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淡口醤油発祥の地「龍野」で「本場の醤油」に出合う旅

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私がレポートします!

稿
兵庫県庁に出向中の現役CA 
女性
30代
大阪府
サーフフィット
ANAから兵庫県観光振興課に出向中の現役CAです。出身は兵庫県たつの市です。兵庫五国の魅力を探りながら、地元の通な情報や行ってみたい兵庫のおすすめ観光スポットをご紹介します。CAといえば、各地の美味しいものを知り尽くしたグルメ!旅の楽しみに欠かせないグルメ情報も発信していきたいと思います。

◇現役ANA CAがおすすめする、兵庫の観光スポット特集シリーズ◇

ANAより兵庫県庁に出向中の現役CAが、兵庫五国の魅力を探りながら、おすすめ観光情報をご紹介します。食と文化のルーツを知る、食べる、体験する“兵庫テロワール旅”に出かけてみませんか?

第6弾は、“淡口醤油発祥の地「龍野」で『本場の醤油』に出合う旅”をレポート。

 

淡口醤油発祥の地

日本料理には欠かせない、食材の色や風味を活かし、料理を引き立たせることができる「淡口(うすくち)醤油」は、江戸時代に龍野で生まれました。

龍野を流れる揖保川の伏流水は軟水で、鉄分が少なく淡口醤油の醸造に適しており、付近の播磨平野から産出される良質の大豆、小麦、米と赤穂の塩などの主原料が容易に入手できたことや、京都・大阪などの大きな消費地が近くにあったことも龍野で醤油づくりが栄えた理由です。

 

 

昭和54年開館、全国初の醤油資料館

たつの市龍野伝統的建造物群保存地区にある、昭和54年(1979年)開館の全国初の醤油の資料館「うすくち龍野醤油資料館」は、ヒガシマル醬油が運営しており、淡口醤油の歴史について学ぶことができる珍しい資料館です。

 

 

煉瓦造り風の建物は、ヒガシマル醬油の元本社社屋で国登録有形文化財です。

資料館の向かいにある昔ながらの建物はヒガシマル醬油の工場跡で、今でも中には木桶が残されているのだとか。

 

 

資料館周辺や建物内部はレトロで絵になるスポットが満載です。

 

 

そして、入館してまず驚きなのが入館料。

 

 

「御縁が重なる重縁」にちなみ、入館料は10円と驚きの料金!

内容は10円以上の価値ありと自信を持って言える充実度です。

さっそく見学してみましょう。

 

まず初めに、淡口醤油の歴史を学ぶビデオを鑑賞します。

これを見れば、龍野の醤油文化を理解することができます。

 

 

展示のスタートは、大正時代の歴史ある木製の看板から。

下段には原料の展示も。龍野の淡口醤油は原料に米(甘酒)があることが特徴です。

 

 

展示エリアには、井戸や地釜、麦炒場ほか昔実際に使われていた設備や道具などが展示されています。

 

 

先人の知恵が詰った貴重なものがズラリ!

 

 

持ちやすいよう工夫した形になっている珍しい形の桶。

 

 

 

狐桶という、絞り布にもろみを入れやすいように先が細くなっている桶も。

 

 

《長井館長談》

「醤油蔵で大切な『室』。蒸した大豆、粉にした小麦、麹菌を混ぜて麹蓋に入れ3日間で醤油麹を造ります。麹菌というのは、各メーカーが持っているブラックボックスで、ヒガシマルにはヒガシマル菌というのがあります。」

 

 

展示されている室は煉瓦造りで、室内の温度調節のため天井が開閉できるようになっています。

 

 

こちらは仕込桶。約5400リットルもの「もろみ」が入るようになっています。

 

 

発酵熟成させたもろみを絞るのが圧搾機。昔は「てこの原理」を利用し、大きな圧搾機でもろみが絞られていました。

 

 

《長井館長談》

「うすくち龍野醤油資料館の役目は残すこと。淡口醤油のアピールもしますが、昔使っていた道具を残していく、知ってもらう、それが大切です。」

 

機械化され安定的な品質の商品を作ることのできるのが現代。一方で、昔ながらの道具等の文化・伝統を大切にし、残していくことも醤油資料館の重要な役目ということですね。

 

国産原料・天然醸造のこだわり「末廣醤油」

 

 

たつの市の揖保川より西側のエリアには、昔は数多くの醤油蔵がありましたが、現存するのは明治12年創業の老舗醤油蔵「末廣醤油」1軒のみ。

 

大手醤油メーカーでは、機械化により効率的かつ近代的な方法で醤油がつくられていますが、末廣醤油では昔ながらの伝統的な製法、天然醸造で醤油づくりをされています。

社長の末廣さんにご案内いただき、蔵を見学しました。

 

《末廣さん談》

「昔ながらの原料を使い伝統的なつくり方で良い醤油、おいしい醤油を作ろうとしています。じっくりとゆっくりと発酵、醸造させていく。時間が醸し出す味わいもあると思うので、そういう醤油造りをしています。」

 

 

原料は全て国産。さらに淡口醤油には「兵庫県産」の大豆と小麦を使用するこだわりも。原料には、淡口には合うが濃口には合わないものもあるそうで、それぞれ日本全国から加工に合う品質の良いものを取り寄せられています。

 

醤油づくりの重要な工程「麹づくり、もろみの熟成」

 

 

麹づくりの様子も見学させていただきました。

蒸した大豆と粉にした小麦に麹菌を混ぜ、丸二日ほど育てれば麹が出来上がります。もろみの元となる重要な工程です。

 

 

 

《末廣さん談》

「出来上がった麹を塩水に混ぜたものが「もろみ」。麹菌が酵素を作り、その酵素が大豆や小麦を分解して、うま味の成分を塩水に溶かしこんでくれる。もろみは年月によって全然色や香りが違います。豆の生々しいにおいから、次第に醤油の香ばしい香りに変化します。」

 

 

こちらは3年仕込みのもろみ。通常は1年半から2年でもろみは搾られますが、長期熟成醤油のための特別なもろみです。色は深く、香りは醤油そのもので、既に主要な発酵は終わりじっくりと熟成の段階に入っています。

 

 

醬油の味の決め手となる酵母菌

《末廣さん談》

「酵母菌というのは、自然界の色々なところにいる微生物ですが、この「蔵棲み」の酵母菌がうちの味の決め手です。酵母菌はもろみの中で生活しているのですが、色んなタイプがあって、その生活の仕方によりそれぞれの味が生まれる。これが非常に大事です。酵母菌などの多くの微生物が醤油を作っているので、良いように働くよう環境を整えるのが私たちの仕事です。もろみは生き物なので定期的に攪拌し、空気を均一にして微生物が活動できる環境を整えます。」

 

醤油は、麹を作る、もろみを作る、もろみを搾るという行程で出来上がり、その行程は非常にシンプル。シンプルだからこそ、その一つ一つの作業に手間をかけて丁寧に行われている末廣醤油。

 

 

もろみを搾る作業は、手作業で布にもろみを延ばしていくため非常に手間がかかります。もろみが詰められた布を幾重にも重ね、それをじっくりとプレスすることで、搾りだされた醤油が下に溜まっていきます。

 

 

この時に出来上がる醤油は、生醤油という搾りたてのおいしい醤油だそうですが、このままでは酵母菌が生きているため発酵が進んでしまうそうで、搾った醤油は火入れをして殺菌されます。

 

 

もろみを搾った後に残るものは「醤油粕」といい、飼料などに再利用されています。

 

火入れをして加熱殺菌された醤油はおり下げ、ろ過などの工程を経て一番美味しいところだけが醤油になります。

 

 

淡口醤油の今

《末廣さん談》

「淡口醤油というのが龍野の名産ですが、全国でみれば濃口醬油が圧倒的に主流です。最近は出汁醤油を使う人も増えてきて、一層、淡口醤油を使う人が減っています。一方で、アメリカやフランスなどの日本料理店などで淡口醤油が使われていることもあり、海外にも少し出荷しています。」

 

 

最近は、お洒落な小瓶に入った紫醤油シリーズが人気!

「かけ醤油」「つけ醤油」としても使える、お料理の美味しさを引き立てる気品溢れる淡口醤油の「淡紫」。

究極の美味しいお醤油を目指してつくられたという濃厚な味わいが特徴の「濃紫」。

オリーブオイルとの相性も抜群!燻製と醤油の香りが斬新な、新感覚の燻製した醤油「薫紫」。

 

 

末廣醤油の醤油は、じっくり時間をかけて作られた天然醸造のお醤油で、味も香りも格別!ぜひ、味わっていただきたい逸品です。

 

 

末廣醤油の直売所や末廣醤油から徒歩約4分の「クラテラスたつの」で末廣醤油の醤油がお買い求めいただけます。

 

淡口醤油発祥の歴史を学んだ後に、天然醸造の「本場の醤油」を味わう旅はまさに「兵庫テロワール旅」そのもの。

淡口醤油が生まれた町「龍野」を旅してみませんか?

 

 

◇うすくち龍野醤油資料館◇

住所:たつの市龍野町大手54-1

TEL:0791-63-4573

休館日:毎週月曜日(月曜が祝日の場合は開館)・年末年始

開館時間:09:00~17:00(入館は16:30まで)

 

◇末廣醤油株式会社◇

住所:たつの市龍野町門の外13

TEL:0791-62-0005

営業日・時間:月~金、08:30~17:00(祝日を除く)

http:www.suehiro-s.co.jp(オンラインショップあり)

 

◇クラテラスたつの◇

住所:たつの市龍野町上霞城126 醤油の郷 大正ロマン館内

TEL:0791-72-9291

営業時間:10:00 - 17:00(SHOP)
定休日: 月曜日(月祝日は営業、翌火曜休み)

 

 

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