“香り”をキーワードに、芦屋で人気の個性的なレストラン&スイーツを紹介
香りをきっかけに、ふと何かを思い出すことってありませんか?
匂いによって、昔の記憶や感情が蘇ることを精神医学で「プルースト効果」と呼ぶのですが、匂いと記憶は密接に繋がっています。私は調香師という仕事柄、常に香りを意識しているためか、匂いによって鮮明に記憶に残っているものがたくさんあるんです。
そこで今回、香りをキーワードに、私が暮らしている街・芦屋のおすすめのお店をご紹介したいと思います。
五感に響く“薪焼き”イタリアン
まずは、「薪焼きレストランunfalo」。
2019年12月に阪神芦屋駅近くの住宅街の一角にオープンしたイタリアンレストランです。店名の通り、薪火を使ったお料理が特徴。店内には、優しい薫香が漂っていて、カウンターに座ると、オープンキッチンでパチパチと音を立てて、静かに燃える薪が見えます。
薪で焼き上げるというと原始的な調理法だと思うのですが、出て来るお料理は、どれもこれも手が込んだものばかりなんです。メニューはコースのみで、ランチは5,500円、ディナーは9,900円(共に税込み)。
ランチコース5,500円は、前菜2品、アロマサラダ、パスタ、魚料理、肉料理、自家製フォカッチャ(おかわり自由)、デザート、コーヒーと、品数もボリュームも十分です。この日のランチコースで頂いたのは、以下のようなお料理です。
前菜「鱧の薪焼と玉葱のフラン 玉葱と鶏出汁のスープ掛け」
前菜「ケンケン鰹の薪焼き 枝豆のリゾットと山椒薫赤玉葱」
パスタ「剣先イカと生雲丹の冷製パスタ 自家製イカナゴ魚醤のソースとタヤリン」
魚料理「金目鯛の薪焼き 発酵マッシュルーム飛鳥の蘇のソース サマートリュフ」
厚みがあって身がぷりぷりの鱧や、表面のパリッとした香ばしさと身の甘みが絶妙な金目鯛。メイン食材を引き立てる香り高いトリュフや凝縮した旨味のソース。
それぞれの食材に合わせ、火入れや焼き加減は巧みに加減され、どれも少し違った燻香をまとっています。メインの食材を引き立てるソースも、例えばムース状の玉葱ソースやバジルの泡など未体験の食感がたくさん。
斬新な食材の組み合わせ方や、それが生み出すハーモニーなど、いつも驚きの連続で、まさに五感に響くお料理なんです。
美味しいのはもちろんなのですが、こちらで食事をするとすごく刺激を受けるので、調香の“ひらめき”が得られたりもするんです。「あの香りを組み合わせたら面白いかも」って。
席数が約10席と少なく、とても人気のお店なので、ランチも予約が必須です。
手焼きバームクーヘン生地から生まれた「ハーブスティック」
次は、かわいい象の置物が目印の「ELEPHANT RING」。
テレビや雑誌にも度々取り上げられているバームクーヘンのお店です。芦屋はスイーツ激戦区ですが、私の友人やアロマ教室の生徒さんにも、こちらのバームクーヘンのファンの方は多いです。
職人さんが一本ずつ手焼きするため、一日に作れる本数に限りがあって、売り切れになることも。
一般的なバームクーヘンと明らかに違うと私が思うのは、一層一層が薄くて、口当たりが本当にしっとり滑らかなところ。シュガーコーティングもなく、生地本来の優しい美味しさが楽しめます。厳選した材料を用いて、膨張剤などは一切使わない無添加なことも魅力です。
お店で伺った時、ちょうどバームクーヘンをカットしておられました。この手作り感が素敵です。
バームクーヘンはもちろん美味しいんですが、私のお気に入りは「ハーブスティック」1個864円。バームクーヘンの生地に、生のローズマリーや沖縄産の塩、胡椒を練り込んで焼き上げたものです。
バームクーヘン生地にローズマリーと塩って意外な組み合わせだなと、気になって購入したのがきっかけで、ハマってしまいました(笑)
ローズマリーのしっかりした香りが口いっぱいに広がって、甘くなくて塩味なので、お酒のおつまみにぴったりなんです。私はビールと一緒に頂くことが多いのですが、ローズマリーは香りが強めのハーブなので、重めのワインとも好相性です。
「ハーブスティック」以外にも、数種類の焼き菓子があります。フードロスをゼロにしようと、どれもバームクーヘンの余り生地をアレンジして生み出されたもので、環境や素材の生産者を大切にするお店の姿勢にも共感しています。そういうお店の商品ですと、贈り物にしても喜んで食べて頂けると思うので。
箱や袋のパッケージデザインもとても可愛いので、手土産にもおすすめです。
ワインに合う大人のための「塩サブレ」
JR芦屋駅北側にある「たかやマルシェ」は、私がアロマレッスンをしているビルの1階にあります。フレンチの名店「メゾン・ド・タカ芦屋」でシェフを務めた高山英紀がオープンされたお店で、小さくひっそりした店構えながら、芦屋ではとてもよく知られています。
レッスンをしていると、焼き菓子の甘い香りが漂ってくるので、いつも誘惑と戦っているんですよ(笑)
看板商品は、焼きたてのフィナンシェ1個75円とカヌレ1個90円。どちらもバターを贅沢に使っているので、小さいけれど食べ応え十分。
私のおすすめは「塩サブレ」。中でも「山椒」がお気に入りです。
甘さはかなり控えめで、塩味が効いていて、山椒の風味がじわーっと広がっていく感じ。とても個性的な味わいの大人なサブレで、ワインに合います。
塩サブレは、プレーンやセップ茸などの定番に加え、季節限定のテイストも登場します。可愛い缶入りの詰め合わせもありますよ。
ご紹介したのはどれも個性的なお店や商品なので、その香りが、芦屋での散策や兵庫への旅の思い出と結びつくかも知れません。
香りをきっかけに呼び起こされる記憶には、良いものも嫌なものももちろんあります。だからこそ私は、日常の中に幸せな香りをたくさん見つけられたらいいなと思っています。
日々の中で、例えば、楽しい時間にそこに漂う美味しい匂いや草花の香りを意識してみる。例えば、記念日にはお気に入りのアロマや香水を纏ってみる。
そんな風に、幸せな時に“香りづけ”していくことで、幸せな香りが記憶の中にたくさん積み重なっていくと素敵じゃないかなと思うのです。
DATA:
◇ 薪焼きレストランunfalo(アンファロ)
兵庫県芦屋市大桝町7-9スコラ
tel:0797-62-7751
営業時間:12:00~22:00
月曜定休
https://www.unfalo.com/
◇ ELEPHANT RING(エレファントリング)
兵庫県芦屋市大桝町4-20-1 ASHIYA CENTRAL BUILDING 1F
tel:0797-61-8882
営業時間11:00〜17:00(無くなり次第終了)
火曜定休
https://elephant-ring.com/
◇ たかやマルシェ
兵庫県芦屋市船戸町5-26 1階
tel:0797-38-6750
営業時間10:00~17:00
月曜(祝日の場合は翌火曜)定休
https://takayamarche.jp/
【HYOGO!ナビWEBサイト関連ページ】
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掲載日:令和3年10月18日 グルメ