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800年の歴史を誇る丹波焼を、見て、作って、楽しむ。—兵庫テロワール旅-

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私がレポートします!

稿
あじまるテロワール研究員
女性
20代
兵庫県姫路市
旅行、カフェ巡り
鹿児島生まれ、姫路在住のOLです。県外出身ならではの視点をもつ「テロワール研究員」として、兵庫のさまざまな魅力を紹介していきます♪

 


「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。

丹波焼を知るならまずはここ!「陶の郷」へ潜入

日本六古窯(こよう)の一つとして、日本遺産に認定されている伝統工芸品「丹波焼」。
平安時代末期から丹波篠山の地で、人々の生活を支え、職人に愛し守られてきた伝統文化を体感すべく、「陶の郷」で作品鑑賞や陶芸教室を体験してきました。

■丹波焼の歴史が学べる「丹波伝統工芸公園 陶の郷」



姫路市街地から車を走らせること1時間弱。丹波焼の里・兵庫県丹波篠山市の立杭(たちくい)に到着。丹波焼はその地名から立杭焼とも丹波立杭焼ともよばれ、日本六古窯(瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前)の一つとして名を馳せます。

国道292号線沿いには50軒以上の窯元が立ち並び、次々と現れる個性あふれる看板に思わず足を止めてしまいそうに。まずは各窯元の作品が集結するという丹波伝統工芸公園「陶(すえ)の郷」へ向かいます。



「陶の郷」は丹波焼のショップ「窯元横丁」やギャラリー、陶芸教室、レストランなどがそろう丹波焼に特化した複合施設。焼物マニアはもちろん、「丹波焼ってどんなもの?」「自分の好みに合う窯元を見つけたい」といった焼物初心者にもおすすめのスポットで、年間約6万人ほどの観光客が訪れるそう。 

■50軒の窯元、2,000種の丹波焼がそろう「窯元横丁」





まずは50軒の窯元が集う「窯元横丁」からのぞいてみました。店内は横丁風にレイアウトされていて、まるで時代劇に迷いこんだような独特の世界観が広がります。作品は全部で約2,000種ほどあるらしく、焼き物初心者の私も思わずワクワク。










窯元ごとに作品の風合いが全く異なり、シックなものからカラフルでポップなものまで多様にそろいます。「この器は和食が映えそう!」「これでビール飲みたいな!」なんて想像を膨らませながら横丁を堪能。
驚いたのは手の届きやすい価格の丹波焼が多くそろうこと。手間暇をかけて、ゼロから人の手で作られた上質な焼き物にも関わらず、手軽に手に取ることができる。それは職人さんの“丹波焼を使うことで、日常を豊かなものにしてもらいたい”という温かな気持ちと、“丹波焼の伝統を世に広め、継承していきたい”という思いがあるからこそ叶えられるものだと感じます。




さらに、一周して気付いたのは、いくつかの窯元に共通して、海老が描かれた作品が販売されていたこと。スタッフの方に聞いてみると、江戸時代に作陶され始めた「海老徳利(とっくり)」が起源との事。
丹波焼の歴史は平安時代末期までさかのぼります。初期は、丹波焼を焼く際に、茶褐色の素地に灰が降りかかることでできる、ビードロ状の自然釉(ゆう)をまとった焼物が一般的でした。しかし桃山時代から装飾技術が多彩になり、釉薬を使って意図的に模様を描きはじめるように。江戸時代には、酒文化の発展とともに、多くの徳利が作られたと伝えられています。



「海老徳利」は、素地に化粧土が掛けられ、その上に海老の絵が描かれています。そして、髭だけは「いっちん」(粘土を水でペースト状に溶いて袋に入れ、絞り出して描画する方法)で描かれているのが特徴。窯元によって海老の体貌や表情はさまざまで、見ているとなんだか愛着が湧いてくるような魅力があります。 
山深い丹波の里で生まれた焼き物に、なぜ海老絵が描かれたのか。諸説ありますが、“年老いて腰が曲がっても、ピンピンと跳ねるほど元気で長生きしてほしい”との心遣いから描かれ、お祝いに使われたのが始まりだとか。そういった歴史や背景を知ると、作品の見方が変わり、まさにテロワール旅の醍醐味を感じられる時間となりました。

■「百聞は一見にしかず!」陶芸教室で丹波焼の魅力を実感



横丁を満喫した後は、実際に作陶体験をしに陶芸教室へ。教室は150席ほどあり、団体でなければ予約は不要。体験受付は10:00~15:30で、受付時間内であれば好きな時間に来て気軽に体験ができます。

体験コースは2つ。「粘土細工体験(90分)」と「絵付け体験(30分)」があり、今回は粘土細工にチャレンジ。まずは湯呑みや茶碗、小皿など、どんな焼き物を作るか決めるところからスタートします。












イメージが固まったらいざ製作開始。デスクワークのお供にマグカップを作ることに決めました。リンゴほどの大きさの粘土を素手でこねてどんどん形作っていきます。
最初は力加減に苦戦していたのが、講師の方の丁寧な指導もあってコツをつかみ、談笑をする余裕ができるほどに。丹波焼に興味をもったきっかけやお気に入りの窯元など、通なお話を聞きながら初めての作陶体験を楽しみました。



1時間半ほどでなんとか形に。まずまずの出来栄えです。完成した作品は後日焼き上げられ、2カ月後に店舗受け取りか郵送(送料1,000円〜)を選べます。どんな色に化粧されるのかは届いてからのお楽しみだそうで、自分の大切な子どもを預けるような気持ちで作品を託してきました。
ちょっとでも気を抜くと変形してしまう粘土は、作り手ならではの味わいが出る一方、根気と集中力のいる作業。横丁で見た作品一つひとつに、陶芸家の情熱が宿っているんだなと実感させられました。作品を見るだけでは分からなかった卓越した職人技や丹波焼の魅力に触れられる作陶体験。「陶の郷」に訪れたら、ぜひ挑戦してみてください。

■周辺のレストランや立ち寄りスポットも要チェック!



体験を経て相当集中したのか、小腹が空いたので、敷地内にあるレストラン「獅子銀(ししぎん)」へ立ち寄ってみました。



メニュ―はしし肉や黒豆など、丹波の食材を活かしたものが盛りだくさん!通年楽しめる『しし鍋うどん』が名物で、12月〜3月の期間限定で登場する『ぼたん鍋』も人気だそう。



テイクアウトできる手作り焼き菓子も数種類販売されていて、今回は『黒豆のパウンドケーキ』を試してみることに。のどかな山里の風景を一望できる見晴らしの良い広場で、景色と黒豆のやさしい味わいに癒やされながらひと休みしました。




「陶の郷」を満喫したあとは、「窯元横丁」で見つけたお気に入りの窯元に直接足を運んで、ショッピングや工房見学を楽しみました。まだまだ行きたい窯元がたくさんあり、もう1日滞在したくなるほど魅力が満載の立杭。すっかり丹波焼の虜となった旅でした。
「陶の郷」周辺には、丹波焼の歴史をより深く学べる「兵庫陶芸美術館」や、兵庫県の有形民俗文化財に指定されている登窯「最古の登窯」もあるので、時間がある人はぜひ立ち寄って「テロワール」をもっと深く体感してみてくださいね。
 
DATA:
◇丹波伝統工芸公園「陶の郷」

【住所】兵庫県丹波篠山市今田町上立杭3

【営業時間】10:00〜17:00 ※陶芸教室は15:30最終受付

【休館日】火曜日

【入園料】大人200円、中学生以下50円

【TEL】079-597-2034

【HP】https://tanbayaki.com/

 

【HYOGO!ナビWEBサイト関連ページ】

 丹波篠山市のスポット情報はこちら


掲載日
:令和4年3月16日

 

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