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ひょうごのUNIVERSAL TOURISM

地域ぐるみの取組事例

UNIVERSAL CASE STUDY

【神戸】世界パラ陸上の経験をホスピタリティ向上に活かす

  • 神戸・阪神
  • 神戸

《旅のポイント》

   ✔ ホテルでの細やかなホスピタリティ
   ✔ 公共交通機関を使ったスムーズな移動
   ✔ 充実したユニバーサルな観光スポット

 

 

「神戸2024世界パラ陸上」で、食のサービスの面でも気づきが。  

株式会社Mellow ローカル事業部・事業部長 

川崎 亮也さん

 

2024年5月17日から25日に神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で行われた「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」。

104カ国・地域から約2,000人の選手団が神戸を訪れ、熱戦が繰り広げられた。選手はもちろん多くの観覧客も訪れ、連日約30のキッチンカーが食で応援した。

キッチンカーをとりまとめたMellowのローカル事業部・事業部長の川崎亮也さんは、「神戸らしい食のブースを充実させて選手の皆さまには喜んでいただけたと思います。メニュー表の位置を低くしたり、多言語対応のメニュー表を作ったりと、世界パラ陸上に合う対応をしました。カード決済対応が行き届いておらず、今後の課題も見つかりました」と当時の経験を話す。

 

 

 

 

世界パラ陸上で主要なアクセスとなった神戸市営地下鉄

 

 

駅舎や駅周辺の再整備を行っている神戸市営地下鉄。

可動式ホームドアの設置や、ホームと車両の段差・すき間の縮小などを実施。2024年にリニューアルした三宮駅は、サイン・ピクトグラムを見直し、ユニバーサルデザインに。

ベビーシート、オストメイト対応などの設備を集約した多機能トイレ「こうべ・だれでもトイレ」や、車椅子でも利用しやすいエレベーターを設置。コミュニケーションを支援する4カ国語表記の指差しボードも。

 


 

 

 

神戸のおすすめのユニバーサルなお宿
神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会で多くの選手が滞在したことを機に、より多様性に対応し、おもてなしがグレードアップ

 

 

六甲の山並みを背に市街地を一望

ANAクラウンプラザホテル神戸

新幹線「新神戸駅」に直結し、市街地や観光地までもアクセス抜群なロケーションに位置する37階建ての高層ホテル。

30~32階、37階の高層4フロアに位置したクラブフロアでは、ワンランク上の滞在を提供。

 

 

世界パラ陸上で、おもてなしが進むきっかけに。

ANA クラウンプラザホテル神戸 アシスタントセールスマネージャー
下山 真理子 さん

 

神戸の玄関口に位置し、近年は海外からのゲストが8割を占めるという[ANAクラウンプラザホテル神戸]。「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」では、2週間で約470人の選手・関係者の宿泊に対応した。

「神戸での開催が決定してから、毎月会議を重ねて準備をしました。構造上バリアフリーにできないところも多く、既存の設備を改造したり。サービス面での工夫を徹底しました」と、アシスタントセールスマネージャーの下山真理子さん。

客室の扉には車椅子のフットレストを傷つけないマグネット式のクッションパネルをつけ、タオルやパジャマを車椅子でも手に取りやすい場所に配置するなど、細やかな配慮を実施。館内の3~5mmのわずかな段差に警告テープを設置し、エレベーターホールに階数をアナウンスする音声コードを導入するなど、アイデアをもってソフト面の対応を強化した。

「選手の方々から喜びの声をいただけて、スタッフのモチベーションも向上しました。何度も訪れたくなるホテルを目指して、今後もインバウンド、ユニバーサル対応の研修を充実させ、心を込めたおもてなしでお客様をお迎えできるように努めていきたいです」。

 

 客室は14階以上にあり、市街地を一望。

扉下部に設置したクッションパネルはスタッフのアイデアで生まれたもの。バスルームの扉を外してカーテンを設置し、浴槽にシャワーチェアを備え、車椅子利用者の方も利用しやすいように。

ベッドには防水シートを敷き、タオルやルームウエアはすべてベッドの上に設置した。エレベーターホールのボタン下に設置した音声コード「Uni-Voice」は多言語に対応。URLを読み込むと位置情報を音声で案内。わずかな段差を視認できるよう、警告テープを設置。

 

 

お宿のユニバーサルポイント
 〇 従業員への研修
 〇 車椅子のフットレストを傷つけないよう客室ドアにマグネット式のクッションパネルを設置
 〇 客室ベッドに防水シートを用意 

 〇 ユニットバスのドアを外し、カーテンを設置

 〇 館内の段差に警告テープ貼付
 〇 きざみ・極きざみ・ミキサー食にも対応(要事前相談)

 

神戸市中央区北野町1
078-291-1121(代)
宿泊料は要問い合わせ
JR新神戸駅直結

 

 

神戸を代表するシティリゾート
神戸ポートピアホテル

四方を海に囲まれ、美しい眺望が自慢。

大小37のホール・レセプション会場・会議室を備えたコンベンション・ホテルでもあり、国内外から多くの人が訪れる。

バリアフリーに配慮した客室や館内設備を備え、車椅子など貸し出し備品も充実。

 

 

培った経験を活かし、おもてなしをアップデート

神戸ポートピアホテル宿泊部長
竹下 博文 さん(右)
営業部コンベンションセールスセールスエグゼクティブ
木附 大輔 さん(左)

 

昭和56年(1981)の開業以来、ポートアイランドのアイコンとして親しまれてきた[神戸ポートピアホテル]。

「高齢者の方も障害がある方も、どなたでも安心しておくつろぎいただけるように」と、サービス介助士の資格を持ったスタッフが5人在籍し、平成28年(2016)にはバリアフリーに配慮した客室を5部屋設置。ソフト面・ハード面でもおもてなしのアップデートを続け、「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」では、18日間で12カ国から353人の選手・関係者の宿泊を受け入れた。

「日頃から海外の方も、ハンディキャップがある方もおもてなししていましたが、一度にたくさん受け入れたのはこの時が初めて。改めて利用者の声をきちんと理解すべきだと、車椅子陸上の選手を招いて、改善点などをアドバイスいただきました」と、宿泊部長の竹下さん。

スロープの増設やシャワーヘッドの設置位置を低くするなど、細やかな配慮ができるように。「選手の方たちにもご満足いただけたようで、この経験がスタッフの自信にもなりました。今後もホスピタリティトレーナーを育成するなど、従業員みんなで接客の質向上を目指していきたいと思います」。

 

豪華客船をイメージした優美なフォルムの外観。

ユニバーサルルームや一部のスーペリアツインルームでは、車椅子の高さに配慮したドアスコープを設置。客室内は車椅子でもスムーズに移動や方向転換を行えるように、通常よりスペースを広く確保。シャワーチェアや踏み台、手すり付きバスボード、滑り止めマットの貸し出しもあり。

 

世界パラ陸上時は、朝、昼、夕方から23時まで食事会場を開き、いつでも選手が利用できるように。宗教や文化を背景とした食の多様性にも対応。玄関付近の小さな段差にもスロープを設置し、館内での車椅子移動をスムーズに。

 

お宿のユニバーサルポイント
 〇 従業員への研修(サービス介助士の資格を持つ従業員をリーダーとした社内勉強会など)
 〇 従業員向けの接遇マニュアルの配備 ・館内の段差に簡易スロープを設置
 〇 バリアフリーに配慮した客室の整備(手すり付きの風呂・トイレなど)
 〇 シャワーチェア、踏み台、手すり付きバスボード、滑り止めマットの貸し出し
 〇 希望によりビュッフェ会場の料理卓の高さ、クロスの長さの調整可能
 〇 希望によりシャンプーなど触覚識別用ボトルに変更可能

 

神戸市中央区港島中町6-10-1
078-302-1111(代) 2名1室(おとな1名あたり)=10,600円〜
ポートライナー市民広場駅から徒歩すぐ

 

 

 

 

ユニバーサルな観光スポットへ
神戸の観光スポットも、ユニバーサル対応が進む。サービスの内容を確認して、レジャーを楽しんで

 

神戸どうぶつ王国

「花と動物と人とのふれあい共生」をテーマに、ベゴニアやフクシアなどさまざまな花が咲き誇る園内に150種800頭羽の動物たちが共存。野生で生息している環境を再現する生態展示を基本とし、イキイキと暮らす動物たちの姿を間近で楽しめる。 

 

年間を通して豊かな緑と花が彩る屋内エリアの一番人気はハシビロコウ生態園。屋内・屋外と2つのエリアからなる園内はバリアフリー設計。オストメイト対応の多機能トイレも。群れで暮らしたり、擬態しながらお昼寝したり、木をつたって餌を取りに行ったりと、のびのび暮らす動物。見ているだけでほっこり。

 

神戸市中央区港島南町7-1-9
078-302-8899 10:00〜17:00 木曜休(繁忙期は無休) 
入園料=大人2,200円、小学生1,200円、幼児500円、65歳以上1,600円 
ポートライナー計算科学センター駅から徒歩すぐ

 

 

神戸布引ハーブ園/ロープウェイ


神戸の街を一望できる高台に位置する、日本最大級のハーブ園。

園内には約200種75,000株のハーブや花が咲き誇り、四季折々の美しい表情を見せる。坂道の多い園内を安心して散策できるよう、電動アシスト車椅子の無料貸し出しもあり。

 

山麓駅と山頂駅をつなぐロープウェイのゴンドラはすべて車椅子対応。乗降の際はスタッフがアシストしてくれるので乗り降りもスムーズに。車窓からは神戸の港と街並みを一望する絶景が広がる。

 

神戸市中央区北野町1-4-3 Z078-271-1160 
ロープウェイ9:30〜16:45(上り終発、延長の時期あり) 
無休(悪天候、点検時除く) 
ロープウェイ乗車料+ハーブ園入園料=大人2,000円、小中学生1,000円(往復) 
ロープウェイ乗り場へは、JR新神戸駅から徒歩約5分