◇「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。
日本一の漁獲量を誇る浜坂で、ホタルイカ漁の最盛期到来!
しゃぶしゃぶや刺身など産地ならではのホタルイカ料理が勢揃い
兵庫県北部・新温泉町にある浜坂では、ホタルイカ漁が始まっています。
町内に2つの水揚げ港を持つ浜坂は、カニのまちとして知られていますが、実はホタルイカの漁獲量も日本一なんです!
さらに浜坂の漁師さんたちは、鮮度へのこだわりがすごい!
釜揚げや沖漬けだけじゃなく、しゃぶしゃぶや天ぷらにしても絶品な浜坂のホタルイカのおいしさの秘密をレポートします。
浜坂で本格的なホタルイカ漁が始まったのは1986年頃。
浜坂漁協組合理事・川越伸二さんは、浜坂でホタルイカの漁法を確立した人です。
《川越さん談》『カニ漁が終わる2月下旬頃になると網に小さいイカがいっぱい入って来るんです。それが富山で名物になっているホタルイカだとわかって、浜坂でも獲れるんだとびっくりして、漁獲してみることにしたんです』。
当時のホタルイカ漁と言えば、海に網を設置する定置網漁法。
浜坂では、全国で初めて、海に投げ入れた網を船で引いて獲る底引き網漁を用いた、ホタルイカ漁法を確立。今では日本一の漁獲量を誇っています。
《川越さん談》『浜坂はカニ漁が中心ですから、底引き網漁なんです。ホタルイカを底引き網漁で獲ってる地域は他になかったけれど、カニ漁の技術をそのまま使いたかった。だから、カニ漁で使う魚群探知機で魚群を探し、網の目を小さくするなどの創意工夫を重ねました』。
ホタルイカは、水深200~300mほどの深海を遊泳していて、春になると産卵のため日本海の浅瀬に移動してきます。この時期に漁獲されることが、“春を告げる海の幸”と呼ばれる所以。
《川越さん談》『定置網は浅瀬にあるので、入って来るのは産卵間際の大きく成熟したホタルイカ。浜坂の漁船は沖に出て深海を泳ぐホタルイカを獲るので、他の地域より小ぶりですが、若いから身がぷりぷりしてて脂のりも程よい。茹でると、プリっとした感じが良く分かりますよ』。
浜坂では、美味しいホタルイカを届けるための技術も次々に取り入れているそうです。
《川越さん談》『平成23年から獲ったホタルイカを船上ですぐにパック詰めする設備を導入しました。流通するホタルイカはボイルしたものが主流ですが、船上パッキングしたものは、生のままで販売できるんです』。
さらに、ホタルイカは寄生虫による食中毒の恐れがあることから生食できませんが、浜坂では刺身で食べられるホタルイカも販売してるんです!
《川越さん談》『平成26年からプロトン凍結を行っています。入港したら浜坂漁協の加工施設ですぐにトレイに一匹ずつ並べて瞬間冷却していくんですが、この新しい凍結技術は殺虫能力があるため、ホタルイカが“生”で食べられるようになりました。プロトン凍結で販売できるのはまだ漁獲量の3%程度ですが、刺身で食べるホタルイカは非常に旨いですよ』。
漁師さんたちが徹底的に鮮度にこだわった浜坂のホタルイカ。
火を通し過ぎないことが、美味しく食べるポイントなのだとか。
《川越さん談》『例えばボイルする時は、茹で過ぎないことが大事。ぷくっと膨らんで色が変わったらすぐに上げて、ワタが出ないように冷水ですぐ締める。ホタルイカは独特なワタの甘みが美味しいからね』。
▲ ホタルイカの刺身
川越さんおすすめの調理法を聞いてみました。
《川越さん談》『一番好きなのは、蛸の代わりにホタルイカを使うたこ焼き。ホタルイカの旨味がジュワっと溢れてきて、すごく美味しい。スパゲティに入れたり、かき揚げにするのも好きやね。新鮮なものは、どんな風に料理しても旨いですよ』。
地えび料理も一緒に味わえる!
『浜坂みなと ほたるいか祭り&地えび』開催
ホタルイカが水揚げされる3月~5月の間、浜坂では飲食店や宿でさまざまなホタルイカ料理が楽しめます。中でも、新鮮なホタルイカだからこそできる「ホタルイカのしゃぶしゃぶ」は、地元ならではの食べ方。
浜坂漁港近くにあるマル海 渡辺水産『お食事処 味波季』では、ホタルイカのしゃぶしゃぶ鍋やホタルイカの柳川風陶板焼き、ホタルイカの軍艦巻きなど、ホタルイカづくしのメニュー『ほたるの舞』3,190円(税込)が登場。
ホタルイカ料理が食べられる宿もあります。「かにソムリエの宿 澄風荘」では、ホタルイカの釜揚げが人気。
小鍋でさっと茹でるホタルイカの釜揚げ。
熱々のぷりぷりのほたるいかに生姜醤油やポン酢、酢味噌をかけていただきます。
ぷちぷちした食感がたまりません。
「ホタルイカ釜揚げ☆海賊焼き」が付いた『かにソムリエの宿 澄風荘』の宿泊プランは15,800円(税サ込)〜、日帰りプランは8,800円(税サ込)~です。
毎年大勢の人で賑わう恒例の『浜坂みなと ほたるいか祭り&地えび』が、今年も2024年4月7日(日)に、浜坂漁港せり市場で開催されます。
会場には、ホタルイカのしゃぶしゃぶや炊き込みご飯、串揚げなど、旬のホタルイカを使ったさまざまな料理が登場。中でもクレーンで吊るした直径1.5mの大釡で茹で上げるホタルイカの釡揚げは毎年大好評です。
同じ時期に水揚げされる、浜坂の地えび料理も味わえます。
船上パッキングされたホタルイカ『浜ほたる』や、刺身で食べられるプロトン凍結のホタルイカも販売。
浜坂で、産地ならではのホタルイカ料理を味わってみてください。
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DATA:
◇ 浜坂観光協会
https://www.hamasaka.com/
◇ マル海 渡辺水産「お食事処 味波季」
兵庫県美方郡新温泉町芦屋853 渡辺水産ビル2階
Tel:0796-82-5001
営業時間:11:00~15:00、17:00~22:00
不定休
http://www.maruwa55.com/restaurant/menu/menu-ajinamiki.html
◇ かにソムリエの宿 澄風荘(しょうふうそう)
Tel.0796-82-4401
https://syofuso.com/
http://syofuso.hatenablog.com/
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掲載日:令和6年3月22日 グルメ