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地域や人と繋がり、豊かな文化に触れる兵庫ローカル旅
京都・大阪にも近く、神戸や姫路城など外国人ツーリストに人気の観光地も多い兵庫県。自然や文化に親しむ体験ができる英語ガイド付きツアーも豊富で、地域や人とより深く繋がることができる。ここでは、温泉地としても有名な有馬や湯村をはじめ、昔ながらの港町が残る神戸・塩屋や、歴史スポットが点在する朝来で、地元の人との触れ合いを通じて、その土地特有の文化を楽しむローカル旅を紹介。
湯村温泉で地元のおばあと触れ合い、湯がき文化を体験
兵庫県の北西部にある湯村温泉は、半径約400mの小さな温泉地に63もの源泉があり、98℃の源泉「荒湯」が毎分470ℓ湧出している。この豊富な温泉を利用し、湯村温泉では昔から食材を荒湯でゆでる「湯がき文化」が根付き、今も変わらず受け継がれている。
玉子はゆで時間10~11分が目安
荒湯で湯がいた玉子は、しっとりぷるぷるの食感
荒湯の目の前にある「荒湯観光センター」など、周辺の土産店でも湯がき体験用の食材を販売していて、ツーリストも気軽に体験できる。
元気で明るい看板娘たちがもてなしてくれる「おばあかふぇ」
地元の人と触れ合いたいなら、荒湯の近くにある「おばあカフェ」がおすすめ。築130年になる古民家を改装した名物カフェは、平均年齢76歳のおばあたちによるアットホームなおもてなしが好評だ。
「おばあ初恋の味セット」700円(税込)
おばあ手作りの料理の中でも、ぜひ味わいたいのが「おばあ初恋の味」という名の栃おはぎ。但馬地方特産の栃の実と、美方郡で育てられた稀少な小豆「美方大納言小豆」を使った栃おはぎは、あんこの甘みがほどよく、素朴で懐かしい味わい。
「おにぎりセット」700円(税込)
しっかり食べたい人には、「おにぎりセット」もおすすめ。おばあ手作りのイカの糀漬けやとうがらし味噌がご飯と相性抜群だ。荒湯で食材を湯がいている合間に一服するのも最適。
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朝来の豊かな自然と歴史遺産を巡るサイクリングツアーで感動体験
美しい日本の里山や歴史スポットをE-bikeで観光
兵庫県北部の但馬地方南端に位置する兵庫県朝来市。神戸から車で約1時間30分の場所にあり、都市部から少し足を延ばせば豊かな自然が満喫できる。のどかな里山に歴史スポットが点在する朝来を観光するなら、サイクリングツアーがおすすめだ。
ガイドブックには載っていない神社など、知る人ぞ知るスポットを巡る
南アフリカ出身のケビン・ネルさんが主宰する「Asago Cycling」では、電動アシスト付きのE-bikeを使った快適なサイクリング観光が楽しめる。人気のツアーは、日本遺産に認定されている「播但貫く銀の馬車道鉱石の道」を周遊する「鉱石の道ツアー」(ランチ付き1人20,000円・税込)で、約30kmのコースを5~6時間かけて観光する。
1919年に建設された「神子畑選鉱場」
サイクリングの途中には、かつて鉱石を運んでいたトロッコ列車の線路跡を歩いたり、河原で休んだりしながら、一番の見どころである「神子畑選鉱場」へ。現在、建物は取り壊され、コンクリートの基礎部分が残っているだけだが、圧倒的な存在感が見る者を魅了する。
古きよき日本の田園風景が残る朝来を自転車で周遊して、癒しと感動に包まれよう。
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有馬温泉で浸る優雅なひととき。有馬芸妓の踊りに酔う
芸妓というと京都のイメージがあるが、実は日本の各地に芸妓文化が残っている。兵庫県で唯一残ったのが有馬温泉の有馬芸妓で、きらびやかな踊りや長唄、お囃子などを継承している。有馬温泉へは、大阪から電車で約1時間、神戸からは約30分とアクセスも抜群。
温泉客の世話をしたという「湯女(ゆな)」が有馬芸妓のルーツ。歴史ある有馬温泉だからこそ生まれた伝統文化といえる。
「芸妓カフェ 一糸(いと)」と有馬芸妓のすずさん
有馬温泉の旅館や料亭に芸妓を呼ぶというのが一般的なスタイルだが、「芸妓カフェ 一糸(いと)」では現役芸妓が常駐し、美しい踊りなどを披露する。京都よりもずっとカジュアルに芸妓と触れ合えるのだ。貸切プランや、芸妓体験ができるプランなどさまざまな楽しみ方ができるのもこの店の魅力といえる。
有馬芸妓の一菜さん
一菜さんは「次の時代の子に、有馬芸妓という伝統のバトンを渡さなくてはならない。やっぱりこの文化は伝承していかないと」と笑顔をこぼしながら語る。「芸妓カフェ 一糸(いと)」はまさにその発信基地で、日本からだけでなく海外からの観光客も多い。
さっきまで踊りを踊っていた芸妓と、すぐに間近で触れ合えるというのが面白いところ。日本の奥ゆかしく雅な文化を肌で感じる旅は、感動と新たな発見に満ちたものになるはずだ。
450年続く工芸品、有馬人形筆のワークショップで伝統に触れる
有馬人形筆(ありまにんぎょうふで)は、兵庫県の有馬温泉地域で作られる伝統工芸品でからくり筆とも呼ばれる。書道、絵画に実際に使用できる筆だが、その装飾に思わず目を奪われる。
筆を立てると美しい絹糸が巻かれた筆の先端から、かわいらしい豆人形が顔を出す。
「灰吹屋 西田筆店」の店頭
450年以上という長い歴史を持つ工芸品ながら、今や有馬温泉の「灰吹屋 西田筆店」が、唯一の人形筆の店。一本一本、手仕事で丹念に作られる筆はどれも色鮮やかで、もはやアートの域だ。
「有馬玩具博物館」(ありまがんぐはくぶつかん)の川島朱実(かわしまあけみ)さん
この工芸品文化に実際に触れられるのが有馬温泉にある「有馬玩具博物館」。工作教室で有馬人形筆(ありまにんぎょうふで)のワークショップを行っている。
「豆人形が顔を出すからくり、実はけっこう複雑なんですよ」と話すのは「有馬玩具博物館」の川島さん。「灰吹屋 西田筆店」の力も借り、伝統工芸の技を多くの人に広めている。
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レトロな街、塩屋で日本人の日常とゆるやかな暮らしに触れる
神戸の市街地から電車で15分から20分ほどの場所にある小さな町、塩屋。このローカルな街で「塩屋ウォークとホッピングツアー」を開いているのが、face to face代表たけもとすみれさんだ。海外旅行の添乗員をしていたという彼女が、魅力たっぷりの塩屋を英語とボディランゲージを織り交ぜて楽しく紹介してくれる。
塩屋は明石や垂水からも程近いベッドタウンで、美しい海と山がある。古くから外国人が多く居住し太平洋戦争で空襲被害も少なかったそうで、昔ながらの街並みが残されている。
塩屋の路地裏の細い道
地域の方と語らう、たけもとすみれさん
「このツアーのキーワードはTalk with Localsです」とたけもとさん。味のある商店街やそこに暮らす人々と直に接する、ローカル民の日常を体感する……そんな、他ではできない旅ができるのだ。
ツアーでは地元のお店の中に入ることも
レトロな雰囲気が残る商店街のなかには、胸踊る場所がたくさん。普通に旅をしていたら決して足を踏み入れないような場所にも、たけもとさんは連れて行ってくれる。
地元のお店でひとやすみ
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Date : 2024.12.17