◇「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。
JR尼崎駅前の「ホテルヴィスキオ尼崎」が、江戸時代を中心に昔の尼崎の食文化を再現
尼崎城の早朝特別招待も付いた、尼崎の歴史を体感できる宿泊プランが登場
日本一新しいお城の「尼崎城」をテーマにした「ホテルヴィスキオ尼崎」のユニークな宿泊プランをご紹介します。
なんと夕食は、尼崎城の城主が食したと考えられる江戸時代の料理をはじめ、尼崎の食の歴史が味わえる内容の御膳なんです!
さらに開場前の尼崎城に特別入場できて、朝食もお城の中で頂けるんですよ。
「ホテルヴィスキオ尼崎」は、JR尼崎駅の真ん前にあり、デッキで駅と直結。京阪神のいずれからもアクセスしやすいので、旅の拠点としても便利な立地にあります。
一番の注目は、「尼崎城御膳」と名付けられた夕食。
尼崎市立歴史博物館協力のもと、江戸~昭和の数々の記録から食材をピックアップし、尼崎城が築城された江戸時代を中心に、尼崎の食文化を再現したものだそう。尼崎城の城主が食べていたと推測される料理もあるんです。
《料理長 古角吉広さん談》『尼崎藩が成立した当初、領地は、西は現在の須磨、東は伊丹ぐらいまでと、とても広かったんです。ただ、尼崎城は明治6年に廃城となっていますし、残っている文献にも食文化に関する記載は非常に少なくて、調べるのが一番大変でした』。
当時、食べられていた食材を丹念に調べ上げ、細部にまでこだわったことで、今回の料理は完成まで1年半もかかったのだとか。
《古角さん談》『メイン料理は、尼崎藩主の松平忠告が残した書状(※尼崎市立歴史博物館所蔵)の中に、浜焼きがおすすめの食べ方だと記して鯛を贈ったとの記載があったことから、「鯛の浜焼き」にしました』。
尾頭付きの鯛がドンと乗った感じが、お殿様の御膳って感じです。
鯛のほか、スズキやブリなどが町人から藩主へ献上された記録も残っており、海産物は身近にあったのだとか。
《古角さん談》『尼崎市北部の東園田遺跡という弥生時代の遺跡から、大規模なタコ壺漁の跡が発掘されていて、この辺りでは古来からイイダコ漁が盛んで、江戸時代の魚問屋の取引記録にもタコが頻繁に登場していたんです。そこで、ご飯ものは「蛸飯」にしました』。
ほかにも、『兵庫県漁業慣行録』(※1889年(明治22年)完成)に尼崎町・大物村・別所村の漁獲物として記録が残るハモ、江戸時代の尼崎にあった魚問屋の記録に残るじゃこ、尼崎では江戸時代から“天ぷら”として親しまれている練り物などが取り入れられています。
《古角さん談》『当時の味付けはほとんどが塩と出汁のみ。江戸時代の食文化の再現がテーマではあるんですが、やはり美味しく食べて頂きたいので、そこは少しだけアレンジしています』。
塩やお出汁を基本に、素材の旨味を活かした料理はどれも滋味深い美味しさです。
どのお料理の再現が一番難しかったのか聞いてみたところ、意外にもデザートなのだとか。
▲ これが“幻のお菓子”の「らんきん」です。
《古角さん談》『デザートは「らんきん」です。「らんきん」は、尼崎藩主の櫻井家御用達の銘菓だったのは確かですが、形も味も調理法も伝わっていない幻のお菓子なんです。
文献に残っているのは、簡単な絵と、「女性好みの芋、たこ、らん巾」という記述だけ。
そこで、“らん”はオランダ(和蘭)から伝わった菓子なのではないかという推測の元、パティシエたちが、江戸時代の流行っていた菓子について調べ上げ、当ホテル流の「らんきん」を作り上げました』。
江戸時代に流行していた蒸し菓子を、サツマイモを用いて西洋の方法で仕上げたという「らんきん」。文献を紐解き、想像を膨らませ、何度も試作を重ねて生まれた幻の菓子は、白餡等、当時手に入るであろう食材を使った和風スイートポテトといったテイスト。
お膳には、それぞれの料理の歴史や由来がわかるようにお品書きも添えられていて、歴史に思を馳せながら食べると感慨もひとしおです。
尼崎の歴史を丸ごと味わえる機会なんてなかなかないので、歴史好きな人はぜひ!!
歴史や食文化に興味を持つきっかけになると思うので、子供たちにもおすすめだと思います。
ホテルの部屋はこんな感じです。
尼崎城の特別入場は、8時30分時間厳守なので、夜は早めに就寝。
日本で一番新しいお城「尼崎城」
なりきり体験など無料アトラクションが充実!
翌朝は、今回のプランのもう一つの目玉!
開場前の「尼崎城」に専属ガイド付きで特別入場できて、朝ごはんも城内で頂けるんです!
朝ごはんはホテルヴィスキオ尼崎の特製おにぎり弁当。
ホテル内のレストランでお弁当を受け取り、タクシー(プラン料金に含む)で10分ほどの場所にある「尼崎城」へ。
「尼崎城」は、2019年に再建された“日本一新しいお城”です。
四層の天守を持つ白亜の城は、江戸時代の絵図などから外観が忠実に再現されています。
一般開場より30分早く入場!
お城を独り占めしているみたいでスペシャル感満点です。
まずは、3階の畳スペースで、朝ごはんのお弁当を頂きます。
一般入場が始まる前に城内を回りたくて、かなりの早食い(笑)
畳スペースは「なりきり体験ゾーン」になっているので、お姫様や尼崎城主の衣装を着用して写真が撮れます。
※衣装を着用しての食事は禁止なので、食事の後に撮影。
食事の後は、専属ガイドさんの案内で見学スタート。
最初に向かったのは、尼崎の街が望める最上階の展望ゾーン。
本来の天守があった場所や尼崎藩が治めていたエリアなど、ガイドさんの話を聞きながら眺めていると、建物で埋め尽くされた街の様子が違って見えて、歴史が身近なものに感じられます。
城内で一番人気なのは、2階の「尼崎城ゾーン」。
夏休みともなると連日大賑わいなのだそうです。
射的ゲーム感覚でできる剣術や鉄砲の体験があり、子供たちに大人気。
ほかにも、再現した鉄砲や槍などの重さ体験や、江戸時代の尼崎城や城下町の様子を再現したVRコーナーなど、体験メニューがとっても豊富。
しかも、入場料さえ払えば、体験はどれも無料なんです!(※今回のプランには入場料も含まれています)
城内にはあちこちにフォトスポットがあって、面白い写真も撮りまくれます(笑)
1階には尼崎の特産品などが買えるお土産物コーナーもあります。
ショップ前にある郵便ポストからハガキや手紙を送ると、お城デザインの消印が押してもらえるそうで、旅の記念に自分宛に送る人が結構多いそうですよ。
尼崎城は、体験型アトラクションやユニークな展示物がとっても充実しているので、お城や歴史好きな大人だけでなく、子どもも十分楽しめるスポットでした。
今回のプランでは、一般開場後もそのまま滞在できるので、城内をたっぷり堪能できます!
尼崎城御膳&尼崎城特別入場が楽しめる今回の宿泊プランは、歴史好きな大人だけでなく、夏休みの家族旅行にもおすすめです。
DATA:
◇ ホテルヴィスキオ尼崎
兵庫県尼崎市潮江1丁目4番1号
TEL:06-6491-0002
https://www.hotelvischio-amagasaki.jp/
◎『よみがえる尼崎城御膳宿泊プラン』
実施期間:2023年7月1日(土)~9月30日(土)
販売価格:1泊2食 大人17,600円、小人16,500円
※表示価格は消費税込、サービス料は無し
※尼崎城御膳のメニューは仕入れ状況により内容が変更となる場合がございます。
※8名様以上の団体の場合は、1名につき1,000円割引
※月曜日は休城(祝日の場合は翌火曜日)の為、前日ご宿泊のプランの販売はありません
<予約方法>
①WEBでのご予約は以下のURLから
https://go-jrhotel-m.reservation.jp/ja/hotels/vischio-amagasaki/plans/10097502
※ホームページ限定で夕食(尼崎城御膳)付のみの宿泊プランもあります。
②お電話でのご予約
06-6491-0002
◇ 尼崎城
https://amagasaki-castle.jp/
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源平合戦ゆかりの古刹、須磨寺で特別夜間拝観。副住職による法話と真言密教に伝わる瞑想法である“阿字観”の体験型プログラムです。夏季は幻想的な寺院の夜間拝観という非日常と夕涼みの須磨海岸散策も盛り込み、源平合戦で有名な一の谷の古戦場など歴史文化遺産である須磨エリアの魅力を存分にお楽しみください。
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掲載日:令和5年7月21日