◇「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。
パスタやスイーツも!地元老舗酒造の酒粕を使った多彩な酒粕メニューが勢揃い
19店舗が参加する『しそう酒粕フェア』11月3日~来年1月28日開催
酒どころがたくさんある兵庫には、「日本酒発祥の地」もあります。それが僕の地元の宍粟市一宮町にある庭田神社なのです。
でも今回紹介するのは日本酒ではなく、「酒粕」です!
「日本酒発祥の地」である宍粟市では、“美味しい酒”が造られるので当然、“美味しい酒粕”がたくさんとれます。そして“美味しい酒粕”をアレンジした料理が実に多彩。
“酒粕”グルメを紹介してくれるのは、「宍粟市発酵のまちづくり推進協議会」の八木裕子さん。「酒粕フェア」の担当をされています。
《八木さん談》『宍粟市一宮町にある「庭田神社」は、約1300年前に編纂されたとされる「播磨国風土記」に、“かび(=麹)”を使用した“庭酒(にわき)”をつくって神様に献上した地として登場します。
これが現存する風土記の中で、酒に関する最も古い記述であることから、「日本酒発祥の地」と呼ばれているんです』。
庭田神社の境内は、威風堂々とした木造の本殿や、樹齢600年を超すケヤキの大木が並び、長い歴史と神域らしい厳かな雰囲気。
参道側の入口にある「ぬくいの泉」と呼ばれる場所が、「日本酒発祥の地」ではないかと言われています。
《八木さん談》『こういう歴史があって、宍粟市では昔から酒造りが盛んで、老松酒造と山陽盃酒造という2軒の老舗酒蔵が今も酒造りをされています。
酒造りを起点に、発酵醸造文化がどんどん発展してきたので、地域に発酵食が根付いているんです。麹屋さんも市内に数軒あって、味噌や漬物など、各家庭でも造られてます』。
発酵食の中でも特にポピュラーなのが、酒造りの副産物である“酒粕”を使った料理。
もろみから日本酒を搾った後に残るのが、酒粕です。
※上記の画像をクリックすると拡大画像(PDF)がご覧いただけます。
《八木さん談》『宍粟では、昔から酒粕が身近な食材で、粕汁は冬の食卓の定番。宍粟市の酒粕料理の魅力をたくさんの方に紹介したくて、「酒粕フェア」を企画したんです』。
初開催の昨年の「酒粕フェア」が好評だったそうで、今年は期間を延長。
19店舗が参加して、11月3日~来年1月28日まで開催されます。
◇ 酒粕入りクリームソースのパスタ「pasta pizza cafe遊山」
「酒粕フェア」参加のお店をいくつか紹介します。
まずは市の中心部、山崎町商店街の一角にある「pasta pizza cafe遊山(ゆさん)」。
築100年超の町家を改装したお店です。
きれいに修繕し過ぎず、伝統的な意匠をなるべく残したという店内は、畳敷きでほっこり寛げる雰囲気。
自家菜園やオーガニック栽培の地場野菜、播磨灘の魚介など、宍粟市ならではの食材にこだわっておられます。さらに、パスタは生麺、石窯で焼き上げるピザは生地から手作り。
こちらの酒粕料理は、「白鷺サーモンと酒粕のフジッリ」1,350円(税込)。
※ランチタイム限定メニュー
酒粕入りのクリーミーなソースが、らせん状のモチモチのパスタによくからみます。
口に含むとまず濃厚なクリームソースとサーモンの旨味が溢れ、後から酒粕の風味が追いかけてくる感じ。酒粕の醸すコクと風味が抜群で、やみつきになる味です。もちもちのパスタは食べ応えも十分。
◇ 酒粕&出汁の煮込みうどん「鍋麺料理だるま」
次は、同じく山崎町商店街にある「鍋麺料理だるま」。
創業から70年を数え、地元で長年愛されているうどんと鍋料理のお店。
うどんは、温・冷に加え、つけつゆ、かけつゆなど、50種類以上あります。冬場はおでんも人気。
酒粕入りの出汁を使った「酒粕煮込みうどん」900円(税込)は、カラダの芯から温まる寒い季節に嬉しいメニュー。
酒粕たっぷりですが、出汁と合わさり、コクはあるけれど粕汁よりかなりマイルド。
飲みやすいので、最後の一滴まで完食してしまいました。野菜も肉もたっぷりで満腹!
「酒粕煮込みうどん」は10月~3月頃の秋冬メニューなので、『酒粕フェア』期間終了後も楽しめます。
◇ 酒粕の漬物と酒粕入りアイス「はじまり工房けんさん」
「はじまり工房けんさん」は、酒粕で漬ける「はじまり漬け」という漬物の工房。
宍粟市の特産品の「三尺きゅうりの粕漬け」とは製法が異なり、「はじまり漬け」は塩漬け後に甘酒のような酒粕に漬け、約1年かけて作られます。
奈良漬けのような見た目ですが、アルコール感がほとんどなく、あっさりしていて食べやすいんです。現在は、自家栽培の宍粟三尺きゅうりと白瓜を使った2種類の「はじまり漬け」を製造。
工房の一角に喫茶店&サロンがあり、はじまり漬けや焼き鳥などが1プレートに盛られた「おむすびセット」が、500円(税込)で頂けます。※完全予約制
こちらは私がドハマりしているおにぎりで、自家製の塩漬け山椒が混ぜ込まれ、ピリッとした辛みと香りが最高なんです。
プラス200円で、酒粕入りの「さつまいもはじまりアイス」も付けられます。さつまいもの自然な甘みの中に酒粕が香って、大人向けアイスですよ。
「はじまり漬」の直売もしているので、お土産におすすめです。
◇ 酒粕カステラや酒粕シフォンケーキ、酒粕のスイーツも色々!
定番人気のメニューも多く、「町家カフェさんしょう」の「酒粕シフォンケーキ」や、パティスリー「木いちご」の「酒カステラ」などは通年販売。『しそう酒粕フェア』期間以外でも楽しめます。
酒粕は、発酵酵素を多く含むため、カラダを温める効果あることは昔から知られています。アミノ酸や酵母、ペプチドなど美容にいい成分がたっぷりな事から、酒粕を使った化粧品もすでにたくさん登場しています。
さらに、食べ物の油を吸着して体内吸収を抑えてくれるため、腸活やダイエットにも効果があるそうです。
老舗酒造の“美味しい酒粕”を使った、宍粟市ならではの酒粕料理&スイーツで、秋の食べ歩きを楽しんでみませんか。
DATA:
◇ しそう酒粕フェア2023
開催期間:2023年11月3日~2024年1月28日
https://www.city.shiso.lg.jp/soshiki/shichokoshitsu/hisyoseisaku/event/17523.html
問い合わせ先:
宍粟市発酵のまちづくり推進協議会(事務局 市長公室 秘書政策課)
TEL:0790-63-3139
◇ pasta pizza cafe遊山
兵庫県宍粟市山崎町山崎403
TEL:0790-60-5768
営業時間:11:00~17:00
定休日:日曜・月曜・祝日
https://www.instagram.com/cafe_yusan/
https://www.facebook.com/cafeyusan/
◇ 鍋麺料理だるま
兵庫県宍粟市山崎町山田179-3
TEL:0790-62-1167
営業時間:11:00~14:30、17:00~21:00 ※水曜は夜の営業休み
定休日:なし
https://udon-noodle-shop-1339.business.site/
◇ はじまり工房けんさん
兵庫県宍粟市山崎町杉ケ瀬369-2
TEL:090-8576-7837
営業時間:10:00~18:00
不定休
※完全予約制(2名以上)
https://www.instagram.com/hajimarikobo_kensan/
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掲載日:令和5年10月27日