兵庫県内陸部に位置する丹波市にある、1849年創業の西山酒造場。豊かな自然環境の中でこだわりの酒造りを重ねてきた酒蔵には、伝統的な定型詩である「俳句」の作者や画家たちが通ったそうで、文学や芸術の深い関係が育まれてきました。
彼らが長期滞在したのは、今では国の登録有形文化財である木造二階建の主屋だったそうですが、西山酒造場は広大な敷地内に数々の木造建築と技術を見ることができます。
2024年8月には、新たに「鼓傳-koden-」をオープンしました。
酒蔵を改装した施設内には、カフェやギャラリー、ワークショップスペースに加えて宿泊スペースもあります。そのなかでも食にこだわる女性にお勧めしたいのが「発酵まかないカフェ小鼓御里」。古来から健康食として日本人の心身を癒してきた発酵食のランチタイムとカフェタイムを楽しむことができます!
こちらで頂けるお料理は、全て「蔵人の健康のためのまかない料理」がコンセプト。地元で採れた有機野菜、丹波地鶏やたまごを酒造りを通して培った「発酵」技術を融合させ、地産地消へのこだわりがあります。
▲「木枡せいろの発酵まかない」の中の1メニュー「赤飯とおこわの木枡せいろ」 2,200円(税込)
味や健康だけでなく、見た目にもこだわったお料理は、写真映えも抜群です。
「木枡せいろの発酵まかない」というランチメニューをご覧ください。
豊かな丹波の自然で育った食材を蒸し料理にすることで、素材そのものの風味を楽しめる逸品は、色とりどりの食材で木枠の中に庭園を再現したように見えませんか?赤飯とおこわ、丹波地鶏、丹波黒毛和牛の3種類が用意されていて、好みに合わせて選ぶことができます。
酒蔵のレストランですから、ランチと共に日本酒のテイスティングはいかがでしょう?1,100円(税込)で、3種類飲み比べることができます。
サイドメニューも豊富で、デザートの「お三時三三(ささ)プレート」がおすすめ!白砂糖を使わず、発酵から生まれた自然な甘みを楽しめる、体にやさしいおやつです。
16時までのカフェタイムを楽しみたい方には、丹波と発酵の酒蔵アフタヌーンティーがあります。アルコールコースかノンアルコールコースを選ぶことができますよ。
*一週間前までに要予約
カフェで注目したいのは、木のぬくもりが感じられる心地よい空間。家具のひとつひとつにこだわりがあります。
▲酒樽でできた椅子
▲木枠窓の外には、昭和時代に使用していた旧ラベルの看板が飾られています。
酒造りの歴史を今に伝えるレトロな資料や写真の数々が飾られる壁面を見ていると、博物館に入ったような感覚になります。
▲日本酒ラベルやカートンの印刷に使った金型
▲西山酒造場の歴史を物語る写真の数々。
「鼓傳-koden-」の空間デザインについて西山酒造場の女将、西山桃子さんにインタビューすることができました。
『次の世代に、古来からの酒造りを伝える場所にしていきたいという思いの元、30年前まで手作りでお酒を造っていた酒蔵をリノベーションしました。使用していた樽などの道具を可能な限り再利用し、当時の面影を残すというコンセプトで空間デザインをしています。
クローズドな世界である酒造場をオープンにして、より多くの人に知っていただく機会を作っていきたいと思っています』。
「鼓傳-koden-」の中には回廊型のギャラリーがあって、西山酒造場ゆかりの作家たちの芸術作品を鑑賞することができます。
今後は現代作家の作品発表の場も提供され、事前予約制の酒蔵見学プランとなるそうです。
日本が誇る酒造りと発酵食文化の総合的な博物館が丹波の静かな自然の中にある、といってもいいですね。
さらに、博物館といえば思わずお土産を購入したくなるミュージアムショップの存在が重要です。
西山酒造場では、お気に入りのお酒が見つかったら、「鼓傳-koden-」の外にある直売所で購入することができます。
瓶のパッケージデザインを手がけたのは兵庫県ゆかりの著名な芸術家である綿貫宏介(わたぬきひろすけ)で、従来の日本酒ボトルとは異なる若い女性も親しみやすいデザインです。
インテリアとしても使えそうなほどお洒落なボトルなので、旅の思い出にぜひ!
日本酒と発酵食文化を訪ねる丹波市の旅をもっと贅沢な体験にしていただくためには、この地域に1、2泊いただく滞在型のプランがおすすめです。
丹波市には、建物自体が美術品のような丹波市立植野記念美術館や、紅葉の名所である常瀧寺(じょうりゅうじ)、達身寺(たっしんじ)など、たくさんのお寺が存在し、豊かな自然環境の中で様々な角度から日本の美しさを堪能いただくことができます。
▲丹波市立植野記念美術館
▲常瀧寺
TAMBA TOURISM ASSOCIATION
https://www.tambacity-kankou.jp/english/
そこで最後にご紹介するのが「酒蔵宿西山 鼓傳」です。
蔵の中には宿泊可能な客室があり、かつて蔵で働く職人が寝泊まりした「会所場(かいしょば)」と呼ばれる部屋をイメージして作られました。宿泊者だけに提供されるのは、丹波地鶏と地元野菜を小鼓のお酒でいただくお鍋料理。もちろん発酵食にこだわったメニューです。
かつてここに長期滞在した文学者や芸術家気取りで酒蔵の中で静かな夜を過ごせば、この場所で脈々と受け継がれてきた酒造りの文化を五感で感じる旅になるかもしれませんね。
DATA:
◇西山酒造場 鼓傳-koden-
兵庫県丹波市市島町中竹田1171
TEL:0795-86-0331
営業時間
発酵お三時三三(ささ):10:00~17:00
小鼓御里(こづつみおんり):ランチ11:00~14:00 (Last order 13:30)、カフェ14:00~16:00 (Last order 15:30)
定休日:火曜日、年始
Website:kotsuzumi.co.jp
ご予約URL:kotsuzumi.co.jp/koden/reservation/
Instagram: https://www.instagram.com/kotsuzmi/