- 自然・風景
諭鶴羽山はとてもスピリチュアルな体験だった!
Contributor : マキシム・デュチユール
私が育った街はヨーロッパアルプスの最高峰、モンブランで有名なアルプス。世界中から登山家が訪れます。故郷で子供の頃から数々のハイキングコースを経験してきました。今回は、兵庫県南あわじ市の諭鶴羽山で登山にチャレンジ。どんな山なのか楽しみです!
諭鶴羽山の神社を通って山頂を目指すコースを行く。
最初は舗装された道路をあがる。正面に見えるのが諭鶴羽山。提供:諭鶴羽神社
諭鶴羽山(ゆづるはさん)は、兵庫県南あわじ市にある諭鶴羽山地に位置する標高607.9mの淡路島最高峰の山。諭鶴羽山の名前は、日本の神話において「日本の創造」を象徴する神様であるイザナギノミコト、イザナミノミコトが鶴の羽に乗って頂上のカヤの木に舞い降りたのが由来とされ、古くから修験道の地として栄えてきました。
諭鶴羽山には初心者向けの登山コースが2種類あります。南側(灘黒岩)の「表参道コース」と北側(諭鶴羽ダム)の「裏参道コース」。
今回、私は表参道ルートで登山に挑戦することにしました。最初、黒岩海岸の車道からスタートし、諭鶴羽古道表参道の看板を見て古道に入ります。石がごろごろした古道や石段が残っており、すべらないように登っていきました。途中、お地蔵さまもたくさんいて、歴史を感じられるルートです。
石段や土の箇所は前日の雨で少し滑りやすかったのですが、慎重に、少し緊張しながらも、まずは、ひたすら上りの坂道をぐんぐん登ります。
奥深い山の中に佇む諭鶴羽神社。
諭鶴羽神社の鳥居。およそ2千年前に開かれたと言われている
1時間半ほど進むと、諭鶴羽神社の鳥居が見えてきました。諭鶴羽神社は、昔、修験道の一大道場だったそうです。修験道とは、厳しい修行を通じて心身を鍛え、悟りや救済を目指す自然崇拝と仏教的な修行を融合させた日本独自の信仰体系。険しい山道や自然の中の静寂から、修行の精神を感じることができました。神社が見えた瞬間、ホッと安心したのも、精神的な安らぎを感じたからかもしれません。とても静かで、心が穏やかになるスピリチュアルな場所でした。頂上に向かう前に、疲れた心身を落ち着かせることにしました。
登山再開。沼島の姿が見えてきた!
南あわじ市の離島、沼島がすぐそこに見えてくる。沼島は、はるか昔、神々がつくり出した最初の島「おのころ島」だという伝説が残っている
鳥居から徒歩で15分ほど、山頂に祀られる神社を目指しました。途中、眼下に海が広がります。すぐそこには沼島が見えて、感動。思わず足を止め、写真を一枚撮りました。とてもフォトジェニックな場所でした。
勾配が続く登り道
ここまでの道のりでは木々の中をトレイルしていたので気づかなかったのですが、山頂に近づくにつれ樹木がない場所も現れ、とても風が強かったみたい。山頂に近づくと、風は一層強くなりました。風に立ち向かい、力強くどんどん登って行きます。まもなく山頂です!
いよいよ淡路島の最高峰、諭鶴羽山の山頂に到着。
山頂の石碑には「諭鶴羽山 標高608.0m」「御旅所 諭鶴羽神社」と書かれている。「御旅所」とは神社の祭礼の際、神輿(みこし)が渡御する場所のこと。
登頂の達成感で、思わず満面の笑み
スタートしてから1時間45分、無事、登頂しました!この石碑は「登頂の証」として記念撮影をする人気の場所です。また、4月の春例大祭の際には、この場所に神輿が一時的に安置されるそうで、とても神聖な場所でもあります。
山頂からは海の向こうまで見渡すことができ、素晴らしい景色!眼下には瀬戸内海の穏やかな青い海が広がり、その向こうには島々が点在。海と空の境界線は、やわらかく溶け合っていました。
天気が良ければ鳴門大橋や四国も望め、360度の大パノラマが楽しめる
諭鶴羽山の山頂の諭鶴羽神社の社殿。コンクリートの基礎の上にヒノキで造られていて、風速50メートルにも耐えられる頑丈な造りだという
諭鶴羽山山頂には、登山の途中で拝んだ諭鶴羽神社の頂上社がありました。頂上社は山の頂上に建てられた神社のことで、山全体を神聖な存在と考える日本の伝統的な信仰に基づいています。そして登山や巡礼の目的地として多くの人々に親しまれていて、自然と向き合いながら精神的な充足や祈りを捧げる場所だそうです。
諭鶴羽神社は富士山の浅間大社とともに有名で、航海安全や五穀豊穣を祈る神聖な場所として信仰されています。貴重な場所に来ることができました。
諭鶴羽山は、日本特有のスピリチュアルな体験ができる場所。
紅葉を眺めながらの下山
沼島に別れを告げる
諭鶴羽山の登山は、急勾配な坂道の箇所もありましたが、そこを乗り越えれば、その後はそれほど大変でもなかったです。初心者にも登りやすいと思うので、登山にチャレンジしたいという友人にもぜひ勧めたいと思います。
これまでアルプスの山々で数多くのハイキングコースを経験してきましたが、今回の諭鶴羽山登山は、途中、神社へ続く階段があったり山頂に社殿があったりして、自分が今、聖域をトレイルしているんだなという瞬間が度々あり、特別な体験でした。美しくて穏やかなスピリチュアル登山でした。
スポット
諭鶴羽神社
住所/兵庫県南あわじ市灘黒岩472
TEL/090-3990-5334
定休日/無休
https://yuzuruha.jimdoweb.com/
諭鶴羽山
所在地/兵庫県南あわじ市神代浦壁
アクセス/福良より淡路交通バス縦貫線15分園行寺下車、徒歩50分
https://www.awajishima-kanko.jp/manual/detail.html?bid=192