◇「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。
花をテーマにした素敵なイベントが多く開催される但東町で長い歴史をもつ「法華寺」
滝行・読経・写経といった特別なお寺体験を、ご住職の楽しいお話とともに。
私が暮らす豊岡市に、滝行まである本格的な修行体験ができるお寺があります。
市の東側、のどかな里山が広がる町にある「法華寺」です。
半日と1泊2日、2種類の「修養道場」があり、冬場でも滝行ができる珍しいお寺です。
今回は実際に半日コースに参加した様子をレポートします!
「法華寺」は、宮津与謝道路・与謝天橋立ICから約30分。または舞鶴若狭道・福知山ICから50分ほどの距離にあります。
元和4年(1618年)に建立されて間もなく、裏鬼門にあたる神瀧山山頂に守護神として鬼子母神が祀られたことから、子授け・子育てなど、子どもの神様として、江戸時代から深い信仰を集めてきたお寺。
地元では“赤花鬼子母神”という名でも知られています。
毎年4月の「鬼子母神大祭」には、露店も並び、多くの参拝者が訪れるんですよ。
ご住職・吉木英雄さんに出迎えて頂き、まずは本堂で本日の流れや注意事項の説明を聞きます。「人と繋がり、地域に開かれた寺でありたい」という思いから、一般向けの修養道場を始められたそうです。
「半日修養道場」の流れは、こんな感じです。
1.読経
2.神瀧の滝での滝行
3.神瀧山山頂の奥の院へ参拝
4.写経
5.ご住職とのお話
ご住職と一緒に出発。
獣道といった雰囲気の山道を進んでいきます。
山頂にある奥の院までは急な登りが続くので、滑りにくい靴が必須です。
登り始めてすぐ、背に石を担ぎます。
奥の院へ続く山道を、石で補修しながら登るそうで、これも修行の一つ。
数個の石でもずっしり重くて、足を止めてしまいそうになりますが、ご住職に励まされながら歩を進めます。
お寺から15分ほどで神瀧の滝に到着。
落差20mほど。秋になると紅葉がキレイだそうです。
滝のそばの小屋で、女性は水着の上に白衣、男性は下帯(ふんどし)に着替えます。
白衣は水にぬれると透けるので、女性は上下とも水着が必要です。
滝行とは、「垢離(こり)」という心身の穢れをとり清浄にする水行なのだそう。
ご住職から、3つのことを心に思い浮かべながら挑むようにとのお話。
一つ、今まで生きてきた中で、他人に迷惑をかけたり、他人を傷つけたりしたことを、少しでも流させて頂く。
二つ、他人からされて傷ついたこと、嫌だったことを少しでも流させて頂く。
三つ、自分自身を清めるだけでなく、親兄弟や知人友人など周囲の恩ある人たちの罪を少しでも流させて頂く。
お清めの塩をまき、ご住職が祈祷してくださった後、いよいよ滝の中へ。
水の轟音で何も聞こえず、前も見えず、頭に水がかかると息ができなくて苦しい‼
わずか5分ほどですが、言葉にできない体験。
ご住職のお話を聞いて、自分と向き合うとか、今までお世話になった大切な人たちのことを思うとか、色々考えていましたが・・・
実際に滝に入ると、とにかく息をするのに必死で何も考えられませんでした(*_*;
でも終えた後は、心身ともに軽くなり、すっきり。体はぽかぽか。
今まで感じたことがない不思議な体感でした。
一緒に体験した同行者は終了後、「力が漲っていて、今なら何でもできそうな気分」と言っていました。
滝行の後は、背負ってきた石で道を補修しながら、山頂にある奥の院を目指します。
急な坂道を30分ほどかけて登るため、雪や雨など天候によって行けない日もあるそう。
山頂に辿り着くと、小ぢんまりした鬼子母神本殿が見えてきます。
本殿は昭和2年に火災で焼失したもののご本尊は無事だったそうで、昭和6年に再び建立されました。
本殿で心願成就の祈願。
本殿の見事な彫刻も見どころの一つ。
下山したら、写経です。
ご先祖様の供養ために行う御題目写経。
私は普段、正座をすることも、筆で字を書くこともないので、緊張して背筋が伸びます。
書き終えた写経は、翌朝のお勤めでご住職が回向(供養)してくださいますよ。
最後は、ご住職とのお話の時間です。
今回の修養道場で私が一番楽しかった時間です。
生き方について、人生について、悩み事や心配事、何でも話して良いそうです。
話した内容について、ご住職の経験をもとに、ひとりひとりに合わせたお話をいただくことができます。
ご住職の話を聞くと、「これからどんな心配事があってもなんとかなる」と前向きな気持ちになれました。
滝行をはじめ、読経や写経、ご住職とゆっくりお話までできる修行体験は、なかなかないと思います。
ご住職・吉木さんはアメリカ滞在経験があって英語を話されるので、海外の方も修養道場に参加されるのだとか。日本でしかできない貴重な体験になったと、喜ばれるそうです。
「修養道場」は広く一般に開かれていて、お寺もとてもWelcomeな雰囲気。
気軽に参加して、非日常の特別なお寺体験をしてみてください。
DATA:
◇ 鬼子母神 法華寺
兵庫県豊岡市但東町赤花398
※豊岡市内に「法華寺」が2軒あるためナビ利用時はご注意ください。
Tel:0796-56-0526
https://kishimojinhokkeji.wixsite.com/my-site-230720
【兵庫テロワール旅 関連情報】
兵庫ならではのテロワールを体験できる“おすすめツアー”をご紹介
「風船に乗って飛んでみたい!」という夢が叶う体験。大自然に囲まれ、季節ごとに様々な景色を見せる神鍋高原で、バスケットに揺られて浮かぶ上空30mより鳥と同じ目線で360度の大パノラマを眺められます。気球の立ち上げ準備では、1000℃以上・7mもの火柱を放つ迫力あるバーナーの熱と音を体験いただけます。実際に、見て・触って・中に入って・バスケットに揺られ間近で知る気球の大きさをお楽しみください。
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掲載日:令和5年9月22日