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「佐藤健寿展 奇界/世界」初の美術館での個展が、西宮市大谷記念美術館にて!

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稿
Tourist Information French Desk
女性
30代
兵庫県
海外旅行
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フランスからの観光客はまだ少ないですが、日本のグルメやサブカルチャーが密かに人気です。
ヨーロッパの皆様にも兵庫の魅力を発信していきます♬

まだまだ知らない世界がたくさん。
“奇妙”とは?“普通”とは?

 

 

西宮市大谷記念美術館にて、「佐藤健寿展 奇界/世界」が開催中です。
会期は、2022年6月5日(日)まで。

 

佐藤健寿(さとう けんじ)氏は、武蔵野美術大学卒のフォトグラファー。
これまで世界 120 カ国以上を巡り、各地のありとあらゆる “奇妙なもの” を対象に、博物学的・美学的視点で撮影と執筆活動を行ってきました。
TBS系「クレイジージャーニー」など多数のテレビ番組に出演されています。(筆者はクレイジージャーニーをきっかけに大ファンとなりました!)

 

今回、美術館でのの個展が、我が兵庫県の西宮市で行われているとのこと!
本展覧会のために210点の写真を新規プリント、佐藤氏よる作品解説、国立民芸博物館の資料も展示と見どころがたくさん。

 

まずは、
佐藤健寿氏の代表作『奇界遺産』の展示室
※『奇界遺産』は、佐藤氏の造語をタイトルとして 2010 年に出版された写真集

 

 

本書に収録されている写真が展示されており、佐藤氏の目を通して立ち現れた世界中に散らばる不思議な物語の数々を12のテーマでたどります。
テーマは、「居住」「廃墟」「奇景」「習俗」など。
多様な文化や建築、自然が生んだ奇景、奇妙に見える風俗を持つ人々など、世界各地に存在する不思議なものたちの数々が展示されています。

 

 

テーマ「構造物」:ベトナムにある『スイ・ティエン公園』


《スイ・ティエン公園/ベトナム》2009年 ©KENJI SATO

 

ホーチミンにある巨大な庶民向けテーマパークで、人の顔をしている彫像はそれ自体がウォータースライダーとなっており、伝説のベトナム初代国王がモデル。
こんな不思議なテーマパークがあるとは。。見てみたい!

 

テーマ「習俗」:北朝鮮の『マスゲーム』

 

平壌で行われる集団演舞で、10万人ともいわれる演者たちが90分あまり一糸乱れぬ動きを披露する。発祥はドイツらしく、日本で明治神宮体育大会にて採用、そのあと北朝鮮でマスゲームが始まったそう。
意外なルーツに驚き。そして、マスゲームの一人一人の細かい様子に見入ってしまいます。

 

テーマ「廃墟」:『摩耶観光ホテル』

 《Kobe, Hyogo, Japan》2019年 ©KENJI SATO

 

我が兵庫県神戸市にある、1912年代に建てられた摩耶山麓上の美しいホテルです。
日本では珍しいアール・デコ様式建築の傑作とされ、「廃墟の女王」と呼ばれています。2021年6月に登録有形文化財となっています。
現在、月1回行われているツアーでも建物内部に入ることはできないので、貴重な写真です。美しい。

 

テーマ「信仰」

 

海外と日本の信仰が展示されており、
日本のものでも「え、日本にこんな海外みたいな信仰行事があるの?」と思ってしまうほど、自国のものなのに何故か異国を感じてしまう風景。
異国を感じてしまうのはなぜなのか。あたりまえ=これは自国のものであるという“常識”とは何なのかを考えさせられます。

 

国立民族学博物館蔵の『棺(飛行機)』

 

ガーナの首都アクラ近郊の町テシで制作された棺。死者の葬儀の際、死者の職業や趣味、性格に因んで、遺族がそのかたちを決めて発注するそう。この飛行機の棺は、世界を飛び回っていた国際的ビジネスマンを偲んでつくられました。おもしろい!

 

“奇妙”とは、そして“普通”とは何なのか。世界の奇妙な遺産から多様性を考えさせられます。

 

次は、
シンプルな視点で世界を捉えた 2021 年の新刊『世界』の展示室

 

 

過去20年間で120か国以上を巡った佐藤氏にとって、『奇界遺産』が旅の目的地であるのに対し、『世界』はその途上における旅人としての記憶の断片が展示されています。
撮影旅において撮影地=目的地で過ごす時間は全体の一割にも満たず、その多くの時間は移動する中で過ごしています。そんな『奇界遺産』を求める旅の中での、名もなき風景たちです。

 

最後は、
撮り下ろし(西宮とその周辺)、SATELLITE、映像「展覧会開催記念インタビュー」

 

 

本展のために西宮市と関西近隣都市を空撮した新作が展示されています。

 

 

世界中を旅する傍ら、日本各地の撮影も精力的に行う佐藤氏。意外にもこれまで一番撮影の機会が多い国は日本だそう。
私たちが見慣れている日常や街の様子が、佐藤氏の視点により新たな風景となります。私たちの暮らす街にはこんな姿もあったのだと新しい発見があり、より愛着が湧いてきます。

 

2015年に刊行された『SATELLITE』は、その名の通り人工衛星が「撮像」したイメージを佐藤氏が編纂した、日本でほぼ前例のない人工衛星写真集です。
是非、大きな写真で「いつか人類が見る、最後の絶景」を鑑賞してみて!

 

佐藤氏のインタビュー映像もあり、是非すべて見てほしいです。

 

 

「この展覧会を通して“普通”と“奇妙”の境界線が揺らげば。」
私たちが考える“普通”は、外部の人が見れば“奇妙”に変わる=私たちが思う”奇妙”は、その人たちにとっては“普通”。
この世界に「奇妙なもの」は存在しないのではないかという逆説にたどり着いた佐藤氏のように、私たちも常識とは何なのか?を今一度考え、多様な視点で物事を捉えることの大切さを感じるきっかけになってほしいです。

 

さて、展覧会を堪能した後は、グッズ売り場へ。

 ポストカード、クリアファイル、マグカップなど可愛いオリジナルグッズがたくさん。
写真集や本展覧会の図録もあり、家でゆっくり改めて作品を鑑賞するのにおすすめ!

 

また、館内にあるカフェ「COFEE HOUSE FIELD」で、美しい日本庭園を眺めながら、
アートカプチーノを是非。

 

 

世界的パンデミックによって世界への扉が閉ざされてしまった今、新鮮な旅に思いを馳せる機会や、新たな世界を見つけるためのヒントとして是非、西宮市大谷記念美術館へ足を運んでみてください!

 

 

DATA:

<佐藤健寿展 奇界/世界>

会期:2022年4月2日(土)〜6月5日(日)

休館日:水曜日 ※ただし5月4日(水・祝)は開館

開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)

入館料:一般1,200円、高大生600円、小中生400円

*西宮市内在住の一般の方は1,000円(要証明書呈示)

*西宮市内在住65歳以上の方は500円(要証明書呈示)

*ココロンカード・のびのびパスポート呈示の小中生は無料

*心身に障がいのある方及び介助者1名は無料(要手帳等呈示)

http://otanimuseum.jp

 

西宮市大谷記念美術館

兵庫県西宮市中浜町4番38号

開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)

休館日:水曜日(ただし、祝日の場合は開館し、翌日休館)・展示入替期間

アクセス:阪神電車 香櫨園駅より徒歩6分/JR神戸線 さくら夙川駅より徒歩15分/阪急電車 夙川駅より徒歩18分

電話番号:0798-33-0164

http://otanimuseum.jp

 

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