◇「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。
余計なものは一切加えない、昔ながらの常温製法は守りながら卵や豆腐、フルーツも漬けちゃう「サラダのようなぬか漬け®︎」
私は今年から、「ぬか漬け」に挑戦しています。
きっかけになったのが、三田市の椎木ゆかりさんの「サラダのようなぬか漬け®︎」教室。伝統的な漬け方なのに、カラフル＆オシャレに進化したぬか漬けなんです。
その魅力をレポートします。
ぬか漬け教室を開いている「Shiinuka（シイヌカ）」は、大阪・神戸市内から車で約1時間、山と田畑に囲まれた三田市郊外にあります。
中国自動車道・神戸三田ICから25分、又は新名神・宝塚北ICから10分。
Shiinuka代表の椎木ゆかりさんは兵庫県加古郡稲美町の農家の生まれ。独身の頃、都会に憧れてアパレルに就職したものの頻繁に体調を崩すように。婚後に慢性的な病気になったのを機に、三田の山間に移住されたのだそう。
《椎木さん談》『三田に住むようになって、子どもの頃に祖母が作ってくれていたような昔ながらの素朴な食事や丁寧に作ったものを食べるようになったら、健康になって心も癒されたんです。
食べることって生きていく上で本当に大切なことだと痛感しました。
それで、漬物やお味噌や梅干しなどをすべて自分で作るようになって、最初は趣味で教室を始めたんです』。
12年前に教室をスタートしてから現在まで、受講生さんのぬか床をのべ3,000個以上も観察・お手入れしてきたのだそう。
その経験を元に、未経験者でも簡単に始められ、かつ本格的なぬか床の管理・維持方法をレクチャーされています。
レッスンは、月1回の全3回。ぬか床の材料費、テキスト、各回の試食代金に加え、受講後の永久フォローサービスを含み26,400円（税込）です。
《椎木さん談》『ぬか床は育てていくものなので、日々の変化を観察しながら、毎日の生活に取り入れられるように月1回、3カ月のコース制にしています。
ぬか床の材料である米ぬかは兵庫県三木市の農家さんが農薬不使用や特別栽培で丁寧に育てられたもの。野菜は出来る限り三田市内の契約農家さんの栽培期間中農薬不使用のものにするなど、素材選びも大切にしています。日本伝統のぬか漬けを伝えていきたいのと、健康的な食生活の大切さも伝えたいんです』。
レッスンの流れをご紹介します。
1回目はぬか床づくり。
最初に、動画でぬか床づくりの流れやポイントを学びます。
次は実際にぬか床作り。
《椎木さん談》『おいしくキレイな色に漬けるには、漬け方もですが、ぬか床の状態が一番重要なので、配合や比率を計算して必要な材料はすべて準備しています』。※容器は持参又は別途購入
米ぬかに水、塩、唐辛子や昆布などの薬味を入れて混ぜます。
混ぜ終えたら、そのまま自宅に持ち帰って一旦休ませ、翌日自宅でいろんな野菜を入れて「捨て漬け」をします。
《椎木さん談》『添加物は一切入れない昔ながらの製法なので、野菜を入れることで自然の乳酸菌や酵母菌を増やして発酵を進めるんです。1週間～10日ほどでおいしく漬けられるぬか床に育ちます』。
混ぜ方や保管方法なども教えてもらい、最後はお楽しみの試食です。
季節のぬか漬けオードブルと、土鍋炊きご飯、椎木さんの手作り味噌を使ったお味噌汁と一緒に頂きます。
Shiinukaのぬか漬けの特徴で、お豆腐や果物など、これも漬けられるの？って驚くような食材が並ぶんです！
私の一番のお気に入りは卵。自分でも漬けていて、家族も大好きです。
《椎木さん談》『下準備や処理の仕方を工夫すれば、果物も肉も魚も漬けられます。発酵させると、そのままの食材とはまた違った風味が楽しめるし、色んなものを漬けられると面白いでしょ』。
レッスンの最後は毎回試食で、2回目と3回目はぬか漬けを使ったアレンジ料理が登場。
私が頂いたのは、2回目がぬか漬けを使った米粉のドリアとぬか漬けマリネサラダ。3回目はぬか漬けの刺身や野菜のぬか漬けを使ったカラフルなお寿司でした。
2回目のレッスンでは、美味しいぬか床を維持するために欠かせない「足しぬか」のタイミングや方法を中心に、季節に合わせた管理の仕方を学びます。
最後となる3回目は、ぬか床の症状別の対処法と好みの味にする方法が学べます。
持参する受講生のぬか床を椎木さんが毎回チェックして、それぞれの状態に合わせたアドバイスをしてくださるのは、未経験者の私にとって最大の魅力でした。
《椎木さん談》『最初に同じ材料でぬか床を作っても、みなさん違う味のぬか漬けができます。それが面白いところ。
ぬか床は育てるものなので、レッスン終了後も不安や疑問が出た時はいつでも相談できるように「永久フォロー」を付けています。常温の昔ながらのぬか漬けでも、ポイントを押さえれば実は簡単なので、もっと気軽に楽しんで欲しいんです』。
素晴らしい日本の伝統食であるぬか漬けを、世界にも広めたいと、新たに外国の方向けのレッスンもスタート。
Shiinukaでは「サラダのようなぬか漬け®︎」の物販も行っていて、「農協市場館 パスカルさんだ」などで購入できます。「五つ星ひょうご」にも選定されているんですよ。
また、ぬか漬けの無料試食や、ぬか床の観察＆アドバイス、足しぬか作業などをすることができるイベント「Nukadokoマルシェ」も毎月1回、JR三田駅前のキッピーモールで開催しているのです。※詳細・日時はHPで確認を。
Shiinukaのすぐそばに 2023年8月にオープンした「GLAMPING & BBQ VILLAGE 焚き火テラス」（https://takibiglamping-hyogo.com/）との提携もスタート。食事オプションを申し込むと、椎木さんの土鍋炊きご飯＆ぬか漬け重箱の朝食が頂けるそうですよ。
ハードルが高いと思っていたぬか漬けですが、意外と簡単においしく漬けられて、においも気になりません。
腸まで届きやすい植物性乳酸菌がたっぷりのぬか漬けは腸活にも最適。さらに、乳酸菌の生み出す酵素や生の野菜自体の酵素が摂取できて、ダイエットや美肌にも効果的です。
サロンのお客様にお茶請けとして出したいなと思っているので、大切にぬか床を育てます！
DATA：
◇ Shiinuka（株式会社Shiinuka）
兵庫県三田市波豆川 1744-1
Tel：050-7114-2997
営業時間：9:00～17:00
不定休
https://www.nukazukeyukari.com/
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掲載日：令和6年8月23日
