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黒豆の魅力を新発見!おいしさの秘密を探る。-兵庫テロワール旅-

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私がレポートします!

稿
あじまるテロワール研究員
女性
20代
兵庫県姫路市
旅行、カフェ巡り
鹿児島生まれ、姫路在住のOLです。県外出身ならではの視点をもつ「テロワール研究員」として、兵庫のさまざまな魅力を紹介していきます♪






「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート

食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。

温故知新の精神を大切にする老舗黒豆卸小売店「小田垣商店」へ

古くから黒豆のなかでも最高品種とされる“丹波黒”が多く栽培されてきた丹波篠山地域。
今回は、1734年に創業し、農家とともに上質な黒豆づくりに取り組んできた黒豆卸小売店「小田垣商店」へ訪問し、黒豆の魅力を新しい角度から打ち出している商品や、2021年4月に新設されたカフェについても探ってきました。

■1734年創業の黒豆卸小売店「小田垣商店」


徳川家康によって築かれた「篠山城」をはじめ、武家屋敷や古い商家の家並みが色濃く残る兵庫県の丹波篠山市。そんな風情あふれる街並みを散策していると……シックなのぼりと、貫禄のある太字で“黒まめ”と書かれた看板が目をひく「小田垣商店」を発見。1734年創業の老舗黒豆卸店です。

エントランスの重厚な雰囲気に少し緊張しながら扉を開けると……目に飛び込んできたのは石づくりの棗(なつめ)形手水鉢。床も石畳になっていて、古いもので江戸時代から京都の商家にあった町家石を使用しているんだとか。
随所に歴史を感じる「小田垣商店」の敷地内には、店舗のほかにも江戸後期から大正初期にかけて建てられた茶室や洋間があり、それらを含む10棟の建物が国の登録有形文化財に登録されています。その10棟のうち、5棟を現代美術作家・杉本博司氏と建築家・榊田倫之氏が主宰する「新素材研究所」が改修を手がけていて、2024年を目処に、残る全棟の改修も進める予定だそう。

 看板商品の『大玉丹波黒大豆』を手に持ってみると、大豆とは思えないほどのずっしり感。一般的な黒豆が直径8〜9mmほどの大きさなのに対し、丹波黒大豆は10〜12mmにもなります。
また、一般的な黒大豆は開花から成熟まで約70日かかりますが、丹波黒は約100日と30日近くも長く、その分多くの養分を蓄積し、粒が大きく成長するんだそう。
「小田垣商店」では、収穫した完熟黒豆をさらに職人が一粒一粒手作業で選別し、大玉のものだけを出荷しています。想像しただけで骨が折れる作業ですね……。

瓶にたっぷり詰め込まれた煮豆も発見!調理済みで手軽に食べられ、パッケージもシンプルなので、お土産にも喜ばれそうです。艶やかで丸々とした黒豆は、見るからに甘くておいしそう!

形のきれいな黒豆が育つ理由は、この地域で発生する「丹波霧」が関係しているんだとか。
丹波篠山は昼夜の寒暖差が大きい内陸性の気候で、秋から冬にかけて丹波霧とよばれる真っ白な濃い霧が発生します。夜露や朝霧で濡れた豆のさやが日中の晴天で乾燥し、また夜露や朝霧で濡れる……その繰り返しによってキズや割れの少ない良質な黒豆が育ちます。丹波地方が、丹波栗や丹波大納言小豆など多くの特産品に恵まれているのも納得です。



スナック感覚で気軽に食べられる『しぼり豆』も人気商品。特別に試食させていただくと、素朴ながらも深みのある味わいで、サックリとしたやさしい食感がクセになりました。手が止まらなくなるので、食べ過ぎ注意です(笑)。そのままではもちろん、アイスやお茶に加えるのもおすすめなんだとか。

 
■美しい料理と景色に心奪われるカフェ「小田垣豆堂」





丹波篠山の美味しい食材を楽しめると聞いて、併設されている「小田垣豆堂」へ。店内は気品さがありながらも、どこか心落ち着く空間が広がっています。

カウンター席の目の前に広がる庭「豆道」は、「新素材研究所」の杉本博司氏が手掛けた石庭。カフェ利用者しか見ることができない、とっておきの景色です。
まっすぐに迷いなく描かれた砂紋は、「小田垣商店」が歩んできた長い年月を表現しているようで、芸術的な美しさに心惹かれます。ただぼーっと庭を眺め、ほっと一息つく。そんな静かな時間を持つことが一番の贅沢かもしれないと感じた午後のひととききでした。



心地よい時間に浸っていると、頼んでいた料理が到着。丹波篠山牛の自家製ローストビーフを使ったオープンサンドイッチをいただきました。ローストビーフの下には赤ワインでソテーされたタマネギが隠れていて、これがまた肉のうま味を引き出し相性抜群!ぺろりと食べきってしまいました。
サラダにトッピングされた黒豆をみて、こんな使い方もあるんだと新発見。自家栽培野菜を使った季節のスープも付いていて、この日はカブのクリーミーなスープでした。





デザートには、数あるスイーツメニューの中から『mamedou ティラミス』を注文。想像していた一般的なティラミスとは一風変わった、芸術的なプレートが運ばれてきました。
ティラミスの下に添えている黒豆は庭石をイメージしているのかな……なんて想像を膨らませながら一口食べてびっくり!外側はマスカルポーネのムースになっていて、ムースの中に丹波栗が!見た目も味も真新しい一品に出合え、大満足でした。




ドリンクメニューも豊富で、黒豆茶やコーヒー、カフェオレは黒豆菓子3種付き。ショップで販売している全5種ある黒豆ドルチェシリーズから、ランダムに選ばれます。黒豆茶は店内で黒豆を焙煎した香り豊かな一杯で、コーヒーは和スイーツに合うようにオリジナルブレンドで提供しているなど、こだわりがつまっています。
あれもこれもと目移りしてしまう魅力的なメニューがそろう同店。黒豆だけでなく、篠山牛や丹波栗など、丹波のおいしい食材を一度に楽しめるのも、テロワールを感じられて素敵だなと思いました。
料理や景色はもちろん、時間という形ないものに思いを馳せるのも旅の楽しみ方のひとつ。古くは江戸時代からの歴史が眠る「小田垣豆堂」で、悠久の時の流れを感じてみてはいかがでしょうか。

 
■電柱のない、江戸時代さながらの街を散策!



お腹もいっぱいになったところで、周辺をぶらり。「小田垣商店」から歩いてすぐのところにある「河原町妻入(つまいり)商家群」に立ち寄ってみました。
間口が狭く、奥行きの深い造りをした“妻入り”とよばれる商家が、約600mに渡って建ち並ぶエリアで、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。

 


通りには、昔ながらの畳屋やアンティークな雑貨店など、思わず足を踏み入れたくなる店が軒を並べています。





引き込まれるように道を進むと、珍しい染めカフェなるものを発見!手持ちのTシャツなどを草木カラーに染め直す体験ができるんだとか。染物の買い物やカフェだけの利用もできる「貴九(ききゅう)」さんというところでした。



歴史好きは、ここから歩いて15分ほどの「篠山城跡」を目指すのもいいですね。大河ドラマ「麒麟がくる」のゆかりの地として、近年話題を集めている観光スポットです。



気になるお店をのぞいたり、偶然出合った心ときめく景色をカメラに収めたり……のんびり散策を楽しみながら、丹羽篠山の街に潜む「テロワール」を探してみては。 

◇小田垣商店
【住所】兵庫県丹波篠山市立町19番地
【営業時間】ショップ 9:30〜17:30/カフェ 10:00〜16:00(L.O.15:30)
【休館日】ショップ 年末年始のみ/カフェ 木曜日定休(祝日の場合は翌平日)
【TEL】079-552-0011
【HP】https://www.odagaki.co.jp/

 

【HYOGO!ナビWEBサイト関連ページ】
 丹波篠山市のスポット情報はこちら
 

掲載日:令和4年3月17日

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