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日本の香文化の発祥地:淡路島の江井エリア
Contributor : クリスティーナ
日本の最も象徴的な香りの一つは、江戸時代(1603-1868)から愛されてきた繊細な線香(日本式の香のスティック)の香りです。初めは宗教的な儀式に結びついていましたが、今では日常生活の一部として、それらが自宅での安らぎやリラクゼーションを提供しています。しかし、日本の香文化の発祥地が兵庫県の島にあることをご存知でしたか?香づくりの繊細な技術が始まり、現在も栄えている淡路島へようこそ。
神戸または大阪から淡路島江井エリアへのアクセス
淡路島を巡る最良の方法は車をレンタルすることで、自分のペースでさまざまなスポットを訪れることができます。車がない方は、神戸の三宮駅から直通の高速バスを利用できます(大阪駅から三宮駅は電車で約30分)。江井のバス停までの移動は約1時間、料金は1,650円からです。バス停に到着したら、タクシーやバスを利用して目的地に向かうことができます。詳細は公式ウェブサイトで確認してください。
淡路島:日本の香の都
香は日本文化の重要な一部ですが、淡路島が日本の主要な香づくりの地であることを知っている人は少ないでしょう。淡路市の江井地区はこの伝統の発祥地として知られ、世代を超えて香づくりの技術が磨かれてきました。現在、日本の香の50%以上がここで生産されており、まさに「香りの島」と呼ぶにふさわしい場所です。
江井地区のレトロな街並みでは、海風に載って香りが漂っているのを感じることができます。
江井の船着き場
江井の街を散策していると、海風に乗って心地よい香りが漂っており、穏やかな雰囲気を醸し出しています。淡路島の独特の気候と地理条件は、瀬戸内海からの一定の風が吹き、香を自然に乾燥させるのに理想的な条件を提供しています。何世代にもわたる職人技とこの地域の気候が相まって、淡路島は日本の香業界の中心地としての地位を確立しています。
香の伝統の発祥地:枯木神社
淡路島の香りの歴史を語る上で重要なスポットが枯木神社です。
枯木神社と淡路島の青い海
日本最古の歴史書『日本書紀』によれば、595年に推古天皇の治世中、驚くべき出来事が起こりました。大きな沈香(じんこう)が浜に漂着し、地元の人々はその価値を知らずにそれを燃やしました。すると、驚くほど魅惑的な香りがしました。その後、その香木は朝廷に献上され、聖徳太子が観音像をつくる際の材料として利用したと伝えられています。
神社の装飾には波模様が使われています。
小さいながらも美しい枯木神社
今日、この伝説の木は枯木神社に祀られ、地元の人々に大切にされています。小さな神社ですが、海の近くに位置しているため、素晴らしい海の景色が楽しめ、静かなひとときと自然との深いつながりを感じるのには最適な場所です。
淡路梅薫堂 江井工場での香作り
淡路島の香づくりは単なる伝統ではなく、数世代にわたり磨かれてきた芸術形式です。この島には、この繊細な技を守ることに人生を捧げる香司(こうじ)がいます。枯木神社から車で少しの場所にある歴史ある淡路梅薫堂江井工場は、1905年から香を生産しています。
四代目の匠、やのたかゆき氏が先行(香りのスティック)の作り方を説明
私の訪問中、線香の精巧な製造プロセスを観察し、四代目の匠、矢野考幸氏の指導の下でいくつかの作業に挑戦してみました。線香作りに必要とされる専門技術を見ることができ、何世代にもわたる職人技が、この工程を芸術の域にまで高めてきたことを強調しています。
一本の選考を作るためにはたくさんの注意が必要です!
制作の完璧さ
線香作りのプロセスを習得しようとしましたが、それは非常に難しかったです!
訪問者は、香りのポーチである「匂袋」を作成するワークショップにも参加できます。匂袋は何世紀にもわたり日本で使用され、着物の袖に入れて持ち歩いたり、部屋に吊るしたりしてほのかに、長時間香る香りを楽しむためのものです。香草や木材、香りの着いた粉を組み合わせて、満たされた匂袋は、数週間または数ヶ月間香り続けます。
匂袋を作るための香草や木材、香りついた粉の組み合わせ
結果としての「匂袋」
ワークショップでは、独自のブレンドを試す機会がありました。サンダルウッド(白檀)、沈香(じんこう)、さまざまな花やハーブの香りが揃っており、組み合わせは無限のように感じました。これらを美しくデザインされた布製の袋に混ぜて入れるのは楽しい体験でした。その日の終わりには、私の匂袋の香りがバッグに染み込み、工場での時間を思い出させる素晴らしい存在となりました。素敵な一日でした!
もしお香作りや匂袋作りを体験したい場合は、淡路梅薫堂江井工場へ電話またはメールで予約ができます。連絡先は以下の通りです:
● 電話:(0799) 86-0065
● メール:awaji-baikundo@iris.eonet.ne.jp
なお、英語を話せるスタッフが常駐しているわけではないので、予約の際には日本語を話せる人がいると便利です。
古代の伝統と現代とのつながり
香は伝統的に宗教の儀式で使用されてきましたが、その役割は現代日本で拡大しています。人々は現在、香を日常生活に取り入れて、穏やかな感覚を生み出したり、瞑想を深めたり、家に心地よい香りを加えたりしています。京都の静かな寺院から都会の現代的な家々まで、香は日本文化の重要な一部であり続けています。
この伝統と現代のつながりは、旧江井小学校内にあるクリエイティブな施設「ei-to」にも見られます。かつて子供たちが学び成長していた場所が、今では職人や持続可能な技術に情熱を持つ人々のハブとして機能しています。
旧江井小学校は現代的なスペースに生まれ変わりました。
ei-toのネオンロゴ
「ei-to」という名前は二重の意味があり、学校の元の所在地である江井町に由来しています。また、繁栄と継続の象徴である数字の8にもかけられています。学校の紋章に触発されたロゴは、この新しい歴史の章を象徴しています。
旧江井小学校内のレトロな壁
ei-toを探索していると、kapocというブランドのエプロンや島で作られた衣類、ゼロウェイストのバスケットバッグなど、丁寧に作られた商品を発見しました。これらのアイテムは、持続可能な職人技への取り組みを示しています。アートランプや花などのリサイクルアート作品が、素材に新たな命を吹き込む革新的なアプローチを強調しています。
デザイナーの衣類のショップの一つ
目の前で衣類を作る過程を見ることができました。
古着が販売されているところもありました!美しさと環境への配慮を持って作られたアイテムをいくつか購入せずにはいられませんでした。
その後、ei-toの中にある「ル・プルミエカフェ」で休憩しました。このカフェでは新鮮に焙煎されたスペシャリティコーヒーと美味しいホットトーストを提供しています。穏やかな環境と新しく淹れたコーヒーの香りが、リラックスさせてくれて、休憩するのに最適な場所でした。
一階の落ち着いた雰囲気のカフェでは素晴らしいコーヒーとサンドイッチが楽しめます。
二階には、淡路島が線香の中心地としての歴史を称える「江井博物館」があります。博物館には、地元のお年寄りが町の全盛期の様子を思い出しながら作成した、地元の線香工場や線香の貿易で栄えた様子を描いた精巧なジオラマが展示されています。
展示物は、活気に満ちた劇団「豊根座」など、町の豊かな文化的な遺産を再現しています。詳細な展示物は過去を垣間見ることができ、歴史を生き生きと伝えています。
まとめ
淡路島はただ美しい島ではなく、日本の香づくりの遺産と文化的伝統が生き生きと息づいている場所です。日本の香の物語が始まった静かな枯木神社から、淡路梅薫堂江井工場での熟練の職人技まで、島は香りの豊かな世界への旅を提供しています。神戸から近いにもかかわらず、好奇心旺盛な旅行者を待っている隠れた宝のような場所です。私の物語が皆さんの好奇心を刺激し、淡路島のユニークな魅力を発見するインスピレーションとなることを願っています。今後もこの魅力的な島のさらなる秘密を披露していくので、お楽しみに!
Date : 2024.11.08.