丹波テロワール旅~豊穣の地を体験する~
丹波三宝(丹波栗・丹波黒大豆・丹波大納言小豆)のひとつ、丹波大納言小豆を使ったお菓子作り体験
栗や小豆など、丹波産のおいしい食べ物を使ってお菓子を作れると聞いて「丹波の食・文化・人にふれあう 丹波大納言小豆と旬食材のお菓子作り」を体験しに行ってきました。訪れた場所は「ゆめの樹」。
ゆめの樹は春日町にある集落の自治会が循環型まちづくりを進めるため、2015年に作られました。地元で採れた食材を使った加工品の製造販売や、旬の特産品をふんだんに使った食事も楽しめる施設です。
もともとこの町は日当たりや水捌けがよく、梨などの観光果樹園が盛んな地域で、現在は、かつて梨園だった跡地に丹波栗やシャインマスカットを育てるなど、果樹の栽培がおこなわれています。
地域を活性化し、栽培技術はもちろん、体験を通して丹波の食文化を継承すべく、この場所では様々な手作り体験に参加することができます。
ちなみに地域にあるゴミ処理場では、そこで発生した熱を利用して夏イチゴも育てているそう。地域全員が間接的にイチゴ作りに関わっているんですね。
では、さっそくお菓子作りを始めます。
今日はよろしくお願いします!
今回作るのは「丹波大納言水ようかん(ブルーベリー入り)」と「三色のおはぎ」の2種類。
丹波市春日町は「丹波大納言小豆」発祥の地として古くから小豆栽培が盛んだったそう。
江戸時代の文献にも「藩主が庄屋に命じて納めさせた小豆からさらに精選して幕府に献上し、さらにそこから京都御所に献納した」との記録があり、高く評価されていたことが分かります。
大粒で俵型・表皮が薄く煮崩れしにくい・光沢が美しく色むらがないなどの特長から、高級和菓子に使われることが多いそうです。
まずは丹波大納言水ようかん(ブルーベリー入り)。
向かいにある「夢の里やながわ」のパティシエの方が教えてくれます。
テーブルには、ブルーベリーが入ったお鍋、砂糖、レモン汁が用意されています。
見てください。このブルーベリーの大きいこと。
普段、お店で見るブルーベリーの2倍くらいの大きさなんです。
一粒食べると酸味が少なく、ほどよい甘さ。
今まで食べたブルーベリーのなかでもみずみずしく、驚くほど味が濃いんです。
こんなにおいしいブルーベリーは食べたことがありません。
さっそく、本日教えてくださるパティシエの方にそのおいしさの秘訣をお聞きしました。
これはこの地域の寒暖差の影響なんだとか。
太陽が出ている日中、植物は光合成をして栄養をたくさん蓄えていきます。
しかし、植物は呼吸により、その蓄えた糖を消費していってしまいます。
呼吸に使う糖の消費量は気温に比例し、高ければ多く、低ければ少なくなっていきます。
寒暖差が10度前後もあるこの土地では、夜になり気温がぐっと下がると呼吸数も少なくなり、溜め込んだ糖の消費を抑え、より糖を蓄積することができるということが、この甘さの秘訣だったんですね。
さらに乾燥しがちな春と秋には、寒暖差で発生する丹波霧が発生し、植物に潤いを与えてくれるので、果物を育てるに丹波は適した土地というわけなんです。
ちなみに、同じ果物の木を違う地域に植え、同じ条件で育てても、全く違う味・大きさのものができるそう。
この味や大きさは、丹波ならではなんですね。
また、今回のお菓子作りで使用する他の食材もこの土地で自社栽培を行なっているため、どれも大粒で味の濃いものが出来上がるとのこと。
さらに、採れたてをすぐに処理し、提供することにより、素材が持つ本来のおいしさを見て、食べて感じることができるんです。
一気にお菓子作りへの期待値が上がります。
まずはブルーベリージャム作り。
ごろごろと大きいブルーベリーをお鍋に入れて砂糖、レモン果汁を入れて混ぜていきます。
中火にかけて果汁を出すためヘラで潰しながら混ぜていきます。
砂糖を入れることによって、果汁がより外にでてくるんだそう。
レモン果汁は入れることにより、より色鮮やかになるそうで、混ぜていくと綺麗な紫色に。
甘い香りが立ち込め、一通りどろっとしてきたら火を止めてスプーンでカップにいれていきます。
この時点で我慢しきれず、ちょっとつまみ食い。
自然な甘みでブルーベリーそのものの味が引き立っています。
パンやヨーグルトにも合いそう。
実は丹波市は県内最大級のブルーベリー産地。多くの生産者さんが特産化を目指して観光農園や加工品販売などに取り組まれています。
ちなみに市販ジャムは保存食のため、砂糖の量も多く、しっかり煮詰めているのですが、今回のものはフルーツジャムとして香り、味わいが一番美味しく感じられる20パーセントの糖度で作っています。
お次は水ようかん作り。
中火にし、寒天と砂糖、丹波大納言小豆のこしあんをだまにならないように混ぜていきます。
一気に小豆の香りが部屋中に広がります。
しっかり混ざったらカップに入れて冷やします。
冷やしている間におはぎを作っていきます。
おはぎは地域の方が教えてくれます。
まずは餅米を好みの硬さににぎります。
握り方は好みによるのですが、ぎゅっとにぎるとお餅のような食感になり、やわらかく握ると餅米の食感をより感じられるようになるそうです。
せっかくなので、どちらの握り方もチャレンジしてみました。
今回のおはぎは、丹波大納言小豆でつくった粒あん、丹波栗のあんこ、黒豆きなこの3種類。
あんこは丸めて手のひらで平に伸ばし、回しながら餅米を包んでいきます。
怖がらないように、思い切って包むと失敗しにくいんだそう。
地域の方が教えてくれるので、いろいろお話をしながらどんどん作っていきます。
黒豆きなこはきなこを豪快にかけます。
おはぎができたところでお皿に盛り付け。自分で作ったので、とても愛らしく見えます。
丹波産の食材をふんだんに使った、なんとも贅沢なおはぎたち。
もみじの葉がアクセントになっています。
おはぎが完成すると同時に、先ほど作った水ようかんが再登場。
パティシエの方に見本を見せてもらいながら、生クリームとブルーベリー、ミントの葉を飾りつけしていきます。
ここは腕の見せ所。
慎重に並べていきます。
完成したところで、試食タイム。
丹波大納言水ようかん(ブルーベリー入り)は、生クリームとブルーベリー、水ようかん、ブルーベリージャムの3層になっていて、同時に食べると程よい甘みの後にくるブルーベリーの酸味がたまらなくマッチしています。
おはぎは持ち帰りできるのですが、せっかくなのでこちらも一緒にいただきます。
どの種類のおはぎもそれぞれの素材の味が濃く、その質の高さが感じられます。
鼻に抜けていく香りもすごく良い。
食べている最中なのに、「また食べたい」と思うおいしさで、一瞬にして丹波産食材の虜になってしまいました。
季節によって、違う食材・メニューでの体験もできるので、いろんな時期に体験しにいきたくなりました。
【HYOGO!ナビWEBサイト関連ページ】
◇ 丹波の食・文化・人にふれあう 丹波大納言小豆と旬食材のお菓子作り
◇ 興禅寺(黒井城跡)
徳川三代将軍・家光の乳母で、大奥の礎を築いた春日局(お福)が3歳まで過ごした黒井城の下館跡です。水をたたえた七間濠や高い石垣、白いねり塀など、江戸時代の風情をよく残していることから、国の指定史跡となっています。また境内には「産湯の井戸」や「腰かけ石」なども残されています。
ところで、黒井城跡といえば雲海が有名ですが、永禄から天正期(16世紀後半)の城郭遺構としてもとても貴重な存在だそうです。
▲ 興禅寺
▲ 黒井城跡
雲海を見るなら日の出から午前中早めの時間で。 朝晩の冷え込みが厳しく日中晴れることが雲海出現の条件。
【HYOGO!ナビWEBサイト関連ページ】
◇【クチコミ】空撮アーティスト 前田太陽の世界~明智光秀ゆかりの城「黒井城」
DATA:
◇ ゆめの樹
丹波市春日町野上野1026-3
TEL:0795-74-3030
営業時間:10:00~16:00
定休日:木曜日(団体予約は受付)
駐車場:あり
http://yumenoki-nokono.jp/
◎丹波大納言小豆と旬食材のお菓子作り体験
体験時期:通年(食材の変更あり。9月上旬~11月はパティシエ対応不可)
所要時間:約70分
催行人数:3名以上(30名まで)
料金:ひとり1,980円(3~5名は500円/人追加) ※現金払い
予約:必要(3日前・17時まで) 電話またはメール(yumenoki-nokono@spice.ocn.ne.jp)
キャンセル料:前日10時以降100%
◇ 興禅寺(黒井城跡)
丹波市春日町黒井2263
TEL:0795-74-0019
営業時間:境内自由
定休日:年中無休
駐車場:あり(普通車20台)
料金:拝観無料
https://www.tambacity-kankou.jp/spot/100sen_kozenji_temple/
丹波地域公式ポータルサイト「ふらり丹波路」では、ここで紹介しました『丹波の食・文化・人にふれあう 丹波大納言小豆と旬食材のお菓子作り体験「ゆめの樹」』の記事の他に、テーマで巡る丹波の旅「丹波テロワール旅~豊穣の地を体験する~」と題して下記の記事も掲載しております。こちらも併せてご覧ください。
└ 小田垣商店(ちょっと立ち寄り)
└ 特産館ささやま(ちょっと立ち寄り)
└ 高谷山(横峰山)展望台(ちょっと立ち寄り)
◇ その他の体験施設
【HYOGO!ナビWEBサイト関連ページ】
◇【クチコミ】丹波あちこち、よくばりキャンプ「キャンプリゾート森のひととき」(ぶらり丹波路)
◇【クチコミ】アートで旅する丹波「篠山チルドレンズミュージアム」(ぶらり丹波路)
◇ 丹波地域(丹波市・丹波篠山市)のスポット情報はこちら
掲載日:令和4年11月8日 グルメ