ABOUTふるさと桜づつみ回廊とは

兵庫県では、安全で美しい県土の創出と地域住民の交流を深めてもらいたいという願いを込めて、地元住民の協力のもと、平成3年度から平成12年度にかけて、瀬戸内海から日本海を結ぶ延長約170kmの河川沿い(武庫川~篠山川~加古川上流~円山川)に約5万本の桜を植樹し、日本一の「ふるさと桜づつみ回廊」を整備しました。
また、回廊上には、地域住民の憩いの場・地域交流の拠点として、「たけだお」「ひかみ」「きのさき」の3ヶ所の「さくらの名所」を整備しました。
植樹から30年を迎えた現在、県内各地では地域団体が中心となって桜の保全を行っているほか、観光資源としての活用を目指す動きも見みられます。
兵庫県では、今日まで引き継がれてきた日本一の「ふるさと桜づつみ回廊」をツーリズムとして活用し、桜の保全に役立てるサスティナブルツーリズムを推進していきたいと考えています。

SITUATION地域ごとの回廊の状況

阪神エリア

植樹当時から現在まで 桜と関わる人たちの声

VOICE

潮泉山塩尾寺

  • 植樹の記憶

    「ふるさと桜づつみ回廊」の植樹に携わったのは先代の住職(故人)で、塩尾寺の参道沿い(約2㎞)に2度にわたってヤマザクラや八重桜、ソメイヨシノなど、高さ約1m、直径約10㎝の細い苗木を植えています。
    植樹の時、1度につき50?60名ほどの人が参加したそうです。植えた本数は不明ですが、持ち込まれた苗木を残さず植えなければいけないと思ったのか、添え木の柵が約1m以下の狭い間隔でところどころにあり、植樹された人の名前が書かれたプレートがわずかに残っています。後に再訪された人が自分のプレートを見つけて「ワシの名前がまだ残っているなぁ」と感慨深げに話しているのを聞いたことがあります。“自分の木”という想いが強くあるのだと感じました。

  • 桜のみどころ

    参道入口の「えんぺい寺休憩所」のお社(やしろ)にソメイヨシノが1本、その反対側に大きな木が2本あります。毎春、満開の花をつけてくれる大木に育っています。休憩所からは、サクラ越しに宝塚市街が一望できます。誰もあがってこない隠れ家的な場所です。
    参道沿いではヘアピンカーブの先にある「展望台」がおすすめです。満開の大きなヤマザクラは必見の美しさです。急な坂道を登った時に目にするので心が癒やされます。特に眺望とサクラをセットで楽しめる夜景が素晴らしいです。宝塚の市報などに載っている夜景写真もここで撮影しているのではないでしょうか。(駐車場は無く、車を止めると通行の妨げになるような場所です)。
    参道のソメイヨシノは夕方から夜にかけ、日が沈む少し手前の時間、薄ぼんやりしているときが最もキレイで、サクラの花びらがふわ~と浮かびあがるように見えます。
    他にも大きく成長したソメイヨシノが何本か残ってはいます。

  • 桜のこれから

    「ふるさと桜づつみ回廊」については、地域の美観としてはもちろんのこと、サクラが他の地域とのつながりや、未来へとつながっていくことは、日本人として結構なことだと思います。日本を代表する作家の宇野千代さんも、桜をこよなく愛し、文筆と並ぶライフワークであった着物のデザインでも桜模様を多く取り入れ、薄墨のサクラ柄の着物を美しく召しておられました。「ふるさと桜づつみ回廊」をひとつのきっかけとして、サクラの美しさに思いを寄せ、日本人ならではの花を愛でる趣や豊かな感受性なども未来に残してもらいたいです。

VOICE

長岡一夫 氏 
「櫻守の会」元会長、妙見里山倶楽部顧問、森林インストラクター

  • 植樹の記憶

    「ふるさと桜づつみ回廊」については、1991年から2000年にかけて行われたサクラの植樹事業を終える式典が2001年に開催されたことは覚えています。旧福知山線の2つのトンネルを越えた場所にある「桜の園」の入口、「親水広場」で行われました。
    「桜の園」は、桜博士として知られる笹部新太郎氏(1887?1978)がサクラの品種保存や接ぎ木などの研究に使った演習林「亦楽山荘(えきらくさんそう)」跡を兵庫県と一緒になって整備した里山公園です。1999年のオープンを前に、2年にわたって市民の手でヤマザクラを植樹し、その時のメンバーが中心となり、自然の応援団的な役割を持つ森林ボランティア「櫻守の会」を発足させました。
    式典に参加し、親水広場に笹部さんゆかりの「笹部桜」の苗木を植えた記憶はありますが、どなたが参加したか、サクラの種類や何本くらい植えたのかは覚えていません。
    「ふるさと桜づつみ回廊」が植樹したのは、武庫川の入口から「桜の園」の下(旧JR福知山線の2つのトンネルを超えて、3つめのトンネルの手前)まで「桜の園」の敷地が端っこになります。サクラの木には植えた人の名前を記したプレートがぶら下げられていました。
    苗を植えた後は、ペットボトルで川から水を運んでは、せっせと水やりをしていました。日当たりをよくするため、特に根もとまわりの草刈りを頻繁に行い、まさに手塩にかけて育てました。
    苗を植えてから、早ければ2、3年で花をつけます。植樹後、初めて花が咲いたときは「やっと咲いてくれたな」と思いました。自分が土をかけて植えたものは子どもみたいなものですから、開花するとやはり嬉しいです。現在残っているサクラは3、4mぐらいまで成長しています。

    ●櫻守の会とは

    「桜の園」を活動中心地とし、地元の里山整備活動や景観整備稼働として廃線跡の草刈りやサクラの植樹や管理、武田尾周辺の清掃活動を行うサクラを後世に残す活動団体

  • 桜のみどころ

    西宮夙川や大阪造幣局など、関西を代表するサクラの名所には、笹部さんが研究し監修されたものが多くあります。笹部さんのサクラ関連事業や資料、文献、美術工芸品などのコレクションは、西宮市の「白鹿記念酒造博物館」で保管され、年間を通じて「笹部さくら資料室」として紹介されています。笹部さんの歴史を学ぶこととあわせてサクラを見れば、その印象も随分と変わってくるはずです。

    「桜の園」では様々なサクラが楽しめます。木の種類によって咲く時期が異なりますので、3月のお彼岸の頃に咲くヒガンザクラから始まり、順々に咲き続いていきます。私が個人的に好きな場所は「桜の園」の桜坂の上から見た景色です。目の前にピンク色がざぁ~と広がる時期が一番好きです。帯状で、さながら桜色の雲が続いているような感じです。
    廃線跡ハイキングは武庫川渓谷沿いで、渓流を眺めながらサクラや自然を楽しむことができます。ほとんどの人は「桜の園」の前の親水広場でお弁当を食べて終わり、武田尾駅へと帰る流れ。その逆もありますが、階段の上にある「桜の園」まではあがりません。秋の紅葉も素晴らしいです。真夏は暑くて大変ですが5月から6月は、新緑のエネルギーを全身に浴びることができます。

  • 桜のこれから

    170㎞5万本のサクラが続く「ふるさと桜づつみ回廊」の一部分の役目を、武田尾が担っているという意識は特にありませんでした。せっかく植えたサクラの美しさ、自然の素晴らしさはこれからも守っていってほしいです。「桜の園」では、次世代へつなげる取り組みとして、子どもたちが自然環境保全の勉強を行う環境学習支援にたずさわっています。サクラの命を守り、自然を守ることで、地元に興味を持ち、地元を好きになるきっかけになればと思います。

阪神エリア 観光スポット

阪神エリア 体験コンテンツ

  • 『西宮能楽堂・世界最古の舞台芸能「能」体験』

    能の楽曲「高砂」に登場する西宮市鳴尾の地に建つ由緒ある西宮能楽堂で体験するプログラム。鑑賞だけでなく、白足袋に履き替えて舞台へ上がり、基本動作の「すり足」や能面付けを体験。日本酒の試飲もあり、能の心と日本文化の世界観に触れることができる特別プラン。

    【問合せ先】日本伝統芸術文化財団
    メール:nishinomiyanohgakudo@gmail.com

  • 『西宮発祥“えびすかき”福を呼ぶ「えびす舞」in西宮能楽堂』

    室町時代から江戸時代に人形芝居をしながら全国を廻ってえびす信仰を広めた“えびすかき”の歴史とその人形操りを、商売繁盛の神「えべっさん」と所縁の深い西宮市鳴尾に建つ能楽堂でご覧いただくプラン。オプションで装束体験や灘五郷・西宮郷の日本酒3種が試飲できます。

    【問合せ先】日本伝統芸術文化財団 電話:0798-48-5570

  • 『「礼に始まり礼に終わる」の伝統武道“薙刀”』

    人気アニメ「あさひなぐ」のモデルにもなった薙刀の聖地であり、200年を超える歴史をもつ修武館で日本の伝統武道“薙刀“と「礼に始まり礼に終わる」日本精神の極意に触れてみませんか。

    【問合せ先】公益財団法人修武館
    メール:r.mizoguchi-syubukan@oregano.ocn.ne.jp

丹波エリア

植樹当時から現在まで 桜と関わる人たちの声

VOICE

吉良勉 氏 
ささやま桜協会理事、桜守

  • 植樹の記憶

    「ささやま桜協会」の前身「丹南桜協会」の「サクラの堤の下に皆で集い、お花見をしたい」という素朴な願いから、川の土手にサクラを植える提案をしたことが発端となり、当時の兵庫県知事を巻き込んで「ふるさと桜づつみ回廊」という一大プロジェクトがはじまったと記憶しています。
    苗は皆で植えようと卒業記念や入学記念をテーマに小中学校の児童生徒らに植えてもらいました。卒業後もサクラが開花する頃に「ふるさとに戻って来て欲しい」と願ったとおり、サクラの木がどこに植えたかも含めふるさとの思い出となり、外に出た人も春に帰省するモチベーションになっています。こういった地域の想いからから始まったのが「ふるさと桜づつみ回廊」ではないでしょうか。

    ささやま桜協会を中心に「自分たちが世話をするしかない」とこの30年、ずっと世話をしています。ソメイヨシノもヤマザクラも両手で抱えるほどに大きく成長しました。プロジェクト発足時は、どこにどういう種類のサクラをどのような間隔で植え、どう管理していくのかという計画がなかったため、適材適所を考えた樹種を選ばなかったところや大きく育ちすぎたところでは、クレームが寄せられています。

  • 桜のみどころ

    丹波大山から北の鐘ヶ坂にかけての「大山宮(おやまみや)」地区に咲く「おかめ桜」は、大きくても高さが3メートルくらいしかならず、色が非常に濃い紫紅色の一重咲きの綺麗な花が特徴です。寒い時期に一足早く咲き、観光客も訪れる桜スポットになっています。
    もともと他の桜を予定していたのが誤って届いたものの、この場所に合った樹種であり珍しいため植えたところ、地元の人たちにも愛され、今では“おかめ桜の里”として広めていこうと盛り上がっています。

  • 桜のこれから

    植えたソメイヨシノの中にはてんぐ巣病(サクラの花が付かず、木が弱り枯れてしまう場合がある病気)にかかっている木がいくつかあります。桜は人がきちんと手入れをしてあげないといけない。
    美しい桜を守り継いでいくためには、地域住民も地元のサクラに対して興味を持ってもらい、サクラの知識を学ぶ機会が必要だと考え、丹波篠山ではサクラ守講習会を実施しています。一人の後継者を育てるのではなく、たくさんの後継者で守っていく形が理想だと思います。

    サクラの木は、花が咲く春だけではなく、夏の新緑、紅葉も美しい。桜の葉っぱの匂いなど、知って欲しい魅力がいくつもあります。
    毎年「ささやま桜協会」主催で、春に丹波篠山市内のサクラ巡りツアーを実施しています。
    バス2台で、サクラの木の説明をしながら市内各所を回るツアーでとても好評をいただいており、サクラの地ビール(クラフトビール)をつくっているお店にも立ち寄るなど、サクラ関連商品の盛り上げにも関わっています。

    瀬戸内海から日本海へと続くサクラの回廊のPRを考えるならば、各自治体のつながりも一緒につくらなければいけないし、サクラを観光資源とする地域に合った情報発信が必要だと思います。
    地域住民と行政が一体となり、桜を活用した地域の観光振興や景観美化など、特色のある街づくりを行い、それが全国に広まっていければと思います。

VOICE

打田哲夫 氏 
沼貫(ぬぬぎ)地区自治振興会会長

  • 植樹の記憶

    「ふるさと桜づつみ回廊」事業については、貝原知事時代に瀬戸内から日本海までをサクラ並木でつなぐ意向で、加古川流域とそれに続く武庫川や円山川沿いに植えていくと聞きました。
    丹波市では、「ふるさと桜づつみ回廊」事業後も、日本海に注ぐ由良川沿いや公園などに植樹し、地元のサクラの景色をきちんと整備されてきたようです。特に学校の周りにサクラが多いのは、卒業記念などの記念植樹をしているためで、何年卒業生と書かれた記念の木のプレートがかかっています。
    丹波のサクラといえば、加古川沿いに植樹されたサクラがズラリと楽しめるエリアが有名です。ところどころ途切れているものの、山南(さんなん)町から青垣町まで約20㎞は続いていて圧巻です。国道175号や県道7号、「北近畿豊岡自動車道」氷上ICから青垣IC間の数㎞を車で走る時、堤防沿いのサクラを横目に楽しめます。

  • 桜のみどころ

    加古川沿いにサクラが並んでいる道は、市の観光協会が名称を募集して「桜街道」と命名されました。地元民はもっぱら“堤防”と呼んでいますが「桜街道」と聞くとイメージもいいです。「石生駅(いそう)」まで電車で来て、駅から「桜街道」を歩くというのが観光ルートになっています。
    散歩やハイキングも多いですが、最近では自転車でサイクリングされる方が増えています。兵庫県の河川の強化事業で堤防上の道がきれいに舗装されたこともあり、自転車での走行が快適になりました。まだ土の道路も残っていますが、今後も順々に舗装していく予定と聞いています。「水分かれ公園(最寄り駅:石生駅)」や「道の駅あおがき」ではサイクリング用に自転車の貸し出しを行っています。色々な種類の自転車があり、お子さんや家族連れにぴったりな自転車や、スポーツバイク的なものも用意されています。

  • 桜のこれから

    丹波市内のサクラ回廊もかなり老木化し、歯抜けになっている地域があります。まず現状を把握することが必要だと思います。木が大きくなりすぎて、田んぼに落葉したり枝が折れていたり農作業の妨げになっているところもあります。てんぐ巣病対策は、病気になった木を処分するだけで、予防はできていませんので対策をとって欲しいところです。
    地元でも協力して剪定はしていますが高齢化が進み、管理できなくなってきています。丹波市はシルバー人材センターを活用して手入れしているようです。

    加古川沿いに植えられているサクラはこの地区の自慢です。たくさんのサクラが長く続き、それが丹波のみならず、瀬戸内から日本海まで川沿いにつなげるのは、素晴らしいことだと思います。
    丹波市は、約1億1千年前の地層・篠山層群があり、山南町は「丹波竜」発見の地として大きな話題を呼びました。山南町の「丹波竜化石工房ちーたんの館」は「丹波竜」の全身骨格レプリカが展示され、外国人の方にとっても珍しい施設です。
    日本を代表する花、サクラの素晴らしさや美しさを日本のみならず、世界にしっかりと発信してもらえればと思います。

丹波エリア 観光スポット

丹波エリア 体験コンテンツ

  • 『農村風景のこる丹波の地で、日本の「心」にふれ、「道」を学び、「味」を愉しむ』

    弓道、寺での法話・座禅・書道体験・食事をコンパクトにまとめたプラン。日本文化に触れる体験と高級ブランド丹波三宝の味覚(栗、黒豆、小豆)をご賞味ください。

    【問合せ先】株式会社ゆめの樹 野上野 メール:info@inaka-experience.com

  • 『日本最古のお茶処 1200年続く丹波篠山茶のヒミツ旅』

    兵庫県でも一番の生産量を誇り、最も古い茶処の一つとされている丹波篠山市で、茶摘み体験(5・7・9月)に加え、茶娘衣装を着ての記念写真や製茶工場見学、日本茶インストラクターによる淹れ方講義など、身近なお茶について学ぶことができます。

    【問合せ先】丹波篠山茶生産組合
    電話:079-594-2210、メール:tanbasasayamacha@office.eonet.ne.jp

  • 『日本農業遺産「丹波の黒豆」生産農家のファームツアー』

    丹波篠山黒大豆の農家のみなさんが「なぜ丹波の農作物がブランド品なのか」「黒大豆の伝統継承栽培とは」「畑から食卓に届くまで」などについて詳しくガイドします。ご案内後は新しい夏の特産品「デカンショ豆」をご賞味いただきます。

    実施期間:7~9月
    【問合せ先】B・B・LINK(事務局 丹波たぶち農場)
    電話:080-5806-1526 メール:info@tabuchi-farm.jp

但馬エリア

植樹当時から現在まで 桜と関わる人たちの声

VOICE

西村肇氏 西村屋の六代目取締役会長、社会福祉法人あまのほ理事長
前場芳幸氏 元教育委員会次長
上田忠司氏 豊岡土地改良事業協議会局長

  • 植樹の記憶

    西村氏 城崎のサクラは「北但大震災」と呼ばれる1925年(大正14年)5月23日に起こった北但馬地震で全滅し、“復興の証”として町の中央を流れる大谿川沿いにサクラや柳を植樹しました。
    サクラに希望の意味づけをしたのは、城崎が日本で初めてと思われます。

    前場氏 「サクラといえば、花見で宴会」という昔からのイメージが一般的だった時代に「地震の復興の証」としてサクラを植えました。「ふるさと桜づつみ回廊」を先取りした取り組みを城崎ではやっていたのです。その土台や歴史があったからこそ、「ふるさと桜づつみ回廊」にも積極的に参画し、県も中心となる3つの名所(武田尾、氷上、城崎)のうちの一つとして城崎が選ばれたのだと自負しています。

    西村氏 復興の証はもちろん、川とサクラが共存できる、自然と共存できる環境、特殊な条件がそろった地域が「城崎」です。なおかつ新しい魅力のある場所を、円山川河口沿いという、温泉街と反対側につくろうと申請して手をあげたので、採用になったと思います。

  • 桜のみどころ

    前場氏 ソメイヨシノはすぐ、てんぐ巣病にかかって60、70年しか寿命が持ちません。日本古来のもので100年200年と長生きするヤマザクラと違い、ソメイヨシノは江戸時代に職人がつくったものだから短命です。だから今、ソメイヨシノを「神代曙」という種類のサクラに植え替えようとしています。

    西村氏 城崎温泉街は、大谿川&サクラがポイントになっています。川面にうつる姿、また散った花びらが川を染めつくす様子(花筏)が美しい。だから大谿川のクリーン活動を地元民が当たり前のように行っています。私自身も、年に数回必ず、従業員と共に川のなかに入って、ゴミをとっています。

    上田氏 派手なサクラはありませんが、木造三階建の統一された和風旅館が並び、その真ん中を大谿川が流れ、ホタルがそっと飛び、ボンボリが薄ぼんやりと照らす。そんな道を浴衣姿でコロンコロンと下駄の音をたてながらそぞろ歩きする。城崎では当たり前の風景です。だから掃除をし、まちをきれいに保つのは当たり前です。「自分たちでこの景観を守らなければならない」と、小学生、中学生の頃から教えられ、自主的に実施しています。

    前場氏 サクラでも、奈良の吉野のように遠くから楽しむサクラと城崎は違います。吉野の視覚に入るものすべてがサクラ!という豪快さに対して、城崎はまちを歩いて自分で感じる繊細なサクラの風情です。住居の2階の窓を開けるとサクラの枝が部屋に入ってくるほど身近な存在です。普通は邪魔だから枝を切るでしょう。城崎の人は枝を切らない。サクラと町民が共存しています。

  • 桜のこれから

    上田氏 今後、サクラをきちんと残していくならば、植えっぱなしになっているサクラを誰かが手をかけて管理保全しなければいけない時期に来ていると思います。塩分を含んだ育ちにくい土壌に植わっているサクラをどうするのか、次はどういう計画にするのか、早急に考えなければいけないでしょう。

    前場氏 「ふるさと桜づつみ回廊」はサクラの5枚の花びらのように兵庫5国をつなげる意味をもって始めた事業です。サクラを通して何がしたかったのか、大阪万博2025のインバウンドに「兵庫=サクラ」のイメージを持ってもらうために、兵庫におけるサクラの意味づけと役割など、グローバルな視点で5大陸を結ぶための土台づくりをかためてほしい。ネット時代ゆえ「サクラ」と検索すれば「兵庫」が一番に出てくるような対策、兵庫県とサクラに関わるコンテンツづくり、情報発信に力を入れてほしい。

但馬エリア 観光スポット

但馬エリア 体験コンテンツ

  • 『関西初の常設型!一生に一度は乗ってみたい!熱気球体験』

    神鍋山から上空30メートル、係留された熱気球に乗って鳥と同じ360度のパノラマビューを楽しむアクティビティ。

    【問合せ先】神鍋そらんど
    電話:0796-45-1545、メール:soland@kannabe.co.jp

  • 『知られざる絶景にご案内☆神鍋溶岩流ラバートレッキング』

    神鍋高原には今でも噴火口の残る神鍋火山があります。約2万5千年前に噴火し流れ出た溶岩が固まってできた溶岩流に沿って、全身を使いながら楽しむトレッキング。

    【問合せ先】NPO法人かんなべ自然学校
    電話:0796-20-3541、メール:info@kns.hyogo.jp

  • 『伝統的工芸品「豊岡杞柳細工」を体験!かご編み体験と円山川ミニ遊覧船』

    円山川の自然や豊岡の歴史を遊覧船で体験し、玄武洞ミュージアムではかご編み作りを体験します。体験後は国の天然記念物 玄武洞を散策できます。

    【問合せ先】公益財団法人玄武洞ミュージアム メール:info@genbudo-museum.jp