神戸の3つのエリアを徒歩で巡る、3都ウォーク
新開地・兵庫津・新長田。この3つのエリアには、昔の繁栄の名残である史跡や懐かしいレトロな町並みが残っています。異国情緒あふれる港町・神戸のイメージとは異なるこれらのエリアを歩いてみました。
活気あふれる商店街と大衆娯楽が楽しめる新開地エリア
スタートは新開地エリア。湊川公園から歩き始めます。
まず向かうのは、日本最初の河川トンネルとして誕生し、新湊川の水を100年間流し続けていた湊川隧道。緩やかな坂道を10分ほどのぼって到着した隧道は、外観からも歴史を感じられる造りで、国登録有形文化財に指定されています。月に一度の一般公開日にはトンネルの内部を見学することもできます。
湊川隧道を背に東へ進み、東山商店街へ。通路は狭いですが、活気のある店舗が立ち並び、地元のお買い物客で賑わっています。お得な値段の野菜や新鮮な魚介類に財布の紐が緩みつつ、商店街に沿って南下します。
湊川公園を通過して、次に見えてくるのは新開地商店街。レトロなお店が並ぶ商店街を南に進んでいくと、アーケードにぶら下がる大きなちょうちんを目印に、神戸新開地・喜楽館が現れます。神戸新開地・喜楽館は、昼には上方落語の定席、夜には様々な演芸が楽しめる演芸場です。開館直後に通ると、一番太鼓の迫力ある音色が聞こえてくるかもしれません。
ほかにも、大衆演劇場や映画館など、昭和にタイムスリップしたような気分に浸れるスポットがたくさん。
商店街のシンボルであるBIGMANゲートを目印に、新開地エリアから兵庫津エリアへと足を進めます。
まちなかに多くの史跡が残る兵庫津エリア
兵庫区沿岸部は古くから重要な港として栄え、平安時代には「大輪田泊」として日宋貿易の拠点に、鎌倉時代には「兵庫津」として国内第一の港になりました。このエリアには歴史的な名所が数多く残っていて、まちなかを歩くと様々な史跡や寺院が目に入ります。
エリアに入ってまず見えてくるのは、七宮神社です。江戸時代、廻船商人である高田屋嘉兵衛はここへ模型船を献納し、海上交通安全を祈願しました。
近くには、同じく高田屋嘉兵衛が奉納した「高田屋嘉兵衛献上燈籠」や店舗跡に建てられた「高田屋嘉兵衛本店の地の石碑」などがあり、これらは日本遺産に認定された「荒波を超えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の構成文化財となっています。
兵庫商人が社交場として昭和2(1927)年に建造した、モダンな石造りの旧岡方倶楽部。先ほどの新開地エリアとはまた違った、当時の雰囲気が感じられる貴重な建造物で、国登録有形文化財に指定されています。
少し進んで能福寺に着くと、日本三大仏の一つである兵庫大仏がお出迎え。7mの台座の上に座っている大仏は、圧倒される存在感があります。
水面が輝く新川運河沿いには、かつてここに兵庫城があったことを示す石碑が佇みます。慶応4(1868)年にこの兵庫城跡の勤番所に兵庫県庁が設置されたことから、兵庫県の歴史が始まりました。大輪田橋を渡った先では、この初代兵庫県庁の復元施設である「県立兵庫津ミュージアム(仮称)」が建設されています。
大輪田橋を引き返すと、平清盛の供養塔とされる清盛塚、そして「踊り念仏」で有名な時宗の開祖・一遍上人の臨終の地として伝わっている真光寺が建ち並び、歴史あふれる旅を満喫できます。
こなもん文化の本拠地・新長田エリア
川崎重工業兵庫工場の横を通り抜け、45分ほど歩くと、新長田エリアに到着。
このウォークのコースでは、六間道商店街・本町筋商店街・丸五市場・西神戸センター街・大正筋商店街と、5つの商店街を通過します。
朝、湊川公園を出発するとちょうどお腹が空いてくる時刻。新長田は「鉄板こなもんのまち」として知られており、お好み焼きやそばめしなど、鉄板焼きのお店が数多くあります。まちなかには、「○○といえばここ!」といった地元に愛されるお店が多くあるので、お気に入りのお店を見つけてみましょう。
そして、ゴールである新長田合同庁舎に到着。
JR・市営地下鉄の新長田駅周辺には、鉄人28号の巨大モニュメントや「コテ」モニュメントも。ゴールの記念として、一緒に写真を撮ってみてはどうでしょうか。
新開地・兵庫津・新長田とバラエティに富んだまちを巡る約9.2kmのウォークは、皆さんが思い描く神戸のイメージを一新するに違いありません。ぜひ、神戸西部3都を歩いてみませんか。