を作るときにお米を発酵させた後に残る「酒粕」を使って作ったアルコール入りのものとがあります。おかめ茶屋の甘酒は、「麹」を使ったノンアルコール。温かい甘酒はほんのり甘くて、心も体も温まりました。
明日の「福男選び」備えて、この後は宿泊するホテルでゆっくり過ごすことに。
ホテルリブマックス西宮。阪神本線「西宮」駅から徒歩約4分
宿泊はホテルリブマックス西宮へ。西宮神社まで徒歩約7分なので、早朝の神事への参加もとても近くて安心。フロントの1階に無料のコーヒーサーバーが設置されていました。お部屋は清潔感があり、防音もしっかりしていて快適な眠りにつけそう。明日の早朝はいよいよ、神事「福男選び」へ!ドキドキ……
「福男選び」、いよいよスタートの時
朝6時のスタートを待つ
「福男選び」は、毎年1月10日に行われる西宮神社の伝統的な神事です。一番乗りのラッキーな人をめざして、参拝者が境内を全速力で駆け抜けます。いち早く到着した3人がその年の「福男」。「福男」には、幸福が訪れると言われています。
スタート地点は前の晩に抽選で決められます。私はCブロックの一般参加者枠で走ることに。
まだ辺りが暗い夜明け前、体感温度はマイナス。すでに、多くの人々が神社の前に集まっていました。A・Bブロックのくじ引きに当選した選手たちの掛け声が聞こえます。辺りは次第に緊張感が漂ってきて、高ぶった気持ちで寒さをあまり感じなくなって来た頃、いよいよスタート……!
スタートの様子。開門と同時に一斉に走り出す
午前6時、太鼓の音を合図に門が開かれました。一瞬静寂が広がり、その後本殿に近づくにつれて、人々の声が聞こえてきました。私のCブロックは人が多く、実際には走るのは難しかったですが、早歩きで進みました。「とにかく前に!」そのことだけを考えていました。
A・Bブロック以外の一般参加は自分のペースで進みます
今年の「福男」の後ろ姿をパシャリ!
ゴール地点の本殿に到着!すでに到着した今年の「福男」の人は、黄色い半被を授与されていました。
後に新聞で知ったのですが、今年の「福男」は兵庫県宝塚市出身で、陸上部の高校2年生の学生でした。インタビューで「地震災害の被災者のために募金活動を行い、得た福を被災した人々と分かち合いたい」と語っていました。西宮の「福男選び」は、ただ勝者を決めるものではなく、福を分かち合うという意味も含まれていることを改めて感じました。
「開門神事 参拝之証」。ストラップの色が毎年変わる。2025年はピンク
初めての経験で、最初はどうなることかと緊張しましたが、無事にゴールできてホッとしました。開門神事に参加した証「開門神事 参拝之証」は、先着5000人に授与されますが、ゲットできてとても嬉しかったです。
憧れの街、西宮で福や夢を感じた2日間。縁起のいい1年を踏み出せそうです!
■前半の記事はこちら
スポット
新西宮ヨットハーバー
https://sinnisi-yh.co.jp/
住所/兵庫県西宮市西宮浜4-16-1
TEL/ 0798-33-0651
営業時間/9:00~17:00(ハイシーズンは17:30まで)
入場料/無料
西宮神社
https://nishinomiya-ebisu.com/
https://www.instagram.com/nishinomiya_ebisu_official
住所/兵庫県西宮市社家町1-17
TEL/ 0798-33-0321
開門時間/
・4月から8月 5:00 〜19:00
・9月、3月 5:00〜 18:30
・10月から2月 5:00〜18:00
授与所時間/9:00〜17:00
ホテルリブマックス西宮
https://www.hotel-livemax.com/hyogo/nishinomiya/
住所/兵庫県西宮市本町5-29
TEL/0798-26-0440
フロント営業時間/15:00〜翌8:00