《旅のポイント》
✔ 篠山城跡 大書院などで町の歴史に触れる
✔ 無電柱化で散策しやすい町に
✔ 丹波の恵みを堪能する
おもてなしの心で誰もが快適に過ごせる町へ
丹波篠山市ユニバーサルツーリズム推進協議会
山中 信彦 会長
(一般社団法人みずほの家常務理事)
のどかな里山の風景が広がる丹波篠山は、家康の命によって築かれた篠山城の城下町。今も界隈には江戸時代の面影を伝える商家群や武家屋敷など、歴史と伝統に彩られたスポットが数多く残る。
「丹波篠山は“兵庫の小京都”と呼ばれ、歴史と文化が今も息づき、黒豆や猪肉など自然が育んだ名物もたくさん楽しめるところです。訪れる人にはこの地域ならではの自然や歴史、文化を丸ごと味わってもらいたいですね」。そう話すのは、丹波篠山のユニバーサルツーリズムの指揮を取る山中信彦会長だ。
丹波篠山はユニバーサルツーリズムのモデル地区として、「観光案内所などのユニバーサル化とおもてなしの心の醸成」に取り組んでいる。今後は、多言語・ピクトグラム化したユニバーサル案内看板の設置や公衆トイレの改修、自動ブレーキ付き車椅子・電動カートの導入などが進められる予定だ。
すでに篠山城跡周辺や国の重要伝統的建造物群保存地区に選定される河原町妻入商家群のエリアは無電柱化が完了。また、広々とした歩きやすい遊歩道や休憩用ベンチも整備するなど、高齢者や障害の有無に関わらず、快適に観光を楽しめる取り組みが地域を挙げて行われている。
「しかし、町全体を見れば古い建物が多いため、段差や勾配のある歩道も多くあります。また、お城や昔ながらの商家といった歴史的・文化的な建物に近代的なスロープを設置するといったバリアフリー化はどうしても困難になります。そういう意味では、古き良き歴史や文化を守るためにはバリアフリー化を最小限に留める必要があります。その上で、どうしてもハード面でクリアできないところは、町の人たちの力をお借りし、思いやりの心でカバーできればと考えています」。
そこで、丹波篠山では独自でおもてなし研修会を実施。地域の人たちを対象に、高齢者や障害のある方をはじめ、介助する方も含めた接遇やホスピタリティを学んだり、車椅子乗車体験会などを開催。
「ちょっとしたお声がけをするだけでもいいし、お店なら多言語表示とか難しいことを考えずに“Welcome”と掲示するだけでもいい。そうやっておもてなしの心を醸成し、一人一人がユニバーサルツーリズムに取り組むことで、点がやがて面になり、地域全体でサポートしていければ。設備はもちろんですが、地域の人たちの力と思いを総動員して、誰が訪れても楽しく快適に過ごせる観光地を目指していきたいです」。
絢爛豪華、丹波篠山のシンボルへ
篠山城跡 大書院
慶長14年(1609)、徳川家康の天下普請により築城。明治に入って城郭の建造物が取り壊されたが、平成12年(2000)に本格木造建築の大書院が復元された。
館内では模型やパネルで篠山城の歴史などを解説するほか、甲冑着付け体験などもあり、戦国武将気分を味わえる。また、桜の名所としても有名で、春は約1,000本の桜が咲き誇る。
絢爛豪華な武家風書院造の御殿。
上段の間には狩野派絵師が描いた屏風絵を障壁画として転用するなど、見どころも満載。部屋をぐるりと囲む広縁を車椅子で回ることができる。
篠山城跡の登城口は道幅も広く、高低差も少ないため車椅子でも利用しやすい。
院内は車椅子の貸し出しもあり。また、二の丸広場の多目的トイレは車椅子利用もでき、おむつ交換の簡易ベッドも備える。
丹波篠山市北新町2-3 079-552-4500 9:00~17:00(受付は16:30まで)
月曜・年末年始休(祝日は開館、翌日休)
入館料=大人400円、高大学生200円、小中学生100円
JR篠山口駅からタクシー約15分
丹波篠山の趣を感じる通りを散策
河原町妻入商家群
かつては篠山城城下町として栄え、約600m続く通りには今も間口が狭く、奥行きの深い造りになった妻入りの商家が並ぶ。
蔵造りやなまこ壁、虫籠窓など、往時の面影を残す建物を見て歩けば、江戸時代へとタイムスリップした気分を味わうことも。
現在は建物を活用したカフェや雑貨店、レストランなどが点在し、にぎわいを感じながらの町歩きが楽しい。
河原町妻入商家群や篠山城跡周辺は、無電柱化を進めて幅の広い歩道を整備。
歩道の段差・傾斜なども改善し、休憩用ベンチも各所に設置するなど、ユニバーサルデザインが取り入れられた広い歩行空間に。
079-552-3380(篠山観光案内所)
散策自由
JR篠山口駅からタクシーで約15分
地元自慢のお土産を一堂に
丹波篠山 大正ロマン館
大正12年(1923)に建築された大正ロマン漂う旧篠山町役場が丹波篠山の観光拠点に。
館内の物販コーナーではお菓子や調味料、丹波焼といったクラフトまで地元の特産品が一堂にそろう。また、カフェレストランでは黒豆や猪肉といった地元食材を使ったメニューが充実。人気の黒豆ソフトクリームを味わいながら小休止にぴったりだ。
入口は正面階段横にスロープが設置され、物販コーナーも商品棚がゆったりと配置されているので車椅子などでの移動もスムーズ。
また、併設の多目的トイレはスペースも広く、介助者が入れる広さを確保。オストメイト対応トイレも完備されている。
丹波篠山市北新町97 079-552-6668 10:00~17:00
火曜休(臨時休館あり) 入館無料
JR篠山口駅からタクシーで約15分
篠山藩主ゆかりの品々を展示
青山歴史村・丹波篠山デカンショ館
篠山藩主・青山家の別邸「桂園舎」を中心とした江戸時代の政治や文化などを体感できる施設。
全国的にも珍しい江戸時代の漢学書関係の版木など、青山家ゆかりの品々を展示する。敷地内にある丹波篠山デカンショ館では、デカンショ節を通して日本遺産に認定された丹波篠山の文化財や見どころなどの情報を発信。
正面入口では見事な茅葺きの長屋門が出迎えてくれる。
この長屋門をはじめ、各建物入口にスロープが設置されているほか、通路や建物内部はフラットな設計かつ視覚障害者誘導用ブロックがある。また、車椅子対応のトイレもあり。
丹波篠山市北新町48 079-552-0056
9:00~17:00(受付は16:30まで) 月曜・年末年始休(祝日は開館、翌日休)
入館料=大人300円、高大学生200円、小中学生100円
JR篠山口駅からタクシーで約15分
丹波篠山周遊におすすめのユニバーサルなお宿
丹波篠山の城下町エリアから車で15~30分圏内に、ゆったりと泊まれる宿が点在。
豊かな自然を眺め、丹波篠山ならではの食をいただき、快適な滞在を。
自然と調和した宿
新たんば荘
自然に囲まれた北欧の田舎ホテルを思わせる公共の宿。
客室は本館に和室や洋室ツイン、別館にはログハウスタイプの洋室などさまざまな部屋タイプを用意し、少人数から団体客まで柔軟に対応。また、猪肉を使った鍋など丹波篠山の味覚を堪能できる料理が好評で、広々とした大浴場も完備。丹波篠山の四季を感じながら、のんびりと過ごして。
駐車場から館内までバリアフリーになり、ロビーや客室もフラットな造りに。
食事会場は手作りのスロープを用意し、畳敷きの座敷ながらテーブルが利用できる。また、きざみ食などにも対応可能だ。館内にはオストメイトや車椅子対応トイレもあり。
お宿のユニバーサルポイント
〇 ダイニングは全て椅子席に
〇 ダイニングにスロープを設置
〇 エントランスにスロープを設置
〇 十分な広さの客室入り口
〇 車椅子対応エレベーターを設置
〇 車椅子対応トイレあり
丹波篠山市郡家451-4
079-552-3111 1泊2食付き(2名1室大人1名あたり)=11,550円~
篠山城下町エリアから車で約10分
楽しみ広がる施設
tanoshic resort西紀荘
丹波の大自然の中にあり、江戸時代からの歴史を有する草山温泉の宿。ホテルまたはグランピングから宿泊スタイルを選べる。
グランピングでは、テントサウナ付きやドッグラン付きなど5棟のキャビンがあり、ニーズにあわせて選べるのもうれしい。バギーやゴルフといったアクティビティ体験も魅力。施設内のバーベキュー場や温泉は日帰り利用も可。
ホテルの客室は洋室ツインルーム。2025年春頃には4名まで宿泊できる洋室も完成予定。
バリアフリーなカフェ「Cafe&Bar草山の森」は猪肉など地元でとれた食材を中心としたメニューを提供。窓からの景色を眺めながらゆったりと過ごせる。
お宿のユニバーサルポイント
〇 駐車場から受付までフラットな動線
〇 バリアフリーなカフェ
〇 温泉施設や宿泊棟への動線もスロープを設置
〇 多目的トイレあり
丹波篠山市遠方122-1
079-592-0045 1泊2食付き(2名1室大人1名あたり)=12,700円~
篠山城下町エリアから車で約25分
観光やビジネスに最適
丹波ささやまホロンピアホテル
丹波篠山唯一のビジネスホテルで、JR篠山口駅から徒歩約5分とアクセス良好。
客室は洋室のシングル・ツインルームがメインだが、家族やグループでくつろげる和室もあり、用途に応じて利用しやすい。
館内やホテル敷地内に居酒屋やファミレスといった飲食店が充実し、グルメのバリエーションも豊富。駐車場も駅近ながら100台と広々。
客室内も車椅子が回転できる十分な広さを確保。浴室は全室手すりを設置。
朝食会場のダイニングはフラットな造りのため、車椅子での移動もスムーズに。1階に広々とした車椅子対応トイレを2024年に新設。
お宿のユニバーサルポイント
〇 十分な広さの客室入り口
〇 ダイニングは全て椅子・ソファ席に
〇 ダイニングは平坦で車椅子などでも食事がスムーズに
〇 車椅子対応トイレを2024年に新設
〇 エレベーターを設置
丹波篠山市中野76-4
079-594-2611 1泊2食付き(2名1室大人1名あたり)=8,500円~
篠山城下町エリアから車で約15分
幅広い世代で楽しめる
ユニトピアささやま
広大な自然に囲まれた森の中のリゾート施設。
矢代湖を中心に、宿泊棟や研修棟、フィールドアスレチックなど多彩な施設が点在。宿泊棟「レイクプラザ」の客室は全て和室。レイクビューのお風呂があり、シンボルツリー・メタセコイアや季節によって変化する周辺の森の景色も見どころ。2025年春にはコテージとオートキャンプ場がオープン。
食事は広々したレストランのほか、希望すれば大人数から少人数まで対応できる和室の個室で楽しむことも。
椅子とテーブル席なのもうれしい。研修棟「フォレストプラザ」には完全バリアフリーの客室を1室完備(一般向け販売はなし、利用は要相談)。
お宿のユニバーサルポイント
〇 エントランスにスロープあり
〇 レストランや個室の食事処は椅子席に
〇 車椅子対応エレベーターあり
〇 キッズスペースあり
〇 きざみ食に細かく対応
〇 完全バリアフリーの客室あり
丹波篠山市矢代231-1
079-552-5227 1泊2食付き(2名1室大人1名あたり)=17,000円~
篠山城下町エリアから車で約15分
~丹波篠山で味わいたい恵み~
ぼたん鍋
丹波篠山が本場といわれる、猪肉を味噌ベースのダシでいただくぼたん鍋。
丹波篠山の夏の風物詩「デカンショ祭り」の歌詞にも使われるほど。豊かな山で育った猪肉と、盆地ならではの寒暖差から生まれる農作物を存分に味わえるぼたん鍋は、冬を中心に提供している。
黒豆料理
お正月のおせち料理で親しまれている黒大豆の中でも大粒種の丹波篠山黒豆。
300年以上も栽培が受け継がれており、「丹波篠山の黒大豆栽培」は日本農業遺産にも認定されている。丹波篠山市内では、黒豆料理や黒豆スイーツなど、さまざまな味わい方ができる。
丹波篠山市のユニバーサルツーリズムについて詳しくは079-552-6907(丹波篠山市商工観光課)