神戸ビーフの原点を知る旅

神戸ビーフの原点を知る旅

世界中でその美味しさを高く評価されている神戸牛。その神戸牛のルーツが「但馬牛」であることをご存じでしょうか?

 

実は、神戸牛と呼ばれるのは但馬牛の中でも厳しい基準をクリアした牛肉のみ。そんな但馬牛自体も、自然豊かな環境と厳格な基準のもと純血を守り続けてきた貴重な品種です。

 

「兵庫県立 但馬牧場公園」は、但馬牛の歴史や飼育過程を学べる施設。さらには、本物の但馬牛をはじめとした、ヒツジやヤギ、ウサギといった可愛らしい動物たちとの触れ合いができ、冬にはスキーも楽しむことができます。その魅力を探っていきましょう!

 

 

自然豊かな但馬牧場公園

 

 

「但馬牧場公園」は、湯村温泉からタクシーで約10分の距離に位置する、広大な自然に囲まれた公園です。敷地面積は77ヘクタール、これはサッカー場およそ110個分に相当します。この公園では但馬牛の歴史や飼育方法を学べるだけでなく、実際に但馬牛と触れ合い、食堂では新鮮で美味しい但馬牛を味わうことができる、魅力的なスポットです。

 

公園は大きく3つのエリアに分かれています。まず「ファームビレッジエリア」には、ビジターハウスや但馬牛に関する博物館があり、歴史や特長について学べます。次に、「畜産エリア」では、展示牛舎で但馬牛を間近で見たり、ヒツジやヤギ、ウサギと触れ合うことができ、小動物広場は家族連れに大人気です。最後に、「スキー場エリア」では、夏は放牧地として但馬牛が自由に過ごす姿を見学でき、冬にはスキー場として訪れる人々を楽しませます。

 

 

奥深い但馬牛の世界に触れる「但馬牛博物館」

 

 

ビジターハウスの隣に但馬牛博物館があります。ここでは、但馬牛の剥製や名牛「田尻号*」の大型立体模型が迎えてくれます。

 

 

但馬牛は、兵庫県但馬地方を発祥とする和牛の一種で、素晴らしい肉質で知られています。この博物館では、日本における牛と人の歴史や、但馬牛が「オンリーワン」である理由などについて学ぶことができます。

 

▲日本における牛の歴史を紹介

 

牛は1000年以上前、古墳時代(約250年~600年頃)に西アジアから伝わったと言われています。もともとは豪族や王族が飼育する貴重な家畜であり、その後平安時代(西暦794年~1185年)には貴族たちの牛車として使われていました。時代が進むにつれ、荷物の運搬に利用されるようになり、大阪城の石垣を運ぶ際にも活躍したという文献もあります。それから牛の数が増え、田畑の農作業にも用いられるようになり、牛を所有していることは、裕福であることの象徴とされていました。

 

開国後*は食肉文化が浸透し、牛の改良が進みます。「KOBE BEEF」という言葉が生まれたのもこのタイミング。1859年、神奈川が開港し、横浜に外国人居留地ができます。当時関東では牛が少なく、外国人の食用に調達できなかったので、1865年から1回に30~40頭程度、但馬牛を神戸港から横浜に回漕しました。この肉の美味しさに感銘を受けた外国人に“KOBE BEEF”と称賛されたのです。

 

 

▲但馬牛が県外のうちと勾配せずに純血を守っていることを示す図

 

但馬牛が「オンリーワン」と言われる理由は、他の和牛と異なり、県外の牛と勾配せずに純血を守っている点。その管理は厳しく、兵庫県から一度外に出ただけでも「但馬牛」と呼ぶことはできなくなるそうです。兵庫県内で育てられ、厳しい基準を満たす牛のみが「但馬牛」として認められるのです。

 

 

▲「牛籍簿」と日本語で書かれた古い書物

 

但馬牛の一頭一頭がしっかりと管理されている証拠に、館内には戸籍(日本のシステムで家族の情報を記録する仕組み。身分や家族関係などを記録する。)ならぬ「牛籍簿」や種牛の一覧が紹介されています。

 

厳しい管理のおかげで、但馬牛ならではの、口の中でとろけるような食感が楽しめる非常に細かい霜降りや、香り高く質の良い脂肪といった遺伝的な特徴が保たれており、美味しいお肉をいただけるのですね。

 

肉質を日々改良している厳密な科学的手法や管理体制など、さらに奥深い知識については、ぜひ博物館で学んでみてください!

 

 

▲神戸ビーフと但馬牛の霜降りの度合いや、色、筋繊維の細かさを比較した写真展示

 

選考基準は但馬牛であることはもとより、霜降りの度合いや、色、筋繊維の細かさなどなど多岐に渡ります。

 

奥深い但馬牛の世界に触れることができる博物館、ぜひ足を運んでみてください!

 

*田尻号....今の兵庫県美方郡香美町小代区貫田で1939年に生まれた但馬牛。1954年まで生き、優秀な種牡牛として、和牛の大半を占める黒毛和種の系統作りに貢献しました。

 

*開国...日本が外国との貿易や交流を始めることを指します。日本が海外に向けて開国したのは、1854年でそれ以降、日本は外国との貿易や交流を始めるようになりました。

 

 

 

但馬牛と触れ合う特別な体験

 

 

 

但馬牛について学んだ後は、本物の但馬牛との触れ合いを楽しんでみませんか?但馬牧場公園では、牛舎(大動物舎)で但馬牛の飼育を行っており、実際に見学することができます。

 

牛舎に入ると、柵の隙間から興味津々にこちらを見つめてくる但馬牛たち。はじめはその大きさに驚きますが、近寄ってみるとおとなしくて、人懐っこい性格であることが伝わってきます。

 

 

なかには生まれて数ヶ月の子牛もいました。あまりの可愛らしさに牛舎から出るときは但馬牛の魅力に虜になっていること間違いなしです。

 

 

但馬牛と但馬地方の人々の暮らしの歴史は、密接に結びついており、以前は但馬地方の人たちが家の一角に牛のためのスペース作り、一緒に暮らしてきた歴史があります。牛も人を助け、棚田や農作業など行っていました。

 

 

但馬牛の親しみやすい性格や可愛らしい外見には、但馬地方の人々と長い間生活を共にしてきたことが影響しているかもしれませんね。

 

牛舎での触れ合いに加えて、今はなかなか見ることが少なくなった放牧の様子を楽しめることも但馬牧場公園ならではの素晴らしさです。6月から10月にかけては、愛宕山の放牧場で自由に過ごす但馬牛たちの姿をリフトから眺めることができます。

 

 

<牛舎見学について事前にご確認いただきたいこと>

・「家畜伝染病予防法」という法律に則り、海外からの渡航1週間以内の方は、牛舎に立ち入ることができません。但馬牛と触れ合いたい方は、入国後1週間以上の余裕を持つことをおすすめします。

 

 

レストラン「ふるさと」で但馬牛を堪能!

 

 

但馬牛について学んだあとは、その味わいも気になるところ。但馬牧場公園内にある「レストランふるさと」は、但馬牛を使った様々な料理を楽しむことができるスポットです。

 

 

中でも人気なのが「但馬牛の御重」。但馬産のコシヒカリ(米の一品種名)の上には、たっぷりの牛肉がのっています。

 

一口食べると、柔らかくジューシーな但馬牛の肉の旨みと脂の甘みが口のなかに広がり、幸せな気持ちでいっぱいに。ふっくらと炊きあがったご飯とも相性抜群で、贅沢な味わいを楽しむことができる一品です。

 

 

「レストランふるさと」では、事前予約をすれば、但馬牛のステーキやBBQも楽しむことができるので、ぜひ贅沢なひとときを味わってみてください!予約は電話またはメールですることができます。

 

 

但馬牛の魅力を体験する場所「但馬牧場公園」

 

但馬牛の歴史や育成過程を学び、実際に触れ合い、その美味しさまで堪能できる「但馬牧場公園」。自然豊かな高原で、のんびり過ごす時間は素晴らしいものでした。

 

「但馬牧場公園」の近くには、タクシーで10分ほどの距離に、レトロな風情溢れる温泉街の「湯村温泉」もあるので、牧場を楽しんだ後は、温泉でゆったりと過ごすのもおすすめです。心も体もリフレッシュできる素晴らしい旅をお楽しみください。

 

 

但馬牧場公園

住所:〒669-6813 兵庫県美方郡新温泉町丹土1033(Googlemap

営業時間:9:00〜17:00

定休日:木曜(※祝日の場合は翌金曜)

サイト:https://www.tajimabokujyo.jp/(翻訳機能が利用できます)