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No.f_0019
城崎温泉だけじゃない!城下町・出石の街歩きを楽しもう!
豊岡市から、山々が折り重なるように遠くにかすむ田園風景のなかをバスに揺られること30分。(城崎温泉からは公共交通機関で約1時間)辿り着いた城下町・出石は、良い意味で時代の流れからそっと取り残されたような街でした。
訪れた街の風景や温かい人々に懐かしさを感じ、忙しい日常や観光地巡りの中で忘れていた「隠れた宝石」を出石の街で見つけたように思います。出石にどんな魅力があるのか探っていきましょう。
「歴史と風情が息づく小さな宝箱」
かつて但馬国(現在の兵庫県北部)の中心地として栄えた歴史ある城下町・出石。17世紀(江戸時代)に入ると城下町として栄華を誇りました。出石城を中心に広がるまちなみは、今もその風情を色濃く残しており「但馬の小京都」とも呼ばれるほどです。
出石のシンボルといえば「辰鼓楼(しんころう)」。1871年に建てられた時を知らせるために鳴らす、太鼓を設置する建物で1881年に現在の時計の姿になりました。日本最古年の時計台で、現在も時を刻み続けています。辰鼓楼のまわりには江戸時代から続く街並みが残り、土産物屋や、そば処などが立ち並んでいて、そういったスポットに立ち寄りながら街歩きを楽しむことができます。
辰鼓楼のすぐ近くにあるのが出石城跡です。
現在、城の中心部分は残っていませんが、当時のままの迫力ある石垣が見られ、角にあるやぐらや城への入り口の門、そして橋が復元されています。城郭からは、出石の街を一望することができ、季節ごとにさまざまな景色を楽しむことができるのも魅力的です。
出石城跡のすぐ横には、京都の伏見稲荷を連想させる鳥居が並び立つ「有子山稲荷神社(ありこやまいなりじんじゃ)」が。趣もあって写真撮影を楽しんでいる人もいます。
出石の街を歩いていると、街自体がとてもコンパクトに作られていることに気がつきます。日本の各地の城下町にも言えることなのですが、街自体が「歩くこと」を想定して作られているのです。歩いて観光するにはぴったりですし、当時の昔の人の生活感が伝わってくるようで楽しいですね。
時代を超えて息づく芝居小屋「出石永楽館」
出石で必ず訪れてほしい場所の一つが、1901年に建てられた芝居小屋「出石永楽館(いずしえいらくかん)」です。
永楽館は近畿に現存する最古の芝居小屋で、今でも歌舞伎や映画上映、コンサートなどのイベントが盛んに行われています。同じステージで、地元の学生たちが演劇をすることもあり、地元の方々とも深く関わりあっている施設であることが分かります。
「今の永楽館があるのは、地域の人々の“これだけは残したい”という思いがあったからです」と語るのは、永楽館 館長の赤浦さん。同じような中規模の芝居小屋が数多く取り壊されるなかで、地元民が立ち上がり、市政に訴えかけた結果、2008年に大規模な改修工事が行われ、今に至ります。
永楽館の魅力は、当時のまま残された建物や設備。(永楽館には、花道(hanamichi)、桟敷席(さじきせき)など芝居小屋としての機能がそのまま残されていました。復原工事ではこれらを損なうことのないよう使える部分はそのまま残し、耐震工事や畳の入れ替えなどが行われています)一歩館内に足を踏み入れると、そこには「非日常」という言葉がふさわしい空間が広がっていました。
天井に飾ってあるレトロな手描き看板は、出石の看板屋さんによるもの。広告主はすべて地元の商店で今も営業しているところもあるのだとか。
舞台から客席に延びている通路で役者が入退場に使う花道や、場面展開に使われる廻り舞台など、まるで昔の芝居小屋にタイムスリップしたかのよう。
舞台の奥には、役者たちが利用していた楽屋やお風呂もあり、窓枠にはろうそくの跡まで残っており、これだけのものが現在に残っているという事実に驚きます。
また、1908年当時の役者たちが残した落書きが残されている箇所もみることが出来ます。
なかでも素晴らしいのが、観劇中に舞台が180度回転し、次々に異なる場面を展開することができる廻り舞台の仕組み。見学では、舞台の地下に潜ってその裏側を見ることができます。緻密な計算の上に、ぐるりと綺麗にまわる当時の職人の技術に圧倒されます。
芝居小屋が減少した背景には、娯楽の多様化があります。昔は芝居が人気でしたが、今では映画やテレビ、さらにはスマートフォンの中にある多くの娯楽に取って代わられました。それでも、永楽館には「ここでしか体験できない特別な意味」が詰まっていると感じます。
「出石皿そば」を堪能
出石に来たら、絶対に外せないのが名物「出石皿そば」です。小さな皿に盛られた5枚のそばを少しずつ味わうという独特なスタイルを持つ出石そば。その歴史は古く、1706年より信州上田(現在の長野県、そばが有名)の仙石政明が領主になったことに関係しています。
彼が多くのそば職人を連れてきたことと、仙石政明の統治により伝統工芸である出石焼が有名になったことで、出石焼のお皿に少しずつおそばをもって、提供される現在のスタイルが生まれました。
「山下」で頂いた出石皿そばは、風味豊かでコシが強く、シンプルながらも食べごたえがある逸品となっています。こちらのお店では、20皿以上食べると「そば通の証」がもらえるというユニークなチャレンジも用意されているので、胃袋に自信のある猛者は挑戦してみてはいかがでしょうか?
そばを使ったスイーツも一緒に堪能しましょう。「そばプリン」や「そばアイス」「そば団子」といったメニューが充実しています。上の写真は、きなこ味とみたらし味を楽しめる「そば団子」。噛むほどに素朴な甘みが口の中に広がり、ぺろりと食べてしまいました。
出石史料館で歴史を学ぶ
出石の歴史をさらに深く知りたいなら、出石史料館にも足を運びましょう。生糸を商っていた明治時代(1868年~1912年)の豪商の邸宅(旧福富家)を改装した館内には、出石の歴史をひもとく史料、甲冑などの武具が展示されています。
また建物自体がとても貴重な文化財で、数寄屋造りという日本の伝統的な建築スタイルの一つで、自然を大切にし、シンプルで落ち着いたデザインが特徴となっています。
まとめ>
豊かな歴史文化と美食が詰まったコンパクトな出石の街。そこには、建物を数百年単位で今に残す職人の素晴らしい技術や、歴史を大切にする人たちの思いがありました。城崎方面に向かう際は、出石に立ち寄り、辰鼓楼や出石城跡を巡りながら、ノスタルジックな街並みを散策し、昔にタイムトリップしたようなひとときを楽しんでみてはいかがでしょうか?
出石や周辺の観光情報について詳しく知りたい方は、こちらからご確認ください。
蜃鼓楼(しんころう)
住所:兵庫県豊岡市出石町内町(Google map)
営業時間:24時間見学可能
定休日:なし
サイト:https://visitkinosaki.com/things-to-do/shinkoro-clock-tower/
出石城跡
住所:兵庫県豊岡市出石町内町98(Google map)
営業時間:24時間見学可能
定休日:なし
サイト:https://visitkinosaki.com/things-to-do/izushi-castle-ruins/
出石永楽館
住所:兵庫県豊岡市出石町柳17-2(Google map)
営業時間:9:30〜16:30
定休日:木曜日
サイト:https://visitkinosaki.com/things-to-do/izushi-kabuki-theatre/
出石皿そば 山下
住所:兵庫県豊岡市出石町田結庄1(Google map)
営業時間:10:00〜17:00 ※平日は15:00
定休日:火曜日
サイト:https://www.izushi-yamashita.com(サイト内にある翻訳機能を活用してください)
出石史料館
住所:兵庫県豊岡市出石町宵田78(Google map)
営業時間:9:30〜17:00(最終入館16:30)
定休日:火曜日
サイト:https://visitkinosaki.com/things-to-do/izushi-history-museum/
豊岡市から、山々が折り重なるように遠くにかすむ田園風景のなかをバスに揺られること30分。(城崎温泉からは公共交通機関で約1時間)辿り着いた城下町・出石は、良い意味で時代の流れからそっと取り残されたような街でした。
訪れた街の風景や温かい人々に懐かしさを感じ、忙しい日常や観光地巡りの中で忘れていた「隠れた宝石」を出石の街で見つけたように思います。出石にどんな魅力があるのか探っていきましょう。
見出し(H2)>「歴史と風情が息づく小さな宝箱」
かつて但馬国(現在の兵庫県北部)の中心地として栄えた歴史ある城下町・出石。17世紀(江戸時代)に入ると城下町として栄華を誇りました。出石城を中心に広がるまちなみは、今もその風情を色濃く残しており「但馬の小京都」とも呼ばれるほどです。
出石のシンボルといえば「辰鼓楼(しんころう)」。1871年に建てられた時を知らせるために鳴らす、太鼓を設置する建物で1881年に現在の時計の姿になりました。日本最古年の時計台で、現在も時を刻み続けています。辰鼓楼のまわりには江戸時代から続く街並みが残り、土産物屋や、そば処などが立ち並んでいて、そういったスポットに立ち寄りながら街歩きを楽しむことができます。
辰鼓楼のすぐ近くにあるのが出石城跡です。
現在、城の中心部分は残っていませんが、当時のままの迫力ある石垣が見られ、角にあるやぐらや城への入り口の門、そして橋が復元されています。城郭からは、出石の街を一望することができ、季節ごとにさまざまな景色を楽しむことができるのも魅力的です。
出石城跡のすぐ横には、京都の伏見稲荷を連想させる鳥居が並び立つ「有子山稲荷神社(ありこやまいなりじんじゃ)」が。趣もあって写真撮影を楽しんでいる人もいます。
出石の街を歩いていると、街自体がとてもコンパクトに作られていることに気がつきます。日本の各地の城下町にも言えることなのですが、街自体が「歩くこと」を想定して作られているのです。歩いて観光するにはぴったりですし、当時の昔の人の生活感が伝わってくるようで楽しいですね。
見出し(H2)>時代を超えて息づく芝居小屋「出石永楽館」
出石で必ず訪れてほしい場所の一つが、1901年に建てられた芝居小屋「出石永楽館(いずしえいらくかん)」です。
永楽館は近畿に現存する最古の芝居小屋で、今でも歌舞伎や映画上映、コンサートなどのイベントが盛んに行われています。同じステージで、地元の学生たちが演劇をすることもあり、地元の方々とも深く関わりあっている施設であることが分かります。
「今の永楽館があるのは、地域の人々の“これだけは残したい”という思いがあったからです」と語るのは、永楽館 館長の赤浦さん。同じような中規模の芝居小屋が数多く取り壊されるなかで、地元民が立ち上がり、市政に訴えかけた結果、2008年に大規模な改修工事が行われ、今に至ります。
永楽館の魅力は、当時のまま残された建物や設備。(永楽館には、花道(hanamichi)、桟敷席(さじきせき)など芝居小屋としての機能がそのまま残されていました。復原工事ではこれらを損なうことのないよう使える部分はそのまま残し、耐震工事や畳の入れ替えなどが行われています)一歩館内に足を踏み入れると、そこには「非日常」という言葉がふさわしい空間が広がっていました。
天井に飾ってあるレトロな手描き看板は、出石の看板屋さんによるもの。広告主はすべて地元の商店で今も営業しているところもあるのだとか。
舞台から客席に延びている通路で役者が入退場に使う花道や、場面展開に使われる廻り舞台など、まるで昔の芝居小屋にタイムスリップしたかのよう。
舞台の奥には、役者たちが利用していた楽屋やお風呂もあり、窓枠にはろうそくの跡まで残っており、これだけのものが現在に残っているという事実に驚きます。
また、1908年当時の役者たちが残した落書きが残されている箇所もみることが出来ます。
なかでも素晴らしいのが、観劇中に舞台が180度回転し、次々に異なる場面を展開することができる廻り舞台の仕組み。見学では、舞台の地下に潜ってその裏側を見ることができます。緻密な計算の上に、ぐるりと綺麗にまわる当時の職人の技術に圧倒されます。
芝居小屋が減少した背景には、娯楽の多様化があります。昔は芝居が人気でしたが、今では映画やテレビ、さらにはスマートフォンの中にある多くの娯楽に取って代わられました。それでも、永楽館には「ここでしか体験できない特別な意味」が詰まっていると感じます。
見出し(H2)>「出石皿そば」を堪能
出石に来たら、絶対に外せないのが名物「出石皿そば」です。小さな皿に盛られた5枚のそばを少しずつ味わうという独特なスタイルを持つ出石そば。その歴史は古く、1706年より信州上田(現在の長野県、そばが有名)の仙石政明が領主になったことに関係しています。
彼が多くのそば職人を連れてきたことと、仙石政明の統治により伝統工芸である出石焼が有名になったことで、出石焼のお皿に少しずつおそばをもって、提供される現在のスタイルが生まれました。
「山下」で頂いた出石皿そばは、風味豊かでコシが強く、シンプルながらも食べごたえがある逸品となっています。こちらのお店では、20皿以上食べると「そば通の証」がもらえるというユニークなチャレンジも用意されているので、胃袋に自信のある猛者は挑戦してみてはいかがでしょうか?
そばを使ったスイーツも一緒に堪能しましょう。「そばプリン」や「そばアイス」「そば団子」といったメニューが充実しています。上の写真は、きなこ味とみたらし味を楽しめる「そば団子」。噛むほどに素朴な甘みが口の中に広がり、ぺろりと食べてしまいました。
見出し(H2)>出石史料館で歴史を学ぶ
出石の歴史をさらに深く知りたいなら、出石史料館にも足を運びましょう。生糸を商っていた明治時代(1868年~1912年)の豪商の邸宅(旧福富家)を改装した館内には、出石の歴史をひもとく史料、甲冑などの武具が展示されています。
また建物自体がとても貴重な文化財で、数寄屋造りという日本の伝統的な建築スタイルの一つで、自然を大切にし、シンプルで落ち着いたデザインが特徴となっています。
まとめ>
豊かな歴史文化と美食が詰まったコンパクトな出石の街。そこには、建物を数百年単位で今に残す職人の素晴らしい技術や、歴史を大切にする人たちの思いがありました。城崎方面に向かう際は、出石に立ち寄り、辰鼓楼や出石城跡を巡りながら、ノスタルジックな街並みを散策し、昔にタイムトリップしたようなひとときを楽しんでみてはいかがでしょうか?
出石や周辺の観光情報について詳しく知りたい方は、こちらからご確認ください。
蜃鼓楼(しんころう)
住所:兵庫県豊岡市出石町内町(Google map)
営業時間:24時間見学可能
定休日:なし
サイト:https://visitkinosaki.com/things-to-do/shinkoro-clock-tower/
出石城跡
住所:兵庫県豊岡市出石町内町98(Google map)
営業時間:24時間見学可能
定休日:なし
サイト:https://visitkinosaki.com/things-to-do/izushi-castle-ruins/
出石永楽館
住所:兵庫県豊岡市出石町柳17-2(Google map)
営業時間:9:30〜16:30
定休日:木曜日
サイト:https://visitkinosaki.com/things-to-do/izushi-kabuki-theatre/
出石皿そば 山下
住所:兵庫県豊岡市出石町田結庄1(Google map)
営業時間:10:00〜17:00 ※平日は15:00
定休日:火曜日
サイト:https://www.izushi-yamashita.com(サイト内にある翻訳機能を活用してください)
出石史料館
住所:兵庫県豊岡市出石町宵田78(Google map)
営業時間:9:30〜17:00(最終入館16:30)
定休日:火曜日
サイト:https://visitkinosaki.com/things-to-do/izushi-history-museum/
Date : 2024.10.28