酒米が育つ場所で農家が伝える、日本酒のシンボル“杉玉”づくり
酒蔵などの軒先に吊り下げられている、どこか神秘的な球体の植物。『杉玉』(すぎだま)は、杉の葉先を球体にして作られていて、古くから、酒造りに関わる人々にとって、今年も良い酒ができるようにと願って掛けられる神聖な習わしです。
軒先に緑の杉玉が吊るされると、新酒が出来たことを知らせ、その色の移り変わりを見れば、酒の熟成の進み具合が判ることから、看板や目印のような役割があります。そんな『杉玉』を作る体験ができる場所が兵庫県にあります。
姫路駅から北東へバスで48分。
兵庫県南東部の緑豊かな山間に、里山風景が広がる加西市山下町。
この澄んだ水と空気に恵まれた地で、山の環境を保護するために杉を間伐する12月~3月の間だけ、期間限定で開催されている特別な体験『日本酒のシンボル "杉玉" づくり』をご紹介します。
「吉野」バス停で降りると、歩いてすぐの場所に、酒米の王様『山田錦』を育てる酒米農家林家が営む、コンセプトショップtenがあります。
農機具倉庫をリノベートしたショップは、まるでギャラリーのよう。
目の前の自然が芸術のように感じる大きな一枚ガラスの窓が特徴的です。
tenオーナー/ 農家林家 5代目 名古屋 敦(なごや あつし) *
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酒米農家として茨城, 長野, 山形, 兵庫の酒蔵と直接契約し, 蔵元との対話を大切に山田錦を届けている. 2021年地域の同志と農業法人を設立し, 持続的な農業の在り方を模索している. また, 日本酒や農産物を直接届けるため, 2017年に店舗を構える. 店舗では稲見会, 収穫祭, 野山と里の関係を伝えるために「杉玉づくり」のワークショップを行いながら, 野山と里に暮らす人々の媒介者を目指し, 日々奮闘している.
私たちは兵庫県加西市で田と山を受け継ぎ、酒米づくりを行う農家林家です。そして、ひとつの田圃から採れた酒米のみでひとつの日本酒をつくる「一圃一酒」という試みを酒蔵と協働で行っています。
農閑期の冬場になると山へ入り、雑木の下刈りや杉の間伐などの山の整備を行い、その際に出た杉の葉を『杉玉』に仕立て蔵元に届けています。
(公式ウェブサイトより)
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この地で酒米農家として生まれ、東京ではWEBデザインの仕事をされていたという名古屋さん。岩手のりんご農家がご実家の奥様と東京で知り合われ、2017年に地元である加西市に戻り、家業を引き継がれました。
お二人が創り上げたこの空間は、細部にいたるまで洗練され、自然の光にあふれ、ここにしかない穏やかな時間が流れています。
体験は、3時間ほど。杉の香りと自然の景色と、耳心地の良い音楽、お二人のお話を聞きながら、自分だけの杉玉を作るこの時間は、五感で癒されるはず。
枝切ばさみ、軍手、そして杉玉の軸が用意されています。
軸は名古屋さんが試行錯誤して、綺麗に杉玉が作れるサイズと形に手作りしたものだそう!はさみはお隣の小野市でつくられたものを使用します。
不器用な方でも、丁寧にレクチャーしてくださいますよ。
海外からのお客様にも対応するために日本語版/英語版のパンフレットが用意されています。
デザインが美しい!丁寧な説明で、海外からのお客様も安心して体験いただけます。
杉玉づくり体験は、山から伐ってきた杉の枝を、手作業で切って選び集めていくところからスタートです!
一本一本丁寧に切っていくと、木の香り『フィトンチッド』がひろがります。
『フィトンチッド』とは、植物が傷つけられた際に放出する殺菌力を持つ揮発性物質のこと。特に針葉樹に多いため、日本では檜や杉の香りで親しまれています。
ある程度集まると、先ほどの軸に、杉の葉を隙間の無いように丁寧に差していきます。
体験の中間には、丹波黒豆の黒豆茶とおやつでほっと一息。この日は酒粕クリームを挟んだ有機玄米粉のレーズンサンドでした!
黒豆茶や、サブレの材料の米粉、酒粕も現地で購入することができます。
木漏れ日と、ストーブで暖められた杉の葉の香りにも癒されます。
色づきが進んだ杉玉と、剪定していない青々としたフラワーシャンデリアのような杉も素敵です。
杉で作ったスワッグも、色の変化が楽しめるということで、自宅で作るために材料を持ち帰る方もおられるそう!
体験でも余った材料は、薪ストーブに使うとのことで、環境にも、人にも良い流れができています。
すっかりリフレッシュしたところで、後半は、杉を吊り下げて仕上げていきます!
身長に合わせて、作業しやすいように高さも調整してくださいます。
終盤は面が埋まってくるので、これまで丁寧に差していないと、難しくなってきます。
最後は、いよいよ形になってきた杉を球体に剪定していきます。これが結構楽しい!
カットのコツも手ずから教えていただきました。
完成したら、目の前の圃場で丁寧につくられた山田錦から造るtenの日本酒か甘酒で乾杯!
日本酒は、すべて無ろ過、原酒で力強い旨みが特徴。40%まで磨き、澄み切った華やかな香りが特徴の「純米大吟醸 SEN」か、生酛づくりで米の深みを感じるキリっとした酸味が特徴の「純米SEN」からお選びいただけます。甘酒は、大吟醸の上槽時にできる上質な酒粕からつくられていて、大吟醸の香味を感じられるおいしさ。
ショップ、オンラインでも販売されています。
一つの田圃から採れた酒米だけでつくる『一圃一酒』の酒づくりをするtenのお酒は、
酒米をはじめ、醸造行程、そしてボトルのラベルのデザインまで、関わる人が細部まで丁寧に仕上げられていて、贈答用にもぴったりです。
ten オンラインショップ(https://online.ten-hyogo.jp/ )
SEN ®
体験後の杉玉は、お持ち帰りいただき、家に飾れば癒しの香りが広がりますよ。
海外への持ち帰りは、ご自身の国の検疫ルールを確認してからご判断いただき、持ち帰らず体験だけも可能です。
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山の間伐で出る杉の葉を使い、日本酒のシンボル「杉玉」を作る体験会。
杉玉づくりは、束ねた杉の葉を丸く刈り込む手仕事。ハサミを入れるたびに杉の葉の香りが弾けます。杉が“神が宿る木”とされるのもうなずけるような、清々しい芳香です。
完成した杉玉はお土産としてお持ち帰りいただき、ご自宅に飾って香りや色の変化を楽しむことができます。
酒米が育つ場所で、日本酒と杉のつながりを紐解きながらの杉玉づくり体験、ぜひご体感ください。(公式ウェブサイトより)
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杉玉づくり体験の他、しめ縄づくり体験、収穫祭など、季節に応じた体験会も実施されていますので、公式ウェブサイト、SNSをぜひご覧ください!https://ten-hyogo.jp/
◆ten
住所: 兵庫県加西市山下町2349-29
営業時間 木、金、土、 (13:00–18:00)
※facebookopen_in_new, instagramopen_in_newで営業日をご確認ください。
アクセス:
・中国自動車道「加西I.C」下車 (14分)
・山陽自動車道「山陽姫路東I.C」経由 播但連絡道路「船津ランプ」下車 (10分)
・姫路駅からJR姫路駅北口バスターミナル7番のりば「北条行き」に乗車し「吉野」で下車 (48分)
・中国ハイウェイバス津山大阪線「北条」下車, タクシーで ten へ(7分)
・北条鉄道「北条町」下車, 神姫バス「姫路駅行き」に乗車し「吉野」で下車(6分, 吉野バス停からすぐ)
*駐車場あり
2023年10月26日 22:12 PM
はじめまして、杉玉作り体験を申し込みたいのですが1人の参加は不可と表記されてました。どうしてもダメでしょうか?
2023年10月27日 08:52 AM
杉玉作り体験の詳細につきましては、直接tenさんへお問合せいただけますと幸いです。
お手数をおかけしますが、何卒宜しくお願いいたします。