現代的なひねりを加えた日本最古の温泉街

現代的なひねりを加えた日本最古の温泉街
クリスティーナ

Contributor : クリスティーナ

東京在住(2018年まで大阪在住)の外国人インフルエンサー。外国人視点で日本の魅力や日本国内旅行について主に欧米圏に対して発信。日本人さえ知らないような国内観光地を外国人に紹介している。日々フォロワーの伸びが顕著に拡大しており、現在のフォロワー数は25万人にものぼる。(もしアカウントがメンション出来ればする)

兵庫県神戸市の北部に位置する有馬温泉は、日本でも屈指の有名な温泉地の一つです。道後温泉や白浜温泉と並び、「日本三古湯」の一つとしてその名を馳せています。有馬温泉は、日本最古の記録である『万葉集』や『古事記』にも登場するほど、古くから知られています。

この有馬温泉で日本の古い歴史に触れ、時を経てどのように変わってきたのかを見てみましょう。

ちなみに、温泉好きの方は、広い兵庫県内にあるもう一つの温泉地である城崎温泉に滞在するこちらの記事もぜひご覧ください。

 

 

神戸や大阪、京都からのアクセス方法

 

静かな雰囲気にもかかわらず、有馬温泉は主要な都市部から驚くほどアクセスが良いです。交通手段によって異なりますが、神戸の三宮駅からは約25分~45分、大阪からは1時間以内で到着します。詳細なルート情報については、公式ウェブサイトをご覧ください。

 

 

有馬温泉の古代の起源

 

有馬温泉の最も古い記録は7世紀にさかのぼり、病気の療養のために温泉を訪れた舒明(じょめい)天皇の時代に言及されています。その後、有馬温泉は、ミネラル豊富なお湯の癒しの力を求めて訪れる天皇、貴族、侍たちのお気に入りの隠れ家となりました。この町は、日本全国から訪れる人々を常に温かく迎え入れる、気晴らしと精神的な癒しの地として発展してきました。

 

日本最古の温泉である有馬温泉に残る、兵庫県の芸者文化

 

150年前に神戸港が開港すると、多くの外国人観光客が有馬温泉を訪れました。彼らは西洋風のホテルや施設を建設し、町に日本の伝統と西洋文化の独特の融合をもたらしました。この融合によって、有馬温泉は独自のエキゾチックな雰囲気を持ち、世界中からの訪問者を引き寄せています。

 

 

有馬温泉のお湯

 

有馬温泉は、2つの異なる種類の温泉で有名です。それは、金泉(きんせん)と銀泉(ぎんせん)です。金泉は赤褐色で、鉄分と塩分が豊富に含まれており、筋肉の痛みや皮膚のトラブルに効果があるとされています。一方、銀泉はほぼ透明で、ラジウムと炭酸を含んでおり、血行を促進し、関節の痛みを和らげると言われています。

 

「金泉」の温泉が楽しめるホテル花小宿

 

これらの湯は、公衆浴場からプライベートな旅館の温泉まで、さまざまな場所で体験できます。他の人とお風呂を共有したくない場合は、プライベートバス(貸し切り風呂やお部屋についているお風呂を指す)があるホテルを予約することをお勧めします。今回の滞在では、私もそのようなホテルを選びました。また、伝統的な旅館の体験では、温泉に浸かった後に、和食のコース料理である懐石料理を楽しむことができます。

 

 

ホテル花小宿

 

私は有馬温泉で小さな温泉ホテル、ホテル花小宿に宿泊しました。静かで快適な環境が整っており、民芸品のようなの木の内装が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。1940年代に初めて建てられたこのホテルは、1999年に考え抜かれた改装が施され、伝統的な日本のおもてなしと現代的な設備が見事に融合しています。

 

この有馬のホテルに滞在すると、まるで時空を超えて旅をしているような感覚を味わえました。

 

宿泊施設にはレトロな雰囲気が漂い、テレビの上に置かれた有名な犬の像「ニッパー」など、どこか懐かしさを感じるアイテムが飾られています。

 

2つあるプライベート温泉のうちの1つのかわいらしいデザイン

 

ホテル花小宿では、和式と洋式の部屋が用意されており、2つのプライベート温泉とサウナ施設があります。伝統的な木造のつくりでオープンなデザインのため、音が部屋間で伝わりやすいことがあるので、睡眠が浅い方には耳栓が役立つかもしれません。

 

 

時代を遡る

 

チェックインした後、暗くなる前に有馬温泉の細い街並みを散策することにしました。宿泊する特権の一つは、夕方になると町の賑やかな雰囲気が静かになることです。ほとんどの日帰り旅行者が帰るため、夜には街がぐっと静かになります。まるで町をほぼ独り占めしているような感覚です!

 

静かな有馬温泉の通り

 

夜が近づくにつれ、ノスタルジックな雰囲気に

 

有馬の趣のある町を歩くと、まるで時代をさかのぼっているような気分になります。細い通りには、伝統的な木造の建物や地元の工芸品を売る店、小さな食堂が並び、そこでは地域の特産品を提供しています。夕方には、柔らかい街灯の光に照らされ、ノスタルジックな雰囲気が一層引き立ちます。

 

Arimaスプリングテラスのイルミネーション(Arima Spring Terrace)

 

有馬川親水公園で開催の有馬涼風ビアガーデン

 

有馬温泉の中心部、有馬川の上流にある「ねね橋」は魅力的な赤い欄干が特徴的です。ここ、有馬川親水公園では、桜祭りや夏のビアガーデンなどのイベントが開催されます。食べ物の屋台や大人も楽しめる、子ども向けのゲームが並び、有馬芸者による舞踊パフォーマンスやライブ音楽のステージも用意されています。

 

 

六甲山の自然美

よりゆったりとした体験を求める方には、六甲山と有馬温泉を結ぶ「六甲有馬ロープウェイ」がおすすめです。12分の乗車で山々や遠くの大阪湾のパノラマビューを楽しめるため、訪れる人々に人気のアクティビティです。今回は急ぎたくなかったので、翌朝はエリア内で最も緑豊かな場所である「鼓ヶ滝公園」に歩いて行くことにしました。

 

鼓ヶ滝公園の滝

 

「鼓ヶ滝公園」は、水が下の水盆に落ちるときに出る軽やかな鼓のような音から名前が付けられています。この公園はリラックスした朝の散歩に最適です。六甲山の清らかな水が流れ込み、静かな雰囲気を作り出しています。特に夏におすすめの場所で、最も暑い日でもさわやかさを感じることができます!

 

朝のハイキングの後の一休み

 

公園の中央には、小さな茶屋があり、そこで美味しいお茶や冷たい飲み物を楽しみながら滝を眺めることができます。茶屋では、おでんやぜんざいなどの伝統的な和菓子と共に、飲み物が提供されます。

 

 

有馬温泉で試してみたいカフェとスイーツ

 

有馬温泉エリアは歴史的なランドマークや建物が豊富で、時代を超えた雰囲気を提供していますが、近年では新しい施設も多く登場し、伝統を守りながらも新しいエネルギーをもたらしています。

 

Fish House Cafe

 

 

Fish House Cafeへようこそ

 

人気のスポットの一つが「フィッシュハウスカフェ」で、ここは有馬温泉体験に新しい要素を加える現代的なカフェです。カフェには3匹のかわいらしい柴犬がいて、マスコットの福ちゃんが愛情たっぷりの鳴き声でゲストを迎えています。

 

今まで出会った中で一番かわいいスタッフです!

 

犬をずっと飼いたいと思っていた私にとって、この場所はまさに天国です!3匹の犬たちはカフェ内を自由に歩き回り、時にはテーブルに寄ってフレンドリーに手を差し伸べたり、ただお客さんが食事を楽しんでいる様子を観察したりしています。

 

柴犬をモチーフにしたスイーツとラテ

 

メニューには、台湾風の豚の角煮(ルーローハン)とキーマカレー、柴犬モチーフのスイーツ、チョコレートブラウニー、そして美しくデザインされたラテアートのコーヒーなど、様々な美味しいスイーツが揃っています。

 

 

三津森本舗

 

もっと伝統的な体験を求めるなら、「三津森本舗」を訪れてみてください。この店は120年以上の歴史があり、手作りの炭酸せんべいという伝統的な日本の焼き菓子を提供しています。

 

120年の歴史がある有名な炭酸せんべい

 

有馬温泉の炭酸せんべいの歴史は、明治時代末期(1907年)にさかのぼります。当初は幼児や高齢な方のために作られたこのせんべいは、小麦粉、片栗粉、砂糖、塩、炭酸水といったシンプルな材料から作られ、優しくて美味しいお菓子となっています。

 

三津森本舗で伝統的な手法で作られる炭酸せんべい

 

このせんべいの作り方も、その歴史と同様に伝統的です。各せんべいは厚い鉄板で丁寧に焼かれ、余分な生地は手作業で慎重に切り取られます。そのため、どのせんべいも完璧にパリッと軽い仕上がりになっています。

 

有馬 茅店  Bécassine

 

もう一つ訪れるべき場所は、「有馬 茅店  Bécassine」です。ここはちょうど1年前にオープンし、伝統的な日本のお茶屋体験に現代的なひねりを加えたお店です。

 

現代的なひねりを加えたカフェで、抹茶を使った飲み物を提供しています

 

カフェのメニューは抹茶を使った飲み物が中心で、私のお気に入りは「抹茶有馬サイダー」です。このドリンクは、爽やかな炭酸サイダーと 淹れたての抹茶の微妙な苦味がマッチしており、暑い日にぴったりです。飲み物に合わせてぜひ試してほしいのが「みたらし団子」です。これは、米粉で作られた団子を竹串に刺し、甘い醤油ベースのたれでコーティングした古典的な日本のお菓子です。団子には香り豊かな有馬山椒(プレーンの味も選べます)が振りかけられており、独特でほんのり辛い風味が甘辛い味わいを引き立てています。

 

完璧に焼き上げられた米粉の団子 甘い醤油たれとともに

 

このカフェは、伝統的な日本の建築と現代的なデザインが美しく融合しています。テラス席からは近くの寺院の風景を楽しむことができ、目を引く2メートルの高さの茅葺き屋根の彫刻がカフェの独特な魅力を引き立てています。春、夏、秋、冬のどの季節に訪れても、有馬温泉の変わりゆく美しさを反映した季節限定の飲み物やスイーツを見つけることができます。

 

 

最後に、そして重要なこと

 

この魅力的な温泉町は、日本への旅行を計画しているなら、ぜひ旅程に加えてほしい場所です。ここでは時間がゆっくり流れ、日常の雑事や問題を忘れ、一歩一歩日本の変わらぬ魅力に浸ることができます。静かでありながらも記憶に残る旅を楽しんでください!