◇「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。
開湯800年有余年の歴史を持つ「宝塚温泉」。
宝塚の炭酸鉱泉は、炭酸水「ウィルキンソン タンサン」のルーツなんです。
宝塚歌劇で知られる宝塚市がかつて、「湯のまち宝塚」と呼ばれていたのをご存知ですか？
宝塚で生まれ育った私たちも、観光大使・サファイアになって初めてその歴史を学びました。
「宝塚温泉」は鎌倉時代にはすでに知られていたそうで、“金宝泉”と“銀宝泉”の2種類があります。しかも「宝塚温泉」は、大人気の炭酸水「ウィルキンソン タンサン」のルーツなんです！
今回、そんな「宝塚温泉」についてご紹介します！
「宝塚温泉」は、武庫川沿いにあるのですが、いつ発見されたのかはわからないそうです。最も古い記録として、鎌倉時代の歌人・藤原光経の歌集に登場していて、今から800年ほど前には既にその存在が京の都にも知られていたのだとか。
そして、宝塚が温泉地として本格的に開かれたのは、明治中期。武庫川右岸に湧き出していた「酸い水と鹹（しおから）い水」が、飲用にも浴用にも適した良質な鉱泉水であることがわかり、兵庫と大阪の有志が共同で温泉場を開発。明治20年（1887年）に「宝塚温泉」が開業しました。
▲ 初期の旧温泉 写真提供／宝塚市立中央図書館
ただ、開湯当時はまだ鉄道がなく、入浴客が思うように増えず明治25年（1892年）に最初の温泉場が閉鎖。その後、宝塚温泉場持主組合によって復活したものの、明治30年の大雨で武庫川が氾濫し、浴場が流失してしまいます。
それでも「宝塚温泉」は明治32年（1899年）に再復活します。明治30年に阪鶴鉄道（現在のJR）が宝塚まで開通していたため、再建された温泉場は賑わい、旅館や土産物店などが次々に誕生。宝塚駅と温泉場を結ぶ宝来橋（ほうらいばし）が武庫川に架けられたのもこの頃だそうです。
▲ 現在の「宝来橋」
宝来橋のそばに建つ「ホテル若水」の館内には、明治30年（1897年）の大雨の際に大阪・堺まで流れていったとされる「寳塚温泉」の看板が飾られています。
さらに、「ホテル若水」の前には、「宝塚温泉碑」もあります。
ここでちょっとご注目ください！
「宝塚温泉碑」の隣には、「天然たんさん水 この下にあり」と刻まれた石柱もあります。これは武庫川の氾濫で消失したとされる石柱を復元したもの。
実は、温泉場開発の際、源泉のそばで湧き出ていた炭酸鉱泉も発見されていました。宝塚温泉の「酸い水と鹹（しおから）い水」の「酸い水」の方が、炭酸鉱泉だったのです。そして明治22年（1889年）、この炭酸鉱泉と出合った英国人のジョン・クリフォード・ウィルキンソンさんが、日本で初めて「タンサン」と名付けて炭酸鉱泉の瓶詰め販売を開始し、「タンサン」という言葉の起源となっています。
つまり、大人気の炭酸水「ウィルキンソン タンサン」は日本のもので、発祥の地は宝塚なのです！
宝来橋の上からだと見えにくいのですが、橋の下へ降りて川面をジーっと見ていると、時々、川の底からポコポコと気泡が浮かび上がるのが見えます。これが「ウィルキンソン タンサン」のルーツの炭酸鉱泉。
近くには、とっても珍しい「ウィルキンソン タンサン」だけの自動販売機もあります。宝塚は、まさしく炭酸水の聖地です(笑)
▲ 宝塚新温泉 写真提供／宝塚市立中央図書館
歴史の話に戻りますと、現在の阪急電鉄の前身である箕面有馬電気鉄道の電車が開通し、明治44年には「宝塚新温泉」も誕生。“新旧”の宝塚温泉街が武庫川を挟んで広がっていきました。大阪万博が開催された昭和45年（1970年）、新旧の宝塚温泉の年間宿泊者数がなんと130万人以上だったそうです。阪神淡路大震災など様々な要因によって温泉街は無くなりましたが、かつての宝塚は一大温泉地だったんですね。
そんな「宝塚温泉」に気軽に入浴できるのが、JR・阪急どちらの宝塚駅からも徒歩3～4分というアクセスの良さが魅力の日帰り温泉施設「ナチュールスパ宝塚」。先ほどの「ウィルキンソン タンサン」の自動販売機はこちらの前に設置されています。
▲ 金宝泉
▲ 銀宝泉
「宝塚温泉」には、鉄分の含有量が多く茶色く濁った「金宝泉」と、透明な「銀宝泉」の2種類があるんです。「金宝泉」の泉質は、含弱放射能・ナトリウム・塩化物冷鉱泉。「銀宝泉」の泉質はナトリウム・塩化物冷鉱泉。「ナチュールスパ宝塚」では、「金宝泉」と「銀宝泉」の両方を楽しむことができます。同じ施設内で2種類の温泉に浸かれるって嬉しい♪
4階にある露天ジャグジーは、水着着用の男女共用スタイルなので、家族やグループで一緒に楽しめます。館内には、岩盤浴やフィットネス、女性専用エステもあります。
宝塚温泉碑がある「ホテル若水」でも、日帰り入浴ができます。ヒノキの香りが漂う展望大浴場や、宝塚市街が見渡せる露天風呂があります。
温泉でゆっくり温まって、湯上りにはキーンと冷えたシュワシュワのウィルキンソン タンサンを飲む！
駅近で思い立ったらすぐ来られる宝塚温泉、ぜひ味わいに来てください。
DATA：
◇ ナチュールスパ宝塚
兵庫県宝塚市湯本町9-33
Tel：0797-84-7993
営業時間：平日9:30～22:00、土日祝9:30～21:00
定休日：毎週木曜
入浴料：一般女性1040円・男性840円、高齢者（65歳以上）730円、小学生530円（タオル付・税込）
※露天ジャグジー利用は水着着用（有料レンタルあり）
http://www.naturespa-takarazuka.jp/
◇ 宝塚温泉 ホテル若水
兵庫県宝塚市湯本町9-25
Tel：0797-86-0151
◎日帰り入浴
利用時間：11:30～22:00（最終受付20:00）
料金：大人1800円、子ども900円（タオル付・税込）
※繁忙期は日帰り入浴での利用不可のため、来館前の確認が必要
https://www.h-wakamizu.com/
※記事中の価格はすべて税込みです。
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よみがえる尼崎城御膳 ～特別に尼崎城で朝食を～（宿泊プラン）
尼崎市立歴史博物館協力のもと、尼崎藩の藩主である尼崎城主や藩士といった尼崎藩で暮らしていた人々が食したであろう食材を使用した料理をDC開催にあわせて、尼崎城御膳としてホテルで提供します。また本プラン利用者には、尼崎城開城前の時間帯に入城していただき、ホテルが用意した朝食を尼崎城天守内で召し上がっていただくとともに、DC特別プランとして、それぞれのお客様に専属案内人が付き、尼崎城をご案内。よりディープに尼崎城を楽しんいただけるなど、尼崎城での特別なひとときを体験していただけます。
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掲載日：令和5年2月10日
