神戸から30分。自然を感じるミュージアムや植物園で午後のひとときを過ごす。

神戸から30分。自然を感じるミュージアムや植物園で午後のひとときを過ごす。

神戸のシンボルとして愛される六甲山。その魅力に心を奪われたのは日本人だけではありません。今から約150年前、ひとりのイギリス人青年が六甲山の豊かな自然に魅了され、その美しさを称賛しました。彼が見つけたユニークで美しいスポットを通じて、六甲山の魅力をぜひ感じてください。

 

 

六甲山について

 

 

六甲山から神戸、大阪方面の景色

 

 

神戸の街の北に連なる六甲山は、市街地からバスでたった30分の場所にある大自然。瀬戸内海国立公園にも含まれています。日本全国を見渡しても、これほど都市に近い国立公園はほかにありません。

 

山上からは、神戸の街を一望できます。とくに夜景は美しく、まるで星をちりばめたような絶景は世界でも有名です。

 

六甲山の魅力は夜だけではありません。ここには、展望台やアートスポット、植物園など、自然を身近に感じながら遊べる施設が豊富にあります。


そんなユニークな山の歴史を、今から約150年ほどさかのぼってみましょう。

 

1868年、一人の青年がイギリスからやって来ました。名前はアーサー・ヘスケス・グルーム。後に貿易で財を成し、「六甲山の開祖」と呼ばれることになる人物です。 

 

そのころの日本は、長く海外との国交を制限してきた江戸時代が終わり、西洋との貿易が盛り上がる過渡期。神戸は外国に開かれた数少ない港町で、グルームのような商人が西洋から多く移り住んでいました。

 

こよなく日本を愛したグルームがとくに気に入っていたのが六甲山です。当時はまだ観光地もなく荒々しいばかりだったこの山に友人たちと別荘地を作り、私財を投じて登山道を整備し、山を開拓していきました。1903年、六甲山に日本最古のゴルフ場「神戸ゴルフ俱楽部(Kobe Golf Club)」をつくったのもグルームとその仲間たちです。このゴルフ場はなんと、120年以上経った今も営業しています。

 

自然と遊びが調和するのどかな六甲山の文化は、この地を愛した西洋人たちによって始まったのです。

 

 

ROKKO森の音ミュージアムで100年前の音を聴く

 

グルームたちの生きた時代の雰囲気を追体験できるのが、ROKKO森の音ミュージアム(Rokko Forest Sound Museum)です。

 

1994年に開館したこの施設は、オルゴールなどの自動演奏楽器を展示・演奏する博物館です。収蔵品は今から100年~150年ほど前に、ヨーロッパやアメリカで活躍していたものが中心になっており、グルームの生きた時代と重なります。

 

建物は、ディスク・オルゴール発祥の地のドイツを意識してデザインされているのだそうです。

 

施設で最も大きい自動演奏オルガン「デカップ・ダンス・オルガン“ケンペナー”」(1938年製、ベルギー)

 

 

 

 

この博物館では「演奏家のいないコンサート」と題して、自動演奏楽器による演奏会を開催しています。

 

登場するのは、世界最大級のダンス・オルガンや、音楽を奏でる自動人形、見た目も音も美しいアンティークのオルゴールなどなど。複雑で豊かな音色に魅了されるでしょう。

 

 

一部、展示されているオルゴールはQRコードを読み取ることで、自分のスマートフォンで実際の音を聴くことができます。

 

ミュージアムの敷地内にある巣箱型オルゴール

 

風が吹くと風鈴*が涼しげな音を奏でます*

 

 

約300種類の季節の草花が植えられたSIKIガーデンも見どころ。あちこちに巣箱型オルゴールや、自然の音を楽しめる仕掛けがあり、まるでファンタジーの世界に迷い込んだような気持ちになります。

 

カフェでは定番のドリンクメニューの他に季節限定のドリンクメニューも用意されています。これは夏に期間限定販売されていたブルーレモネード。

 

 

SIKIガーデンを望む森のCaféは、レトロなインテリアがまるで映画のセットのよう。テラス席はガーデンを眺めるベストロケーションです。

兵庫の食材を使ったお料理のほか、スイーツやドリンクもあります。

 

 

SIKIドーム(360度透明のドーム型テント)を貸し切り、ピクニック気分でランチも楽しめる

 

 

ゆったりと時間が流れるこの場所は、まるで六甲山の秘密の花園。晴れた日はもちろん、雨の日も幻想的な雰囲気が素敵ですよ。

 

六甲山上だけでなく神戸市内には様々なテーマのミュージアムがあります。

『神戸の魅力を探る: 多様なテーマで楽しむミュージアムガイド』

https://www.hyogo-tourism.jp/world/ja/feature/13

 

*風鈴....日本の伝統的な夏の装飾品のことで、ガラスや金属で作られています。風が吹くと心地よい音を立て、夏に吊るして涼しさを感じさせるとともに、その季節の象徴として大切にされています。

 

*風鈴の展示は夏の限定展示となっており、季節ごとに異なる展示が楽しめます。

 

 

六甲高山植物園でめずらしい草花と出会う

 

 

 

六甲高山植物園はROKKO森の音ミュージアムの隣にあります。

 

 

開園は1933年、「日本の植物学の父」といわれる植物学者の牧野富太郎博士によってつくられました。日本で最も長い歴史を持つ高山植物園です。

 

標高865メートル、1年の平均気温が9度という山上の気候を利用して、世界各国の高山植物や寒冷地の植物、六甲山に自生する野草など約1,500種類が栽培されています。

 

 

フシグロセンノウ(8月)

 

ミソハギ(8月)

 

 

ROKKO森の音ミュージアムでは整備されたガーデンを見ることができますが、ここで楽しめるのは野生に近い状態で栽培されている植物の姿。

約5万平米の園内には、六甲山周辺にあった湿地を再現したエリアや、背の高い木々を集めて植えたエリアなど、それぞれの植物にあった自然環境が再現されています。

 

 

とくに、高山植物を栽培しているロックガーデンは非常にユニークなエリア。

なぜなら、標高865メートルの六甲山で、標高1,500~3,000メートル地点に咲く花を見ることができるのですから。

 

アルプスを代表する花のエーデルワイスや、日本の高山植物の女王と呼ばれるコマクサもロックガーデンで見られます。(開花時期は5~6月)

 

 

植物園の東入口横にあるカフェ、エーデルワイスは緑に囲まれて心地よい時間を過ごすには最適の場所です。

山小屋風の店内には、昔の六甲山の写真や、レトロなポスター、植物に関する本が並んでいます。

 

 

 

こんなふうに街の近くで、大自然を感じられる場所があるのが六甲山のいいところ。登山は苦手という人もここなら気軽にケーブルカーやロープウェイを利用して、訪れることができます。

 

ROKKO森の音ミュージアムと六甲高山植物園は共通チケットで巡ることができるので、チケット購入の際にチェックしてみてくださいね。共通チケットは各施設のチケット売り場で購入できます。詳細はこちらからご確認ください。

 

>リンク

神戸、六甲山へ。90年の歴史あるケーブルカーで山を登る

 

スポット紹介>

ROKKO森の音ミュージアム(Rokko Forest Sound Museum)

住所:〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町北六甲4512−145(Google map

営業時間:10:00~17:00 (最終入館16:30)

定休日:毎週木曜日、12月31日、1月1日  ※祝日など一部期間は木曜日も営業する場合があります

サイト: https://www.rokkosan.com/museum/?lang=en(英語)

 

六甲高山植物園(Rokko Alpine Botanical Garden)

住所:〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町北六甲4512−150(Google map

開園期間:例年3月中旬~11月下旬 ※詳しくはWEBサイトを参照

営業時間:10:00~17:00 (最終入園16:30)※イベント開催時は延長の場合があります

定休日:あり。詳しくはWEBサイトを参照。

サイト: https://www.rokkosan.com/hana/?lang=en(英語)

 

グルームに関する記述は以下のサイトを参考にしています。

https://rokkosan.center/history

https://kobegc.or.jp/history/

神戸のシンボルとして愛される六甲山。その魅力に心を奪われたのは日本人だけではありません。今から約150年前、ひとりのイギリス人青年が六甲山の豊かな自然に魅了され、その美しさを称賛しました。彼が見つけたユニークで美しいスポットを通じて、六甲山の魅力をぜひ感じてください。

 

>見出し1

六甲山について

 

 

▲六甲山から神戸、大阪方面の景色

 

神戸の街の北に連なる六甲山は、市街地からバスでたった30分の場所にある大自然。瀬戸内海国立公園にも含まれています。日本全国を見渡しても、これほど都市に近い国立公園はほかにありません。

 

山上からは、神戸の街を一望できます。とくに夜景は美しく、まるで星をちりばめたような絶景は世界でも有名です。

 

六甲山の魅力は夜だけではありません。ここには、展望台やアートスポット、植物園など、自然を身近に感じながら遊べる施設が豊富にあります。


そんなユニークな山の歴史を、今から約150年ほどさかのぼってみましょう。

 

1868年、一人の青年がイギリスからやって来ました。名前はアーサー・ヘスケス・グルーム。後に貿易で財を成し、「六甲山の開祖」と呼ばれることになる人物です。 

 

そのころの日本は、長く海外との国交を制限してきた江戸時代が終わり、西洋との貿易が盛り上がる過渡期。神戸は外国に開かれた数少ない港町で、グルームのような商人が西洋から多く移り住んでいました。

 

こよなく日本を愛したグルームがとくに気に入っていたのが六甲山です。当時はまだ観光地もなく荒々しいばかりだったこの山に友人たちと別荘地を作り、私財を投じて登山道を整備し、山を開拓していきました。1903年、六甲山に日本最古のゴルフ場「神戸ゴルフ俱楽部(Kobe Golf Club)」をつくったのもグルームとその仲間たちです。このゴルフ場はなんと、120年以上経った今も営業しています。

 

自然と遊びが調和するのどかな六甲山の文化は、この地を愛した西洋人たちによって始まったのです。

 

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ROKKO森の音ミュージアムで100年前の音を聴く

 

グルームたちの生きた時代の雰囲気を追体験できるのが、ROKKO森の音ミュージアム(Rokko Forest Sound Museum)です。

 

1994年に開館したこの施設は、オルゴールなどの自動演奏楽器を展示・演奏する博物館です。収蔵品は今から100年~150年ほど前に、ヨーロッパやアメリカで活躍していたものが中心になっており、グルームの生きた時代と重なります。

 

建物は、ディスク・オルゴール発祥の地のドイツを意識してデザインされているのだそうです。

 

▲施設で最も大きい自動演奏オルガン「デカップ・ダンス・オルガン“ケンペナー”」(1938年製、ベルギー)

 

 

この博物館では「演奏家のいないコンサート」と題して、自動演奏楽器による演奏会を開催しています。

 

登場するのは、世界最大級のダンス・オルガンや、音楽を奏でる自動人形、見た目も音も美しいアンティークのオルゴールなどなど。複雑で豊かな音色に魅了されるでしょう。

 

一部、展示されているオルゴールはQRコードを読み取ることで、自分のスマートフォンで実際の音を聴くことができます。

 

▲ミュージアムの敷地内にある巣箱型オルゴール

 

▲風が吹くと風鈴*が涼しげな音を奏でます*

 

約300種類の季節の草花が植えられたSIKIガーデンも見どころ。あちこちに巣箱型オルゴールや、自然の音を楽しめる仕掛けがあり、まるでファンタジーの世界に迷い込んだような気持ちになります。

 

▲カフェでは定番のドリンクメニューの他に季節限定のドリンクメニューも用意されています。これは夏に期間限定販売されていたブルーレモネード。

 

SIKIガーデンを望む森のCaféは、レトロなインテリアがまるで映画のセットのよう。テラス席はガーデンを眺めるベストロケーションです。

兵庫の食材を使ったお料理のほか、スイーツやドリンクもあります。

 

 

▲SIKIドーム(360度透明のドーム型テント)を貸し切り、ピクニック気分でランチも楽しめる

 

緑いっぱいの洋館で、オルゴールを見て、聴いて、美しいガーデンを散策して...。ゆったりと時間が流れるこの場所は、まるで六甲山の秘密の花園。晴れた日はもちろん、雨の日も幻想的な雰囲気が素敵ですよ。

 

六甲山上だけでなく神戸市内には様々なテーマのミュージアムがあります。

>リンク

Future記事(神戸の魅力を探る: 多様なテーマで楽しむミュージアムガイド)

 

*風鈴....日本の伝統的な夏の装飾品のことで、ガラスや金属で作られています。風が吹くと心地よい音を立て、夏に吊るして涼しさを感じさせるとともに、その季節の象徴として大切にされています。

*風鈴の展示は夏の限定展示となっており、季節ごとに異なる展示が楽しめます。

 

 

六甲高山植物園でめずらしい草花と出会う

六甲高山植物園はROKKO森の音ミュージアムの隣にあります。

 

開園は1933年、「日本の植物学の父」といわれる植物学者の牧野富太郎博士が何度も来園し、つくられました。日本で最も長い歴史を持つ高山植物園です。

 

標高865メートル、1年の平均気温が9度という山上の気候を利用して、世界各国の高山植物や寒冷地の植物、六甲山に自生する野草など約1,500種類が栽培されています。

▲フシグロセンノウ(Japanese Catchfly)(8月)

▲ミソハギ(Purple Loosestrife)(8月)

 

ROKKO森の音ミュージアムでは整備されたガーデンを見ることができますが、ここで楽しめるのは野生に近い状態で栽培されている植物の姿。

約5万平米の園内には、六甲山周辺にあった湿地を再現したエリアや、背の高い木々を集めて植えたエリアなど、それぞれの植物にあった自然環境が再現されています。

 

とくに、高山植物を栽培しているロックガーデンは非常にユニークなエリア。

なぜなら、標高865メートルの六甲山で、標高1,500~3,000メートル地点に咲く花を見ることができるのですから。

 

アルプスを代表する花のエーデルワイスや、日本の高山植物の女王と呼ばれるコマクサ(Dicentra peregrina)もロックガーデンで見られます。(開花時期は5~6月)

 

植物園の東入口横にあるカフェ、エーデルワイスは緑に囲まれて心地よい時間を過ごすには最適の場所です。

山小屋風の店内には、昔の六甲山の写真や、レトロなポスター、植物に関する本が並んでいます。

 

 

こんなふうに街の近くで、大自然を感じられる場所があるのが六甲山のいいところ。登山は苦手という人もここなら気軽にケーブルカーやロープウェイを利用して、訪れることができます。

 

ROKKO森の音ミュージアムと六甲高山植物園は共通チケットで巡ることができるので、チケット購入の際にチェックしてみてくださいね。共通チケットは各施設のチケット売り場で購入できます。詳細はこちらからご確認ください。

 

>リンク

神戸、六甲山へ。90年の歴史あるケーブルカーで山を登る

 

 

 

ROKKO森の音ミュージアム(Rokko Forest Sound Museum)

住所:〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町北六甲4512−145(Google map

営業時間:10:00~17:00 (最終入館16:30)

定休日:毎週木曜日、12月31日、1月1日  ※祝日など一部期間は木曜日も営業する場合があります

サイト: https://www.rokkosan.com/museum/?lang=en(英語)

 

六甲高山植物園(Rokko Alpine Botanical Garden)

住所:〒657-0101 兵庫県神戸市灘区六甲山町北六甲4512−150(Google map

開園期間:例年3月中旬~11月下旬 ※詳しくはWEBサイトを参照

営業時間:10:00~17:00 (最終入園16:30)※イベント開催時は延長の場合があります

定休日:あり。詳しくはWEBサイトを参照。

サイト: https://www.rokkosan.com/hana/?lang=en(英語)

 

グルームに関する記述は以下のサイトを参考にしています。

https://rokkosan.center/history

https://kobegc.or.jp/history/