漫画の神様・テヅカ オサム が育った街、タカラヅカを訪ねる

漫画の神様・テヅカ オサム が育った街、タカラヅカを訪ねる

日本のポップカルチャーを代表する漫画。そのパイオニアが誰なのか知っていますか?テヅカ オサムという名前を聞いたことがありますか? 彼は『鉄腕アトム』や『ブラック・ジャック』などの作品を通じて、日本のみならず海外でも広く認知されています。800年以上の歴史を持つ温泉街としても知られている、ヒョウゴ県タカラヅカには、テヅカ オサムについて知ることができる施設があります彼がどのように漫画家になったのか、どんなインスピレーションを受けて作品が誕生したのかなど、日本の漫画の原点を知る旅に出かけましょう。

 

テヅカ オサムが愛した街、タカラヅカ

 

宝塚の街を流れるムコ川

 

テヅカ オサムは1946年に18歳で漫画家デビューし、60歳でこの世を去るまでに手がけた作品はなんと700作品以上!描いた原稿は15万枚にもおよぶといわれています。

 

「自然への愛」や「生命の尊さ」をテーマに、子どもたちや青少年に向けて描かれた作品は、時代が変わっても色あせることのない魅力にあふれています。

 

そんな彼が5歳から24歳まで暮らした街がタカラヅカです。

 

タカラヅカは神戸と大阪のちょうど真ん中あたりに位置します。川沿いに温泉地やホテル、劇場などが立ち並ぶ華やかな街として開発されましたが、テヅカ オサムが少年時代を過ごした1930年代は街の中心地以外は山や林が広がっていました。

 

昆虫学者を夢見るほど昆虫好きだった少年時代の手塚治虫は、宝塚の自然から命の儚さや美しさを学んだのでしょう。

 

テヅカ オサム漫画ミュージアムでマンガの世界に没入!

 

人気作品『リボンの騎士』のキャラクターが出迎えるロビー

 

  

テヅカ オサム漫画ミュージアムではテヅカ作品に登場する可愛いキャラクターがあちこちにデザインされ、作品の世界観に没入することができます。

 

テヅカ オサム作品がほぼすべて揃うライブラリーには、日本語だけでなく、多言語に翻訳された外国語版や点字書籍も用意されています。なので、海外から訪れる皆様にも楽しんでいただける内容となっています。

 

フランス語版『ブラック・ジャック』

 

実はテヅカ オサムは漫画家であり、医師でもありました。『ブラック・ジャック』は、医師としての知識や経験、命に対する哲学が込められた名作です。

 

記念館ではオリジナルアニメーションを月替わりで上映しています。(英語字幕あり)

 

アニメ制作のスタジオ風の体験コーナー

 

2コマの絵をアニメーションにしてくれる

 

アニメーションのつくり方を体験できるコーナーもあり、用意された下絵をなぞってアニメの原画を描くこともできます。実際にやってみると線をなぞるだけでも絵が得意ではない方には難しいかもしれません。 

 

 

この体験をした後に展示されている原稿を見てみると、テヅカ オサムの神業のような画力がよくわかります。

 

展示は英語の解説も多く、漫画を読んだことがない人でも楽しめる仕掛けがたくさんあるので、帰るころにはすっかり漫画ファンになっているかもしれませんよ。

 

 

テヅカ オサムも歩いた花のみちを散策

 

 

タカラヅカの桜の名所として知られる花のみちは、タカラヅカ駅からテヅカ オサム漫画ミュージアム前までつづく約400メートルの遊歩道。春には並木道が桜のアーチのようになるのだそうです。

 

https://kanko-takarazuka.jp/english/access/

 

タカラヅカは兵庫県の南東部に位置し、大阪や神戸から電車で約30分とアクセスが良好です。豊かな自然に囲まれ、歴史ある温泉街として知られる一方、タカラヅカ歌劇団の本拠地としても有名です。都会の喧騒から離れた場所で、観光や文化体験が充実しています。

 

『リボンの騎士』の主人公サファイア。女の子の体に男の子の心を持つお姫様

 

足元をよく見ると、テヅカ作品の鉄腕アトムやブラック・ジャック、ジャングル大帝などの人気キャラクターが描かれたタイルが埋め込まれています。

 

ここにはタカラヅカ歌劇団の専用劇場もあります。タカラヅカ歌劇団は100年以上の歴史ある劇団で、男性役も女性が演じるのが特徴です。まるで漫画やアニメの世界を具現化したような麗しい宇宙が、世代を超えて愛されています。

 

歌劇ファンだった母に連れられ、少年時代から手塚治虫も劇場に通ったそうです。日本初の長編少女漫画といわれる『リボンの騎士』の主人公は、タカラヅカ歌劇団のスターをモデルにしたといわれているんですよ。

 

 

テヅカ オサムの足跡を訪ねてタカラヅカ温泉、イワシヅ神社へ

 

ホテル ワカミズの露天風呂

 

ホテル ワカミズのロビーから見える景色

 

タカラヅカにはほかにも、テヅカ オサムゆかりの場所があります。

 

タカラヅカ温泉のホテル ワカミズもそのひとつ。

 

ワカミズは景色の良い川沿いに建つ、優雅な雰囲気のホテルです。かつて漫画家仲間を何名も連れて手塚治虫が宿泊したことがあるそうで、宿泊の記念に描かれたイラストが残されています。

 

 

イラストをプレゼントするときには人気キャラクターを描くことが多かったテヅカ オサムですが、このホテルで見られるのは温泉を楽しむ美しい女性の絵。

温泉の心地よさが普段とは違う絵を描かせたのかもしれません。

 

ほかの漫画家たちの絵とともに、2階のパブリックスペースに展示されています。ホテルの利用者であれば、誰でも見ることができます。

 

タカラヅカの歴史ある神社、イワシヅ神社にも、テヅカ オサムの足跡が残されています。

 

伝統的で神聖な雰囲気の神社に、人気キャラクター、ブラック・ジャックを描いた絵馬*がずらりと飾られていて驚かされます。

 

* 絵馬...願い事を書いて神様へ奉納する板

 

これはコロナ禍に天才医師のブラック・ジャックにあやかってつくられたもので、健康や医療への祈りや願いの言葉が記されています。

 

神社にはテヅカ オサムが奉納したイラストも大切に保管されています。

 

代表作『鉄腕アトム』の主人公、アトムが和太鼓を叩いているめずらしいイラストです。毎年秋祭りに限り、一般公開されています。

 

この神社だけの御朱印*。アトム達が和太鼓などをたたき、雅楽*を奏でている様子の御朱印帳も授与されている。

この神社ではほかにも、テヅカ オサム作品のキャラクターが描かれた御朱印も授与されています。

 

* 雅楽...日本の古代から伝わる伝統的な音楽で、主に神社や宮廷の儀式で演奏されます。笛や太鼓などの楽器を使い、荘厳で落ち着いた音楽が特徴です。

 

* 御朱印/御朱印帳...御朱印は、神社や寺院を参拝した証としていただく印章で、参拝の証として紙や帳面に押印されます。御朱印帳は、複数の御朱印を集めるための専用の帳面で、旅行や参拝の思い出を記録するのに使います。

 

 

漫画をきっかけにタカラヅカの魅力を知る

 

テヅカ オサム漫画ミュージアムにあるテヅカ オサムのゆかりの場所が描かれた地図

 

今回紹介したのは、テヅカ オサムの愛したタカラヅカの魅力のごくごく一部です。

 

彼は後に故郷を振り返り「宝塚は僕の漫画のすべてが詰まっている街」と語っています。それほどまでに、タカラヅカの自然や文化は彼の感性や作品に大きな影響を与えたのです。

 

テヅカ オサム漫画ミュージアムには、少年時代のエピソードとともにゆかりの場所が地図で展示されていますので、タカラヅカ散策の参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

宝塚市立手塚治虫記念館(The Osamu Tezuka Manga Museum)

住所:〒665-0844 兵庫県宝塚市武庫川町7-65(Google map

営業時間:9:30~17:00(最終入館 16:30)

定休日:毎週月曜日 ※詳しくはWEBサイトの開館日カレンダーを参照

サイト: https://www.city.takarazuka.hyogo.jp.e.pc.hp.transer.com/tezuka/(英語)

 

 

宝塚温泉 ホテル若水(Takarazuka-Onsen Hotel Wakamizu)

住所:〒665-0003 兵庫県宝塚市湯本町9-25(Google map

サイト: https://www.h-wakamizu.com/lg_en/

 

 

伊和志津神社

住所:〒665-0033 兵庫県宝塚市伊孑志1-4-3(Google map

サイト: https://iwashidu-jinja.jp/(日本語のみ※翻訳機能を各自使用してください。)