◇「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。
茶畑が織りなす原風景、丹波篠山の味間奥にある製茶工場へ
丹波篠山市の味間(あじま)地区は兵庫県随一の茶の生産地で、実は1200年前から続く、日本最古の茶畑の一つです。そんな歴史ある「丹波篠山茶」について学び味わえる、丹波篠山茶生産組合主催の体験プランに参加してきました。
参加したのは、今春、丹波篠山茶生産組合がスタートした『1200年続く丹波篠山茶のヒミツ旅』という体験コンテンツ。
開催場所は、茶畑が連なる味間(あじま)にある「丹波ささやま農業協同組合 味間製茶工場」です。
車なら舞鶴若狭自動車道・丹南篠山口ICから約6分。JR宝塚線・篠山口駅からレンタサイクルで12分です。
体験コンテンツではオプションで茶娘衣裳が着られるので、私も茶娘に変身!
とっても可愛くて、窮屈な感じもなく動きやすいです。早速、記念撮影♪
いよいよ体験スタート。
まずは製茶工場の隣にある茶畑へ移動です。
茶畑に入り、畑の様子や茶葉を実際に見ながら、丹波篠山茶の歴史や特徴についてのレクチャーを受けます。この日、説明をしてくださったのは、丹波篠山茶生産組合の組合長・原田勇さん。
宇治茶の陰に隠れてしまって知名度は低いものの、丹波篠山茶は、平安時代には朝廷に献上されており、江戸時代には上方(大阪)で流通しているお茶の半分は丹波のお茶だったといういた歴史があるそう。
普段から家で飲んでいますが、そんな伝統のあるお茶だとは知りませんでした。
丹波篠山茶の美味しさの秘密は、3つあるそうです。
一つは、味間エリアは日本で最も気温が低いお茶の産地で、寒いためにゆっくり養分を蓄えながら育つ。
次に、丹波篠山の土壌は鉱石が多く肥沃で、水はけが良い。
さらに、盆地で昼夜の寒暖差が大きく、「丹波霧」と呼ばれる濃い霧に覆われるため、強い日差しが遮られて適度な湿り気も帯び、柔らかな茶葉が育つ。
これが、香り高い上品なお茶が生まれる理由です。
私が体験に参加したのは3月末で、茶畑はまだ冬の様相ですが、5月になると新芽が出て、一面が青々とした美しい新緑に変わります。
そして、最初の新芽を摘み採って作られたお茶のことを「新茶」と呼びます。
今回参加した体験では、新茶の時期の5月など、期間限定で「茶摘み体験」もできるそうです。
茶畑の後は、製茶工場の見学です。製茶の工程を順に説明してもらいます。
茶葉を熱に蒸す「蒸熱」から茶葉をブレンドする「合組」まで、12の工程を経て茶葉が完成します。お茶って、製造するのにこんなにも手間暇がかかるとは想像していませんでした。
「丹波篠山茶」は、丹波篠山市産の茶葉だけを使って、収穫から製造・出荷まで一貫して行われているそうです。
これも、安心して飲める美味い「丹波篠山茶」のヒミツですね。
次は、工場の前に設えられたお茶席で、「利き茶体験」です。
日本茶インストラクターの中尾真紀子さんが、茶葉の説明を話しながらお茶を入れてくださいます。
この日の「利き茶」は、煎茶、寒茶(かんちゃ)、やぶ北茶の3種類。
「寒茶」は、この時期ならではのお茶ながら、生産量が少なく出合えたらラッキーな茶葉なのだとか。大寒の時期に刈り取られ、木の水分が少なくなるため、甘みが濃くて香りが深いのが特徴。
お茶請けは丹波篠山名物の黒豆、「丹波黒しぼり納豆」でした。
お茶の種類もお茶請けも、季節に合わせて変わるそうです。
「利き茶」は、まずキレイな茶の色と香りを感じてから、ゆっくり口に含んで味わいます。
これほど真剣にお茶を味わったのは初めてですが、すべて丹波篠山茶なのに、香りも味わいも全く違ってびっくり。
煎茶は、濃い目でちょっと苦くて、私には“大人過ぎる味”(笑)
寒茶は、余韻が残るハーブティのような感じ。
やぶ北茶は、上品で飲みやすくて、私は一番好きな味でした。
おかわりも頂いて、しっかり堪能しましたよ。
季節の茶葉やギフト向けの茶葉など、お土産も購入できます。
この日の茶葉は「寒茶」で、たっぷり入ってお得感満点。ティーパックで手軽な「霧茶」や「丹波篠山茶うどん」もお土産におすすめです。
お土産品が並ぶ野点傘の下は写真映えする記念撮影ポイント♪
観光大使らしく、新製品のティーパックタイプの「霧茶」を手に撮ってみました(笑)
約1時間半の体験プランの間、ずっと茶娘の衣裳を着ていられるので、茶畑の中だけでなく、あちこちで写真が撮れますよ。
丹波篠山茶を、見て、触れて、味わう今回の体験。
子どもの頃から何気なく飲んでいたお茶が、1200年もの歴史と伝統を守って作り続けられていたと知り、これからはより美味しく感じると思います。
同じ茶葉でも、収穫の時期や製茶の仕方で香りや味が全く異なること。淹れ方によっても味わいが変わること。教えてもらった事を思い出しながら、ちゃんと急須でお茶を入れて、ゆっくり味わってみたいと思います。
新茶の季節になったら、茶摘みにも挑戦してみたいです!
◇ 丹波篠山茶を学ぶ体験コンテンツ
所要時間:約1.5時間
体験料:5,500円
体験内容:茶畑(約20分)、茶工場(約20分)、利き茶体験(約20分)
オプション:茶娘衣装体験2,500円、茶摘み体験(期間限定/5・7・9月予定)
予約:アソビューからネット予約(https://www.asoview.com/base/158399/)
※記事中の価格はすべて税込みです。
お問い合わせ
丹波篠山茶生産組合
兵庫県丹波篠山市味間奥10-1
Tel:079-594-2210
https://tourism.sasayama.jp/tearism/
【HYOGO!ナビ WEBサイト 関連ページ】
◇ 丹波篠山市のスポット情報はこちら
掲載日:令和4年4月22日 グルメ