神戸、六甲山へ。90年の歴史あるケーブルカーで山を登る
国際都市・神戸の北にある六甲山。今から150年ほど前に、神戸に住む外国人の手によって開発され、関西屈指の別荘地になった歴史を知っていますか?
現在は展望台や牧場、ミュージアムなど遊べる施設がたくさんありますが、実は山上まで行くケーブルカー(六甲ケーブル)(Rokko Cable Car)も見どころ満載です。
六甲ケーブルの歴史を振り返りながら、乗車方法や山上での見どころを紹介します。
外国人によって開かれた六甲山
初代ケーブルカー
六甲ケーブルが誕生したのは、1932年のことです。1920年代~30年代は、ドライブウェイやロープウェイなど六甲山の交通網が本格的に整備されてきた時代。それにともないリゾートホテルや観光地も多く誕生しました。
自然と遊びがのどかに調和しているのが、現在にもつながる六甲山の文化であり魅力です。しかし、それを最初につくったのは、日本人ではありません。
1895年、神戸に住んでいた日本好きのイギリス人商人、アーサー・ヘスケス・グルームが、まだ登山道も整備されていなかったこの山に山荘を建てたのが始まりでした。
彼をきっかけに六甲山は、神戸に住む外国人たちによって整備され、ゴルフやスキー、アイススケートなどのアクティビティを楽しむ場として発展していったのです。
神戸の街もそうですが、六甲山にも西洋風の建築が多くあります。これは、グルームらのもたらした西洋の文化が、現代にも強く受け継がれている証拠といえそうです。
六甲ケーブルで10分間の小旅行に出かけよう
神戸の街から六甲ケーブルの乗り場(六甲ケーブル下駅)までの行き方、料金、乗車方法を紹介します。
六甲ケーブル下駅へ行くには市街地からバス(神戸市バス16系統)を利用するのが便利です。阪神御影駅、JR六甲道駅、阪急六甲駅、この3つの駅から乗ることができます。
神戸の中心地に近いJR三ノ宮駅からだと、JR六甲道駅までは快速でたった5分。その後、JR六甲道駅からバスに乗車して20分ほどであっという間に到着します。
六甲ケーブル下駅はバスの終点で、山小屋のような大きな三角屋根が目印です。
六甲ケーブルの運賃は大人600円(往復1100円)、子ども(6歳以上12歳未満)300円(往復550円)。
乗客は登山客や観光客だけではありません。山上の小学校へ通う子どもたちの姿もあり、生活の足でもあります。
六甲ケーブル下駅から六甲山上駅までの約1.7キロを約10分間で走ります。
クラシックタイプ
レトロタイプ
ケーブルカーは2両編成です。「クラシックタイプ」と「レトロタイプ」の2つのデザインがあり、どちらもおもちゃのように可愛らしい。
どちらも1つの車両の片側は窓のないオープンスタイル。山ならではの清々しい風を感じたい人は、乗る車両にもこだわってみてはいかがでしょう?
実際に乗車してみると、六甲山の急こう配に驚かされます。493.3メートルの高低差をものともせず、小さな車輛がぐいぐい登っていくのが面白いです。
たった10分の乗車時間ですが、左右を山の緑に覆われる道中は小旅行気分を盛り上げてくれます。
六甲山上駅の内観
六甲山上駅は、駅自体が観光スポットといえるほど、レトロな建築が魅力的。開業当時から変わらない建築は、2007年に近代化産業遺産に認定されました。屋上に上ると、そこは神戸の街を見渡す展望台。
六甲山上駅からは、ROKKO森の音ミュージアムや六甲高山植物園、その他の観光地を巡るバスが発着しています。
以下の記事で、ROKKO森の音ミュージアムや六甲高山植物園の詳しい紹介をしています。
神戸から30分。自然を感じるミュージアムや植物園で午後のひとときを過ごす。
https://www.hyogo-tourism.jp/world/ja/note/16
六甲山上は絶景とアートの宝庫
六甲山上駅からバスで10分の六甲ガーデンテラス(Rokko GARDEN TERRACE)は、絶景とアートが調和するスポット。
4つの眺望スポット、3つのレストラン、2つのショップがあります。
▲六甲山のはちみつで作られたビール
ショップのひとつ「六甲おみやげ館(Rokko Souvenir Shop )」には、六甲山ならではのおみやげが揃っています。なかでも六甲山の自然の中で育ったミツバチの採取したはちみつ を使ったビールやお菓子は人気の商品です。
ここからは、大阪から神戸までの街と海が一望できます。とくに夕方から夜景に移り変わるひとときは、感動的な美しさです。
▲自然体感展望台 六甲枝垂れ
エリアの中央には、六甲ガーデンテラスを象徴するアートスポットの自然体感展望台 六甲枝垂れがあります。建築家の三分一博志(さんぶいち ひろし)氏が設計しました。三分一博志氏が手がけた代表的な建築物には、瀬戸内海に浮かぶ犬島にある「犬島精錬所美術館」や、岡山県の「直島の家プロジェクト」などがあります。これらの建築物は、地域の自然環境を取り入れた独創的な設計で知られています。
▲佐川好弘(さがわ たかひろ)《あっというまスライダー》。スライダーに書かれている漢字は“人生(Life)”という意味
アートイベントのシダレミュージアムもこの場所で開催されます。見て、聴いて、触って誰もが楽しめるボーダレスなアート作品が展示されるので、海外から訪れるみなさまも、きっと夢中になれるはずです。
六甲ガーデンテラスから10分程歩いたところに六甲山頂駅があり、そこから発着している六甲有馬ロープウェーに乗れば、たった12分で歴史ある日本を代表する温泉地、有馬温泉に行くこともできます。
神戸の街に宿泊して、1日目は六甲山観光、2日目は有馬温泉へとホッピングするのも旅のアイデアです。
スポット紹介>
六甲ケーブル(六甲ケーブル下駅)
住所:〒657-0001 兵庫県神戸市灘区高羽字西山8-2(六甲ケーブル下駅)(Google map)
営業時間:7:10~21:10(毎時20分間隔)
定休日:なし ※悪天候により急遽運行を休止する場合があります。当日の営業情報はこちらのページ(英語)をご確認下さい。
サイト: https://www.rokkosan.com/cable/?lang=en(英語)
六甲ガーデンテラス(Rokko GARDEN TERRACE)
住所:〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町五介山1877-9(Google map)
営業時間:10:00~21:00(最終入場受付20:30)※季節・店舗により異なる。
定休日:木曜日 ※季節・店舗により異なる。
※営業時間と定休日について、詳しくはこちらのページ(英語)をご確認下さい。
サイト: https://www.rokkosan.com/gt/?lang=en(英語)
店名参照
https://www.rokkosan.com/top/goods/palaceshop/?lang=en
「六甲山ミツバチ やまみつ」という名称がありますが、英語表記が見当たらないのと、商品名を載せなくても十分伝わると思ったのでこのように書いています。
Date : 2024.10.9