◇「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。
文化財の宝庫で“西の法隆寺”と称される「鶴林寺」は、座禅や写経も気軽に体験できます。
お寺近くの老舗糀&味噌屋での買い物、地元で人気のランチも楽しめますよ。
加古川市にある「鶴林寺」は、“西の法隆寺”と呼ばれるほど、貴重な文化財を多数収蔵するお寺です。境内には本堂と太子堂という2つの国宝や18の重要文化財をはじめ、非常にたくさんの文化財があります。
さらに、座禅や写経などが気軽に体験できる点も魅力。
そんな「鶴林寺」をご紹介します。
聖徳太子ゆかりの古刹といわれる「鶴林寺」ですが、実はいつどのようにできたのかは、まだわかっていない部分が多いそうなのです。
寺伝によると、聖徳太子が12歳になるころに、この地にいた渡来僧・恵便法師を探し当てて庵を結んだのがお寺の開基で、それが太子伝暦では587年、日本書紀には589年と記載されており、いずれにしても6世紀後半にはこの地にありました。
地元民からは「刀田(とた)の太子さん」と親しまれていて、“刀田”は山号、“太子さん”は創建した聖徳太子のことを指しています。
立派な仁王門をくぐると、室町時代に創建された本堂が正面に見えます。
その建築様式の見事さから、1901年という早い時期に国宝に指定されたそうです。
本堂の東隣には太子堂があり、こちらも国宝に指定されています。平安時代の建築で、常行堂と一対で全国でも一番古い天台伽藍と言われています。
ちょっとユニークなのが、「ウインクする仏像」とメディアでも話題になった「摩虎羅大将(まこらたいしょう)像」(上記写真中央)。
本堂に向かって左に位置する新薬師堂に、3体の薬師三尊像を守るように並ぶ「十二神将」の内の一体で、よーく見ると確かに片目を瞑っていて、ウインクしているように見えます。
狙いを定めて弓矢をしならせたのに矢が無くなったという姿で、ウインクではないそうですが、そのエピソードも含め、なんだかチャーミングです。
境内には、「宝物館」もあり、“西の法隆寺”と呼ばれるにふさわしい文化財の数々が展示されています。
▲ 宝物館内の撮影は禁止。写真は鶴林寺提供です。
「宝物館」展示品の中でも有名なのが、兵庫県で一番古い金銅仏の「聖観音立像」。
“あいたた観音”とも呼ばれていて、面白い言い伝えが残っています。
全身が金で覆われていることから、ある時、泥棒が純金だと思って盗み出しました。しかし、溶かそうとしたものの全く溶けず、腹を立てた泥棒が像の腰を叩くと、「あいたた」と声を発し、驚いた泥棒は仏罰を恐れて寺に返却したのだとか。腰は叩かれたまま戻らなかったとされ、像の腰は少し曲がっています。
由来や歴史を知った上で見学すると、お寺巡りの楽しさが倍増します。
「鶴林寺」には、ユニークなパワースポットもあります。それが宝物館前にある「ふりきる門」。
こちらはまず、近くの観音堂内に置かれた用紙に「振り切りたい思い」を記入し、「ふりきる門」そばの木に紙を結びます。
そして高さ1mほどの門をくぐり、裏手に回ると、チベット仏教の仏具である石製の「マニ車」が設置されています。
サンスクリット語で陀羅尼(だらに)経が彫られた「マニ車」はパワーストーン。念じながら回すことで、自ら良い未来へ進めるようになるのだとか。一度ですっきりしなければ、2度3度と回すと良いそうですよ(笑)
「鶴林寺」では、座禅や写経も体験できます。
例年10月頃に、土曜の朝8時から法話&坐禅の「秋の坐禅会」が開催され、1回500円で参加できます。
2022年は10月22日、10月29日、11月5日、いずれも8時~9時に開催。
7月中旬には「夏の坐禅会」もあり、こちらは全3回で、早朝6時からで、坐禅の後に朝粥が頂けます。
気軽な座禅体験であれば、1回500円(要予約)で受けられるということだったので、私も体験させて頂きました。
時間は30分ほどですが、日常の慌ただしさから離れ自分と向き合う静かな時間で、頭と心が少しスッキリした気がします。
また、写経や写仏の体験もできます。1回800円(要予約)。
私は写経を体験してみたのですが、見本の文字をなぞるだけなのに難しくて、没頭していたら自然に無心になっていました(笑)
坐禅、写経、写仏、いずれも年中行事期間など対応不可の日もあるので、必ず事前に電話で確認してください。
鶴林寺は、6月になると菩提樹と沙羅が咲き誇る花の名所としても有名。
お寺を囲むように広がる「鶴林寺公園」は、春になると桜がとてもキレイですよ。
兵庫県産の米・丸大豆・塩だけを使って手作り
400年以上の歴史を持つ糀&味噌の老舗「高松清太夫老舗」
「鶴林寺」を訪れた際にぜひ立ち寄って欲しいのが、お寺のそばで400年以上もの間、糀や味噌を作り続けている老舗「高松清太夫老舗」です。
創業は1613年。昔は味噌を自宅で作ることが多かったため、糀屋としての役割が大きかったそう。
現在は、味噌用と甘酒用の糀を、400年以上受け継がれてき伝統製法で製造。
「高松味噌」は、兵庫県産の米を使った米糀、丸大豆、粗塩のみを使用し、夏までに仕込みを終え、1年以上熟成。
添加物は一切使わず、昔ながらの天然醸造で作られる味噌は、開けるとふんわり糀の香りが漂います。大豆の風味が豊かで、やさしい甘みがあって、本当においしいんです。
「高松味噌」の白みそで作ったお雑煮は、まさにお正月のご馳走です。
こちらは製造所のみで店舗はありませんが、敷地内の事務所で商品の購入ができます。
高松味噌1kg:1,250円、500g:950円、白みそ500g:1,150円。甘酒300g:550円。
自宅用にも、加古川土産としてもおススメです。
15種類もの小鉢が並ぶ「木箱ランチ」が大人気
鶴林寺近くのカフェ「HOKKORI」
鶴林寺から徒歩5分の場所には、2020年7月にオープンしたカフェ「HOKKORI(ホッコリ)」があります。
店内はアンティーク調のインテリアで、天井に大胆なフラワーアレンジメントがあしらわれています。
15種類もの小鉢がヘルシーな「木箱ランチ」1,650円が、大人気。
地元産の旬の食材を使って手作りされた料理が約30品も盛られていて、味のバリエーションもボリューム感も大満足な内容です。
ランチメニューは「木箱ランチ」1種類。
季節の果物をふんだんに使ったパフェやケーキでカフェタイムも楽しめます。
DATA:
◇ 鶴林寺
兵庫県加古川市加古川町北在家424
電話:079-454-7053
拝観時間:9:00~17:00(入山16:30まで)
入山料:大人500円、小・中学生200円
宝物館入館料:大人500円、小・中学生200円
※入山料+宝物館入館料セットの場合は大人800円
休み:無休
駐車場:隣接の鶴林寺公園に無料駐車場あり
https://www.kakurinji.or.jp/
◇ 高松清太夫老舗
兵庫県加古川市加古川町北在家317
電話:079-421-2200
営業時間:10:00~17:00
定休日:日曜・祝日
https://www.city.kakogawa.lg.jp/kakogawa_life/yomu/kakogawa_jin/32244.html
◇ HOKKORI(ホッコリ)
兵庫県加古川市尾上町安田907 ゼニスコートB号室
電話:079-441-7614
営業時間:ランチ11:00~14:00、カフェ11:00~16:00
定休日:水曜
駐車場:あり(9台)
https://hokkori2020.com/
https://www.instagram.com/hokkori_kakogawa/?hl=ja
※記事中の価格はすべて税込みです。
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掲載日:令和4年10月14日 体験 グルメ