クラフトの息づく城下町、丹波篠山で過ごす穏やかな時間

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クラフトの息づく城下町、丹波篠山で過ごす穏やかな時間

京都や大阪、神戸から車でたった1時間、電車で約2時間ちょっとの場所に、2つの日本遺産を持つ城下町、丹波篠山があるのを知っていますか?

歴史と伝統的なクラフトが息づく丹波篠山の魅力と、旅をいっそう豊かなものにしてくれるとっておきの宿泊施設を紹介します。

 

※画像は 河原町妻入商家群にある1日2組の宿「oito」

 

2つの日本遺産がある丹波篠山

 

丹波篠山は、古くから城下町や宿場町として栄えた歴史ある街です。四方を山々に囲まれ、自然豊かなことから丹波篠山黒豆や丹波栗など、丹波ブランドの美味しい農作物にも恵まれています。

 

文化庁が認定する日本各地の魅力的な文化・伝統を語るストーリー「日本遺産*(Japan Heritage)」にも2件認定されています。

 

 

 

ひとつ目は「丹波篠山デカンショ節 民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶(Tamba-Sasayama: Dekansho Bushi~ Memories in a folk song ~)」。デカンショ節とは江戸時代から歌い継がれるこの地方の民謡のことで、時代ごとに地域への愛着や風物が歌われてきました。毎年8月にはデカンショ節に合わせて手拍子で踊るデカンショ祭が開催され、ひと目見ようと遠方からも観光客がやってきます。

 

ふたつ目の「きっと恋する六古窯 日本産まれ日本育ちのやきもの産地(Six Ancient Kilns

~ Ceramics Born and Raised in Japan ~)」。六古窯*とは中世から現在まで生産が続く6つの代表的な陶芸の産地のことで、丹波篠山の丹波焼がそのひとつです。

 

▲民芸の店「あめや」には丹波焼の焼き物が所狭しと並んでいます

 

街を散策していると、丹波焼の陶器を扱うお店も多く見かけます。

 

気に入った焼き物を見つけたら、窯元の名前を聞いてみましょう。丹波焼の里は城下町エリアから車で約20分なので、訪ねてみるのも楽しそう!

 

丹波焼について詳しくは「日本六古窯「丹波焼の里」今田町立杭エリア散策」で紹介しています。

 

*日本遺産....文化庁が認定した、地域の歴史的魅力や特色を通じて日本の文化・伝統を語るストーリーである。各地域の魅力溢れる有形・無形の文化財群を、地域が主体となって整備活用し、国内外へ発信することで地域活性化を図ることを目的とした、日本の文化遺産保護制度の一つ。

 

*日本六古窯……越前焼・瀬戸焼・常滑焼・信楽焼・丹波焼・備前焼の総称。

 

 

 

 

篠山城から商人の町へ。歴史と文化を楽しむ城下町を散策

 

 

▲篠山城跡

 

城下町エリアの中心には、1609年に徳川家康*の命によって築城された篠山城跡があります。政治の中心施設として大書院がつくられましたが1944年に火災により焼失。現在あるのは2000年に復元再建された建物です。

 

 

大書院の中には、戦国武将の甲冑が飾られていますが、実はこれは丹波篠山に住む甲冑作家が手作りしたもの! 緻密に作られた甲冑を間近に見たり、着用することもできます。

 

 

▲好きな器を選んで茶道体験できます

 

 

▲庭にはひときわ美しい音を鳴らす水琴窟があり、隠れた見どころです!

 

篠山城西側のお堀の近くには、茅葺きの屋敷の武家屋敷が残る御徒士町武家屋敷群があります。当時の下級武士の暮らしがうかがえる安間家史料館は天保元年(1830年)以降に建てられた建物。かつて住んでいた人々が使った日用品や家具、人形などが展示されているほか、着物体験や茶道体験を楽しむことができます。

 

 

▲白壁、瓦屋根の立派な建物が軒を連ねている

 

篠山城跡の東側にある河原町通りは、かつて商家だった立派な建築が立ち並んでいます。今はホテルやカフェ、雑貨店などに使われていることが多く、そぞろ歩きが楽しいエリアです。

 

*徳川家康....徳川家康(1543-1616)は、江戸幕府(1603‐1868)を開き、日本を統一した武将・政治家です。戦国時代の終結を導き、長期の平和「江戸時代」をもたらしました。

 

丹波篠山で暮らすような旅ができる、ユニークな宿泊施設たち

昔ながらの街並みを今に残す丹波篠山には、古民家やもともと別の用途で使われていた建物を活用したユニークな宿泊施設がたくさんあります! 今回はその中から二軒をフィーチャーして紹介します。

 

・篠山城下町ホテル NIPPONIA

 

 

▲Nipponia丹波篠山の一棟貸し客室

 

Nipponiaは歴史的価値のある古民家を改装したラグジュアリーホテルブランドで、2015年に丹波篠山に初めて誕生しました。町全体をホテルに見立て、一棟貸の客室が街中に点在しています。

 

日本旅行に慣れた旅行者や一風変わった体験を求める旅行者には、まるで別荘を借りるようなNipponiaの宿泊スタイルが人気です。

 

築100年を超える元銀行経営者の旧邸宅がフロント・レストラン棟です。チェックインの手続きをしたら、あとは自分の家に帰るように古民家ステイを楽しみましょう。

 

 

内装や水回りなど過ごしやすいようにリフォームされていますが、修繕しすぎず古民家の歴史を感じられるように天井の煤汚れや古いガラス窓はそのままにするなど、バランスの取り方がさすがです! 昔の日本人の身長に合わせた低い天井も面白いのではないでしょうか?

 

海外の旅行者が不便なく過ごせるよう、Nipponiaでは109言語対応の翻訳ツールを導入しています。ホテルスタッフと自動翻訳でやり取りできるほか、自分のスマホの言語設定で施設情報を読むことができます。

 

 

▲Nipponiaのレストランのメニュー一例。ディナーは丹波篠山の食材をたっぷり使ったフレンチ

 

特別な丹波篠山を楽しむなら、オプショナルツアーをチェックしてみましょう。要望に合わせて完全オリジナルのルートを提案してくれるサイクリングツアーや、特別にデカンショ祭に参加できるプランなど、季節に合わせたツアーが登場します。

 

・L'hôtel de Mai

 

 

▲全国各地からセレクトした食器や湯のみが用意されている

 

L'hôtel de Maiは銀行として使われていた木造二階建の建物をリノベーションしたホテルです。客室はたった1室、1日1組限定です。

1フロアを丸ごと使った贅沢な客室は、丹波篠山ゆかりのアーティストによる作品が飾られ、滞在するだけでセンスが磨かれていくような上質な雰囲気をまとっています。

 

なによりこのホテルが特別なのは、1日1組のお客様のためにホテルが最大限のサポートをしてくれること。

 

海外の旅行者にとって日本旅行には言語の壁がつきものです。タクシーやレストランの予約はもちろんのこと、おすすめのカフェやショップ、観光プランの相談まで、滞在がより良いものになるように助けてくれます。

 

 

▲ひと月ごとにおすすめのプレイリストを客室に用意してくれる

 

L'hôtel de Maiを選ぶ旅行者にはアートやクラフトに強い関心を持っている人も多く、そのため、時には地元の職人やアーティストを紹介するなど、人と人のご縁をつなぐ手助けをすることも。

 

 

▲和紙作家ハタノワタル氏による柿渋*・炭染*の装飾。太陽の角度によって見え方が変わる。チェックインには作品がもっとも美しく見える時間帯を伝えるのだそうです

 

丹波篠山の人、街、文化の魅力を熟知しているからこそできるスペシャルなおもてなしにリピーターが続出しているようです。

 

その他にも丹波篠山市内には個性あふれる宿泊施設が点在しているので、城下町を巡りながら是非探索してみてください。

 

*柿渋染め....まだ青いうちに収穫した渋柿の未熟果を搾汁し発酵熟成させたもの。 日本では古くから、この柿渋を塗料や染料などに使用してきた。

 

 

*炭染....木炭を染料にした、手染による染め物

 

毎日、新しい発見がある。丹波篠山はロングステイが似合う町

 

ユニークで美しいホテルが多く、どこに泊まろうか迷ってしまいそうですが、聞くところによると旅行者の中には、毎日泊まる宿を変えてロングステイを楽しむ人もいるのだそうです。泊まる場所が変われば街の見え方も過ごし方も変わります。様々な楽しみ方ができる丹波篠山なら、一週間でも短く感じるかもしれません!

 

Oito

住所:〒669-2325 兵庫県丹波篠山市河原町186(Google map

サイト:https://oito-henko.com/en/

 

あやめ

住所:〒669-2325 兵庫県丹波篠山市河原町116−1(Google map

サイト:なし

 

篠山城跡

住所:〒669-2332 兵庫県丹波篠山市北新町2(Google map)

営業時間:

5月~10月 8:30~20:00

11月~4月 8:30~19:00

定休日:

大書院:毎週月曜日(祝祭日は開館、翌日休館) 年末年始(12月25日~翌年1月1日)

※天守台・本丸・二の丸は上記時間散策自由

サイト:英語なし

 

武家屋敷安間家史料館

住所:〒669-2334 兵庫県丹波篠山市西新町95(Google map

営業時間:9:00~16:30

定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

サイト:英語なし

 

篠山城下町ホテル NIPPONIA

住所:〒669-2342 兵庫県丹波篠山市西町25 ONAE棟(Google map

サイト:英語なし

 

L'hôtel de Mai

住所:〒669-2323 兵庫県丹波篠山市立町40(Google map

サイト:なし