カバンの一大産地。豊岡の「カバンストリート」で職人の手仕事を楽しむ旅
旅行に、仕事、買い物、ちょっとしたお出かけ時にも、当たり前のように私たちの生活を支えてくれているカバン。手にしない日はないと言えるほど、私たちの生活にとって欠かせないものですし、中には愛着深いアイテムもあるはず…。
人気の観光地・城崎温泉からバスで30分ほどの場所にある豊岡市は、そんなカバンの日本における一大生産地といえる場所。カバンストリートや工房を巡りながら、カバン作りの奥深さと、その背景にある歴史を探る旅にご案内します。
豊岡のカバンの歴史とは?
豊岡市の歴史は古く、西暦27年には但馬(豊岡市のあったエリアの旧国名)の国を開いた人物が、柳編みの技術(昔は柳でカバンを作っていた)を伝えたという記述があります。その後も豊岡の柳で作ったカバンは重宝され、江戸時代(1603年〜1868年)には、当時のカバン・柳行李(やなぎこうり)の全盛期を迎えることとなりました。これはもう筋金入りのカバンの街と言わざるをえませんね。
近くには、浴衣で街歩きや温泉、海の幸を楽しめる城崎温泉や、歴史が息づく城下町・出石町があり、温泉旅行の合間に立ち寄るには最適なエリアです。
旅の相棒「カバン」を見つける
豊岡駅からバスで約10分、徒歩で15分弱ほどの場所にあるカバンストリートは、数多くのカバン工房が集まり、職人たちの技が光るカバンが並ぶエリア。直線で約300mの場所に、カバンのショップや工房が立ち並び、そのどれもが職人たちの精緻な技術を感じさせます。どの店も個性的で、見ているだけで楽しい気分になります。
カバンストリートを歩いていると、カバンを象った自動販売機やカバン型のバス停、ベンチ、花壇など至るところにカバンが…。電信柱には、ジッパーまでついています。どんなカバンの意匠が街の中にあるか探してみるのも楽しそうですね。
カバン文化の発信地「Toyooka KABAN Artisan Avenue」
カバンストリートの中心にある「Toyooka KABAN Artisan Avenue」は、豊岡で生産されたカバンのなかでも数々の厳しい選考基準をクリアした「豊岡鞄」マークの鞄や、同じく豊岡で作られた革小物を扱うセレクトショップ。
1階と中2階には、豊岡の15の工房の鞄が集まっており、3階には鞄職人育成のための専門学校「Artisan School」があります。よく見ると天井のライトは、柳行李風のデザインになっています。
店内には、お仕事で使えるフォーマルなバッグや、日常使いにピッタリの布カバン、おしゃれなパステルカラーのもの、和柄と革を組み合わせたお財布など、個性あふれる約250のアイテムが並ぶ「Toyooka KABAN Artisan Avenue」。お気に入りの一品を探してみてはいかがでしょうか。
「鞄工房 嘉玄(Kagen)」で豊岡カバンの歴史に触れる
「Toyooka KABAN Artisan Avenue」からまっすぐ北に進むこと3分。走行音が鳴らないスーツケースや機能的なバッグを販売するエンドー鞄株式会社の前にあるのが、同社が営む「鞄工房 嘉玄」です。
こちらはエンドー鞄株式会社が「和にこだわった日本のカバンを作る」というコンセプトのもと2013年にオープンしたお店です。
店内に入ると、素敵なカバンがズラリ。一つ一つ丁寧に良い素材を使って作り込まれているのがわかるものばかりで、その美しさと職人の確かな仕事に見とれてしまいます。プロのメイクアップアーティストさんが使う「バニティボックス」端正でとても綺麗ですね。
2階にある資料室(「嘉吉郎の部屋」という名前)では、エンドー鞄株式会社の初代社長の嘉吉郎さんが集めた柳行李をはじめとした、豊岡のカバンの歴史がわかる資料館になっているので、ぜひ立ち寄ってみましょう!
豊岡市を流れる円山川の周りには柳行李の材料となるコリヤナギの木が多く自生し、そこからカバン作りの歴史が始まりました。大切な衣類をしまったり、旅の荷物を入れたりと人々の生活に欠かせなかった柳行李。自然素材のため、湿気を吸ってくれる、丈夫で軽いといったメリットもありました。
ちなみに、どれだけ隙間なく綺麗に編み込まれているかが職人の腕の見せどころだったのだとか。
驚いたのは、豊岡のカバン職人たちが、コリヤナギからファイバーや布、革などに素材の中心が変わっても、それらを積極的に取り入れて、良いカバンをつくり続けたこと。
素材が変われば作り方も大きく変わります。「良いカバンを作る」という軸をブラさずに、大きな変化を受け入れて、時には積極的に取り入れていった職人たちが豊岡のカバンの凄さであり、強みなのかもしれません。
「鞄工房 嘉玄」ではコインケースやサコッシュといった、カバンづくりのワークショップも楽しむことが出来ます。30分程の簡単な作業で、自分や家族へのオリジナルのお土産を作ってみてはいかがでしょうか?自分のイニシャルを押すこともできます。
散策の途中で一休み
カバンストリートや工房見学で疲れたら「todo bien coffee」へ。
落ち着いたテラススペースがとっても素敵で、一休みするには最適なカフェとなっています。
「todo bien coffee」でぜひ注文していただきたいのが、「ビッグサイズスライスピザ(全3種類)」。今回は「ペパロニ」を注文してみました。チーズとペパロニがたくさんのった、クリスピーのピザは、サクサクとした食感とチーズのコク、ペパロニの旨味が最高です!
炭酸飲料が欲しくなるところですが、ここはぜひコーヒーを。深煎りの渋みとコクのある味わいがピザと良くマッチしています。
「todo bien coffee」では、毎週木曜日に地域の交流イベントが開催され、地元の人々と触れ合うこともできます。種類豊富なレコードを楽しむこともできるのでおすすめですよ。
美味しいコーヒーとピザでお腹を満たしたあとは、他の工房めぐりに再び繰り出しましょう。
まとめ>
職人の手仕事や歴史、素敵なカバンに出会うことができる豊岡市。城崎温泉に行くときは、宿泊を増やして豊岡や出石まで足を伸ばしてみませんか?
Toyooka KABAN Artisan Avenue
住所: 兵庫県豊岡市中央町18-10(Google map)
営業時間: 10:00~17:30 ※平日は11:00〜
定休日: 水曜日
サイト: https://visitkinosaki.com/things-to-do/toyooka-kaban-artisan-avenue/
鞄工房 アトリエ嘉玄(Kagen)
住所: 兵庫県豊岡市元町2−5(Google map)
Google Map: 鞄工房 嘉玄(Kagen)
営業時間: 10:00~17:00
定休日: 水曜日
サイト: http://www.atelier-kagen.jp/(日本語のみ。翻訳機能を活用してください)
todo bien coffee
住所: 兵庫県豊岡市中央町18(Google map)
営業時間: 11:00~16:00
定休日: 火曜日
サイト: https://www.instagram.com/todo_bien_coffee/
Date : 2024.10.28